2018年9月6日木曜日

No.7「糸島市立図書館のこれからについての提言」書を提出しました。

今年の1月28日に行われた糸島市長選挙で立候補されたお2人と当選が確定した20人の市議会議員に提出していた糸島市の図書館についての公開質問状に対し、お2人の市長選立候補者と12人の市議会議員から回答をいただきました。`糸島市の図書館を考える市民の会`ではいただいた回答を検討しその回答を踏まえ、当選された月形祐二市長(2期目)に「糸島市立図書館のこれからについての提言」書を提出しました。
(なお、『提言』に添付した9点の資料の説明は次回のブログで行います。)

提言書は次の通りです。

                              2018年6月4日

          糸島市立図書館のこれからについての提言

糸島市長 月形 祐二 様
 
                       糸島市の図書館を考える市民の会
                                松浦 里絵
                                梅川 萬智子
                                才津原 哲弘

1.市内のどこに住んでいても、だれでも利用できる全域サービス計画の策定を。

ご回答では貸出密度(人口当たり貸出点数)の低い校区があることから、「まずは目標値である5.6冊を全ての校区でクリアすることが重要と考えており、今後とも子ども読書活動の充実や読書習慣の定着に力を注いでいきたい。」とのことでした。

「全ての校区で5.6冊をクリアすること」は、ほんとうにとりわけ重要なことだと考えま
す。5.6冊をいつの時点でクリアするのか、目標年次を明示した取り組みが必須であると
考えます。

児童へのサービスの充実の取り組みは、言うまでもなく大切なことですが、貸出密度が とりわけ低い主たる要因は、図書館が住民の生活圏から遠いことにあります。その最大
の要因に焦点を当てた取り組みをしないと目指す効果は期待できないのではないでしょ
うか。子どもたちに読書をすすめようとしても、身近で借りることができなければ読む
こともできません。

市会議員20名中、12名から回答をいただき、そのうち7名が、「政策的対応(実態を把
握し計画をたてての対応)が必要」との回答でした。

「どこに住んでいても」「だれでも」利用できるあり方は、図書館サービスの肝心要の大
切なサービスであると考えますが、それを実現していくためには真剣な力と知恵を尽く
した取り組みが求められます。その第一歩が目標達成年次を市民の前に明らかにする取
り組みだと考えます。また、計画策定に当たっては市民の声を聞く場を持っていただき
たいと考えます。

2.図書館サービスや図書館運営に関する指標と目標を「目標基準例」を参考に、もっと
積極的に取り入れること。
「数値目標」については達成年次を明示して計画的に取り組むこと。
 
ご回答では、「現行のままでよい。「蔵書冊数」「貸出冊数」  図書館サービスの充
実を図っていく上では、現行の「蔵書冊数」「貸出冊数」「満足度」の推移の見極めが
重要と考えている」でした。

図書館の利用者にとって、資料(図書、雑誌、視聴覚資料)の最大の魅力である資料の
新鮮度や多様さに係る、「図書年間購入点数」「雑誌購入タイトル数」「資料費」等
は、とりわけ重要な指標で、これらは「蔵書計画」(年次計画)に基づいて計画的に
収集していくことが重要で、これらがどうなっているかを知ることは、その図書館の
サービスを評価する上で欠かせないものさしでもあります。
 
この指標を、2点と「満足度」だけとすることは、「サービスの向上を生み出す指標
と「目標」をなおざりにすることになるのではないでしょうか。

議員12名中、7名が「取り入れる」の回答でした。「指標、目標及び事業計画の策定に
に当たっては、利用者及び住民の要望並びに社会の要請に十分留意するものとする。」
と『望ましい基準』で定められていますが、改めて『望ましい基準』にのっとった対応
求めるものです。

3.指標や目標を適切に選んで増やし図書館の計画を糸島市長期総合計画にいれること。

ご回答は「その他(総合計画では、蔵書冊数、貸出冊数、満足度という形で数値目標
を掲げて図書館サービスの充実を図ることとしている)」でした。

図書館サービスを充実、向上させていくためには、職員計画や蔵書計画をたて、全域
サービスの整備をしていくなど、財政措置を伴います。
市民が求める資料の提供を通して、すべての市民の生涯にわたる自己学習を保障する図
書館の役割の重要性に鑑み、長期計画の中に組み込んで計画的に取り組んでいくことが
肝要だと考えます。

4.学校図書館の図書費については、『学校図書館図書整備(等)5カ年計画』で交付
されている総額、100%を少なくとも予算措置すること。

ご回答では「その他(学校図書館に求められる機能を考慮し、蔵書数のみでなく総合
的に判断していく。)でした。

なんといっても、こどもの世界を豊かにする本があってこその図書館です。

『5カ年計画』は29年4月から第5次にはいりましたが、この20年間、糸島地区の学校
図書館の予算措置率は驚くばかりに低い状態が続きました。
平成24年度からの6年間でみると交付額の総額82,983,000円に対し糸島市が予算化
したのは30,452,000円で、予算措置率は30%をきって、29.4%でした。

子どもの本代というので、厳しい財政の中でも、200%を超える予算措置率の自治体が
県内にある中でも、20年間にわたって極めて低い予算措置率が続いてきたことを考えれ
ば、「少なくとも」100%の予算措置をという次第です。
                                     以上
 
さいごに。
この度の公開質問の第4問で、これまで糸島市では他館からの借用が、県内の図書館
と国立国会図書館からに限られていたことについて。
ご回答は②の「なんでも」の観点から、借りれるように、予算措置をする。」でした。
待ちに待った嬉しい回答でした。早速、友人、知人に知らせました。

以上。

【添付資料】提言書の提出にあたっては9点の資料を添付しました。4つの提言につ
いて、それぞれ、提言の内容を説明するための資料です。
その①~⑨の説明については、次回のブログ「図書館の風 No.8」に掲載します。

・「糸島市立図書館 小学校区別利用状況 平成28年度」
【参考】 
 いとしま としょかんしんぶん 第1号 1p~2p 

 ①『糸島市立図書館サービス基本計画』(糸島市教育委員会 平成25年11月)より
 第4章糸島市立図書館のサービス基本計画
 5.数値目標

 ②「図書館サービスの望ましい指標と糸島市立図書館の比較(平成27年度/2015年度)」
 糸島市と人口同規模(人口10万~15万人)の滋賀県東近江市立図書館との比較も。

 ③「2015(平成27)年度 福岡県内公立図書館貸出順位表(人口一人当たり)」

 ④「伊万里市民図書館の運営目標値」

 ⑤「伊万里市民図書館の望ましい基準」 平成20年度

 ⑥「伊万里市民図書館 平成28年度活動報告」「としょかん通信」 平成29年初夏号)
 【参考】同、30年初夏号


 ⑦「伊万里市民図書館の望ましい基準値(目標値)との比較」「としょかん通信」 
  平成29年初夏号)
 【参考】同、30年初夏号


 ⑧「糸島市の学校図書館の図書費及び予算措置率の推移(平成19~29年)
 1.『学校図書館図書整備5カ年計画』の概要と推移

 2.糸島市の学校図書館のと諸費及び予算措置率の推移(平成19~29年)

 ⑨「平成19年度 福岡県内学校図書館図書購入費(予算措置率)順位表
 







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