2018年11月18日日曜日

No.15 職員(体制)はひどいですね。一番驚いたのは ・・福岡市長選挙・公開質問状を見て 

〈「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡〉の会が、福岡市長選挙に立候補者に提出した『図書館砂漠のまち福岡市を 図書館のあるまちに 福岡市立図書館のこれからにつての公開質問状』をネットで公開してから、質問状をみての感想や意見が幾人もの方から寄せられている。

市民がどれだけ図書館を利用しているか、利用できているか。(本・資料の貸出は)

・福岡市民の利用(度)がこんなにも低いんですね。この状態が何十年も続いていると
 知ってほんとうに驚きました。

・政令指定都市(20市)の中で最低って、初めて知った。市長や議員は知っているのだ
 ろうか。

・このような状態を市長は知っているのか、こんな状態に対して市長はどのように考えて
 いるか、市長の考えを聞きたい。

・どうして、自分や家族が普段、図書館を利用していないか、資料を見てよくわかった。
 近くに図書館がないからだった。家に車はないし、図書館までの時間と交通費を考えた
 ら、とても気軽に行けない。

・歩いて、あるいは自転車で行けるところに図書館がほしい。子どもやお年寄りや、車の
 運転ができない人が、身近にたくさんいて、図書館を利用したくても利用できない人が
 たくさんいることを市長や行政は知っているのだろうか。

・車椅子で生活していたり、病院に入院していたり、図書館の利用が難しい状態にある人
 も、あたり前のこととして、図書館が利用できる、そんな当たり前の図書館であってほ
 しい。

・まず移動図書館を走らせてほしい。分館の計画づくりに早くとりかかってもらいたい。

・福岡市の市民の利用度が指定都市の中で最低で、その状態が何十年も続いている一番の
 理由は、図書館の数が圧倒的に少なくて、移動図書館も走っていないからだということ
 がよくわかった。それは図書館を日常、利用できない地域が、福岡市にはたくさんある
 ということ、しかもこれまで、そのような地域をなくしていくための市の取り組みが
 計画的に行われてこなかったということですね。なんということでしょう。

福岡市では住む地域によって、図書館のサービスをうける内容に非常に大きな格差が
 あり、その格差をなくすための取り組みが十分行われてこなかったことが理解できた。
 市民はすべて同じ税金を払っているのに。市民のだれもが、自分が必要とする本や資料
 を図書館で手にいれて、等しく学ぶことを保障されるための税金であるのに。いったい
 何に税金を使っているのだろう。図書館が歩いて10分のところにあるように、図書館を
 作っていった市では、市の予算の1%以上を図書館の予算にあてているとのことだけど、
 福岡市はいったいどれだけの予算を図書館にあてているのだろう。それを知りたい
 す。

〈「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡〉の会のチラシより「図書館の風」No.11 をみてください】     

福岡市は図書館砂漠・・・市民の身近に図書館がない

・市民1人当たり1年間の貸出冊数(貸出密度)2.8冊 (平成28年度)
 政令指定都市20市の中で最下位(第1位 さいたま市8.0冊),   福岡県内52館の中で49位(県内第1位 水巻町13.7冊)30年をこえて極めて利用度が低い状態が続いています。
※人口30万人以上で望ましい目標値8.9 冊(日本図書館協会)

公開質問状に添付された資料

資料1  政令指定都市 貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表 2016(平成28)年度

 資料2  福岡県内公立図書館貸出順位表〈人口1人当たり) 

資料3  福岡市立図書館と北九州市立図書館との比較 
     2006(平成18)年~2016(平成28)年

・職員の体制はひどいですね。びっくりしました。
 こんな職員体制だから、東図書館の指定管理者導入をして、本来の行政の責任を投げ捨てて、民間に丸投げするのですね。

・一番驚いたのは、福岡市とさいたま市の専任職員の比較!
32対179
福岡市(人口150万人)専任職員32人に対し、さいたま市(人口127万人)専任職員179人で福岡市の約6倍。(いずれも、平成28年度)

そして、もっと驚いたのが、専任職員のうちの、専門職員である司書の人数。
4対111
福岡市4人に対し、さいたま市111人で、福岡市の約28倍!

しかも平成30年度の福岡市の司書は、4人から1人減の3人で、その3人の図書館での配置が、【文学・文書課】に2人(この課で実際にやっている仕事から言えば2人では少ないのではないかと考えられる。)、市民への図書館サービスの本体部分を担当する【図書サービス課】に1人。

1対111
人口150万人の大きな都市で、図書館サービスの本体部門を担当する専門職員が、たったの1人。人口が福岡市より23万人も少ないさいたま市の111人と比べることすら、おかしく思えます。専門職員の対比、比較が100倍をこえる、あるいは100分の1以下というのは、比較以前の問題ではないかと思います。

・このような専門職員の体制(たった1人の専門職員)では、福岡市においては、市の職員の中に、「市民にとって図書館はなんであるか」「図書館とは、だれのために、何をするところか」を市長に向かって説明する職員を望むことは難しいと思いました。

・行政組織のなかで、専門的力を発揮して、そのことを説明し、予算や職員を確保し、すべての市民への図書館サービスの態勢をつくることに力をつくす専門職員の配置が急務ですね。まず人から。人の配置から。




2018年11月17日土曜日

No.14「身近な図書館の会・福岡」、福岡市長選挙公開質問状の回答 

「身近な図書館の会・福岡」が福岡市長選挙で、お2人の候補者に公開質問状をだし、回答を、会報『ぶらりと』(No. 100 平成30年11月)に掲載しています。blogでの紹介の許しを得ましたので以下に紹介します。













2018年11月15日木曜日

No.13 福岡市長選挙立候補者からの 公開質問状の回答です。「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡 

それぞれの候補者の選挙事務所に11月2日に直接届けていました 公開質問状の回答が寄せられました。この度、期日までに回答をいただいたのは、神谷貴行候補お一人で、高島宗一郎候補からの回答を、期日後2日間待ちましたが、まだ届いておりません。投票日の日程が迫っているため、現在までに回答をいただいた神谷貴行候補の回答のみの掲載となっています。高島宗一郎候補からの回答につきましては、届き次第公表させていただきます。
〈「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡〉2018.11.16

公開質問状のデータはここをクリックしてください。

資料1 政令指定都市、貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表 2016(平成28)年度
 資料2 福岡県内公立図書館貸出順位表(人口1人当たり) 2016(平成28)年度
  資料3 福岡市立図書館と北九州市立図書館との比較 
      2006(平成18)年~2016(平成28)年

〈回答は氏名の五十音順、敬称は略させていただきました。〉
〈回答は該当する数字に○をしてください。〉

問1.市民が「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」利用できる図書館を図書館運営の指針、図書館の目標として、日本で最初に掲げたのは東京都にある日野市立図書館です。1965年のことです。日本の公立図書館で初めて、「リクエストサービス」が始められたのも日野市立図書館によってですが、以後、「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」は全国各地の図書館の目指すべき目標となりました。

(「いつでも」は24時間、図書館が開いているということではありません。求める本を「だれでも」「なんでも」借りることができれば、図書館で長時間過ごせない人も、家や通勤途上などで、「いつでも」自由に利用できるということです。)

 私たちは福岡市の図書館においても、市民が「いつでも」「どこでも」「だれでも」
「なんでも」利用できる図書館を、図書館運営の指針、目標とすることが肝要なことだと考えていますが、このことについてどのようにお考えですか。

  そのようには考えない。理由) ②同じ考えである。 ③その他(   ) 

神谷 貴行  ②同じ考えです。

高島 宗一郎 期日までに回答なし。  

                         
問2.図書館が市民にどれだけ利用されているかを表す基本的な指標が「人口1人当たり貸出点数」(以下、「貸出密度」という。)で、2016(平成28)年度の福岡市立図書館は、市民1人当たり2.8点でした。(『日本の図書館2017』日本図書館協会、以下、統計の数値は同書による。)

この数値は政令指定都市20市中、20位と最下位であり、(第1位は人口127万人のさいたま市の8.0点で福岡市の約3倍)、福岡県内52館の図書館の中では49位と、極めて利用度が低い状態が、1976年の福岡市の図書館の開館以来40年をこえる長きにわたって続いています。(福岡県内の第1位は水巻町の13.7点で福岡市の約5倍の貸出)

2006年に文部科学省の「これからの図書館の在り方検討協力者会議」が作成した「望ましい基準」の「数値目標例」を参考に、日本図書館協会が毎年公表している「目標基準例」では、人口「30万人~」の貸出密度は8.9点で、それを基準にすると福岡市の到達度は31%です。
このような実態にたいしてどのようにお考えですか。

     特に対応を考えない。(理由)
     非常に低い利用度と考えられるので政策的対応(実態を把握し計画を立てての対応)が
 必要だと考える。
     その他(                  )


神谷 貴行   ②必要だと考えます。

高島 宗一郎  期日までに回答なし。

  
問3.福岡市の図書館の利用度が、政令指定都市の中でも最下位(あるいは最下位に準ずる状態)が長く続いていますが、その主な理由は何だと考えますか。

 ①市民の読書に対する関心があまり高くないから。    
②図書館の数があまりに少なく、移動図書館も運行していないから。
③その他(                            )   

神谷 貴行 ②図書館の数があまりに少なく、移動図書
 館も運行していないからです。

高島 宗一郎 期日までに回答なし。


問4.「図書館の健全な発展に資することを目的」に、「図書館法」に基づき策定、公示された『図書館の設置及び運営上の望ましい基準』では、先に述べたように、図書館「設置の基本」で、「住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう、住民の生活圏、利用圏を十分に考慮し」「全域サービス網の整備に努めるものとする。

  「公立図書館の設置に当たっては、サービス対象地域の人口分布と人口構成、面積、地形、交通網等を勘案して、適切な位置及び必要な図書館施設の床面積、蔵書収蔵能力、職員数等を確保するよう努めるものとする。」とあります。
  まさに、この基準に基づいた取り組みが迅速に行われる必要があると考えますが、ど
  のようにお考えですか。(住民の生活圏、利用圏に全域サービス網を整備することについて)

     そのようには考えない。(理由)                    
     福岡市の図書館の現状、またこれまでのサービスの在りようを考えると、基準で示された取り組みが早急に必要である。
③その他(                              )

神谷 貴行   ②早急に必要です。

高島 宗一郎  期日までに回答なし。


問5.『望ましい基準』では、また、「運営の基本」で①「図書館の事業の実施等に関する基本的な運営方針を策定し公表するよう努める」こと、②「基本的運営方針を踏まえ、図書館サービスその他図書館の運営に関する適切な指標を選定し、これらに係る目標を設定するとともに、事業年度ごとに、当該事業年度の事業計画を策定し、公表するよう努めるものとする。」③「基本的運営方針並びに前項の指標、目標及び事業計画の策定にあたっては利用者及び住民の要望ならびに社会の要請に十分留意するものとする。」と述べられています。

2001年(平成13年)に『望ましい基準』が公示されてから17年がたちましたが、この間、図書館の対応は大きく分かれました。迅速に『望ましい基準』に則って取り組む図書館と、そうでない図書館に。福岡市の図書館での力をつくしての取り組みが必要だと考えますが、どのようにお考えですか

     そのようには考えない。(理由)
     同じ考えである。早急な取り組みが必要である 
   ③その他(                               )


  神谷 貴行 ②同じ考えです。早急な取り組みが必
  要です。

  高島 宗一郎 期日までに回答なし。


問6『福岡市基本構想』、『第9次福岡市基本計画』(2022年度、平成32度までの10年間の計画)には、「生涯学習の拠点」施設とされる図書館の計画はありません。また、2014年、平成26年に策定され、2023年度までの10年間の計画である『福岡市総合図書館新ビジョン』においても、「図書館設置の基本」である「市民の生活圏、利用圏に図書館をつくる全域サービス網の整備」については計画がありません。
  住民の生活圏、中学校区に図書館を考えるとき、市の長期的な計画の中に組み入れていくことが欠かせません。このことについてどのようにお考えですか。

     そのようには考えない。(理由)
                                
 ②図書館の重要性に鑑み、財政的な裏付けをもった市の長期計画に入れていくことが必要である。 
 ③その他(                              ) 

 神谷 貴行   ②必要です。
 
 高島 宗一郎  期日までに回答なし。


問7.職員体制について。資料3で、2006年、平成18年から2016年、平成28年までの10年間の福岡市と北九州市の図書館を統計でみると、特に職員の項で、専任職員が46人から32人に14人の減に対し、北九州市では20人から37人と17人の増となっています。専任職員のうち専門職員である司書については、福岡市で、11人から4人へと7人の減(平成30年度はさらに1人減って3人となっています。)これに対して北九州市では2人から、22人と20人の増となっています。

 また、2007年、平成19年から2017年、平成29年までの12年間で福岡市総合図書館の館長は9人と短い期間で変わっています。福岡市の図書館のこれからを考え、長期的な図書館計画を立てていくためには、図書館長をはじめ、専門的力量をもち経験を積んだ専門職員(司書)の体制整備が不可欠だと考えます。人口150万人を超える大きな市で、専門職員が3人というのは驚くべき状態だと考えます。職員体制の整備と充実が早急に取り組むべき課題であると考えますが、どのようにお考えですか。

     そのように考えないない。  
(理由                               )
     同じ考えである。
 ③その他(                              )

 神谷 貴行   ②同じ考えです。

 高島 宗一郎  期日までに回答なし。


問8.東図書館への指定管理者の導入について。福岡市では2016年、平成28年度から、
  分館である東図書館で指定管理者を導入されました。2007年に指定管理者を導入し、2019年から市直営に戻すことを決めた茨城県守谷市立図書館の事例でも見られるように、図書館への指定管理者導入については、各地で、その弊害、問題が指摘されています。私たちは特につぎの2つの点からその導入に反対の考えです。

 ①指定管理者の導入は、市民が「いつでも」」「どこでも」「だれでも」「なんでも」利用する図書館の実現という、すべての市民への図書館サービスを行う責務を放棄するものだと考えます。指定管理者では、このような図書館はできません。

 ②市民にとって役に立つサービスを手渡すのは、経験をつみ、市民と資料を結びつけるために専門的力量を持続して培っていく専門職員です。現在、福岡市の図書館の分館は、東図書館を除きすべて非正規職員である、司書の資格をもった嘱託職員や臨時職員によって行われており、その職員たちの日頃の熱心な研鑽によって、福岡市の図書館サービスが維持されていることは、利用者として、私たちが常日頃、感じているところです。

  指定管理者はおおむね5年の契約で、司書として継続して働くことが保障されていない制度です。福岡市で非正規職員が専門職員として培ってきたその経験の蓄積は図書館を利用する市民の財産でもあります。安易にそれを投げ捨てることは、図書館が市民にとって何であるのか、専門職員はどのような働きをしているのかについて、ほんとうに学ばれているのか、その施策を進める人の見識が問われる事態であるとも考えるものです。指定管理者導入について、どのようにお考えですか。


     導入に賛成である。(理由)
     同じ考えである。今後、それが広がることをなくしていくことを重要である。
③その他(                               )

神谷 貴行   ②同じ考えです。

高島 宗一郎  期日までに回答なし。

神谷氏の回答には以下の追記がありました。

御回答は以上です。
ご指摘の通り、福岡市の図書館行政は大変貧弱です。私が市長になれば、予算を
増やして総合図書館及び分館等の蔵書充実を図ります。地域による格差を是正
するため、図書館の増設を急ぎ、当面「移動図書館」(仮称)を実施します。

 また、司書は正規職員として増員します。福岡市は図書館に指定管理者制度を
導入し、運営への民間営利企業の参入を進めていますが、図書館を営利追求の
場に変質させるものであり、これを改め、直営に戻します。

 私は、東区にいた頃は県立図書館、西区に引っ越してからは西部図書館、職場
では議会図書室に頻繁に出入りし利用しています。特に議会図書室の利用は、
福岡市議会で一番(または福岡市聴者内で一番)だと自負しています。それく
らい私にとって図書館は身近で不可欠なインフラです。今回の公約作成にあた
っても図書館・議会図書室をかなり利用しました。また自分の育成過程におい
ても学校図書室・市の図書館は人生の多くを過ごしてきた場所でした。
NO 図書館、NO LIFEといっても過言ではありません。

以上。
 



                     















2018年11月13日火曜日

No.12「まちに図書館がある」とは、どういうことだろう。「図書館がある」とは、どういうことだろう。

「まちに図書館がある」とは、どういうことだろう、「図書館がある」とは、一体どういうことか。考えてみると私の中にいつもこの問いがある。その時、頭に浮かんでくるのは菅原峻さんの言葉だ。菅原さんについては、6月にブログを始めてから何度も言及し、これからもをあらためて書くことになるが、今回はその言葉を書き記しておこう。

〈図書館がある〉とは、
〈図書館の看板が下がった建物がまちにある〉ことではなく、
そのまちの隅々までサービスがゆきわたっていて、 
いつでも、誰でも、どんな資料でも利用できる、
その態勢がととのっていることをいう。            p.15


まちに図書館があるというのは、
どこに住んでいても、
住民がそこで役に立つサービスを手にすることができる、
納税者にふさわしい利益を得、あるいは還元を受けることができること
でなければならない。
図書館に必要な資料が揃い、自由に利用でき、
職員のサービスをしっかり得られなければ、
まちに図書館があることにはならない。             p.173


本は買って読むもの、日本人は借りるよりも自分のまわりに本を置きたがる、
そのような考えが何の根拠もないものであることは、
多くの図書館の実績が示している。
その実績を生むのが十分な図書費であり、
地域地域を覆うサービス網であり、
職員態勢であることも、
あらためていうまでもないことだ。               p.175


(図書館長は何をする人かについて)

図書館長は、そのまちの図書館サービスの最高責任者である。
図書館の大小、自治体の大小を問わない。
住民にどのような図書館サービスを届けるのか。
これから、サービスをどう発展させていくのか。
それを考え計画を立てる。
司書職員を指揮し、相談にのり、業務を滞りなくすすめていく、
それが図書館長である。

ふたたびデンマークの図書館法を引くと、その第二条で、
「図書館長は、他の司書職員の援けを得て資料を選択し、
 自治体に対してその責を負う」といっている。
住民が必要とする、役に立つ資料群の構成が、
図書館長の極めて大切な責務であることを言っているのだ。
そういったものを身につけていないで、どうして図書館長が務まるだろうか。  p.33

以上、『図書館の明日をひらく』( 菅原峻 晶文社 1999年)より。

菅原峻(たかし)さんのこと。

(1926年ー2011年6月24日 北海道生まれ。1953年、社団法人日本図書館協会に勤務。25年間、勤務して1978年3月図書館計画施設研究所を創設。日本各地の図書館づくりにかかわる。全国の図書館づくりの得がたい相談役として力をつくされた。持論は「図書館は住民次第」。研究所では北海動から沖縄県まで、全国の100館をこえる公立図書館の計画書を作成。又、図書館建築のコンサルタントも行った。公立図書館づくりの現場に日本でもっとも多く立会い、どんなに内容豊かな計画書ができても、その計画書通りの図書館を始めることが、日本においては、どんなに困難なことであるかを知りつくされた方でもある。)

1978年から始めた図書館計画施設研究所では、「北海道から沖縄県まで全国各地の図書館の基本計画をつくり(99館。25年間勤めた、前職の日本図書館協会では5館、合計100館をこえる。設計のコンサルタントも)図書館づくりの現場に日本でもっともたくさん立ち会った菅原峻さんは、日本の図書館は次の3つのタイプに分けられると発言しています。

(『図書館にはDNAが大事なのです』(『アミューズ』毎日新聞社2000.1.26、『図書館の明日を開く』晶文社1999)

最も多いのが、①.「図書館という看板が下がった役所」としか言えない図書館で、
全体の半分以上がそれに当たる。
②「無料の貸本屋」、残りの70~80%の図書館がそれに当たる。
③「本物の図書館」、全体の5%。しかも「本物の図書館」と思っていたところが、
いつのまにか、①、②化していくケースが珍しくない。それ程、「図書館はひよわ
な存在です」と。

市民である私たちは、3つの道のどれを選ぶかという問いかけです。

菅原さんがそこで述べている「本物の図書館」の要件である『図書館のDNA』とは、

「Dとはディレクター=館長。図書館とはまったくゆかりのないところから異動で来た、
本に何の興味もない館長か、それとも専門の教育を受けて本という海を公開する船=
図書館をしっかりと操舵している館長か。大きな違いですね」

【「図書館長」という名前で呼ばれる職員がいるかどうかではなく、「図書館長の仕事
 をする」図書館長がいるかどうか・・・と菅原さんの言葉を受け取ってきました。】

NはNEW BOOK=新しい本を指す。「新しく内容豊かな図書をきちんと購入し続けているか」

ATRACT=魅力。「中身の伴った資格を持ち、利用者の役に立つ魅力的な専門職員がいるかどうかです」

以上、『アミューズ』より。

各地でよりよい図書館づくり運動にとりくむ人たちをつなぎ、励まし、深い力で支え続けて来たのが、1981年8月15日に創刊され、2015年1月15日の100号まで、23年余りにわたり発行された『としょかん』(図書館計画施設研究所刊)で、「住民の住民による住民のための図書館」を考える私たち一人ひとりへの菅原さんからのこの上ない贈り物です。(当初は年4回の季刊、73号から年6回の隔月刊。2007年1月からは、`としょかん文庫・友の会`が101号から再刊。『としょかん 復刻版 NO.1~100』1,210頁 は図書館を考える時の宝の山です)



『図書館の明日をひらく』菅原峻 NO.31,06/4 /22 BIGLOBEメールマガジン
 「カプライト」より 菅原峻さんをしのぶ会 2012.1.23  この冊子づくりに感銘!
糸島市の図書館で所蔵しています。)もぜひ手にとってほしい資料です。

2018年11月10日土曜日

No.11 なぜ、どのように「福岡市は図書館砂漠のまち」なのか 福岡市長選挙、公開質問状を提出した市民の会のチラシから 


11月18日の福岡市長選挙に向けて、`「図書館を楽しむ」市民のネットワーク・福岡`という市民の会がお2人の立候補者に公開質問状を提出。福岡市立図書館のこれからについての公開質問状は、次のように書きだされています。

「図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館のあるまちに
住みよいまち、住み続けたいまち、市民が誇りとするまちには、市民の暮らしの中に、
市民の日々の暮らしの生活圏に、市民の身近に図書館が必要です。」

福岡市が図書館砂漠のまちとは、どういうことでしょうか、なぜ、どのように図書館砂漠のまちなのか、同会のチラシには次のように書かれています。

公開質問状に添付された資料
資料1  政令指定都市 貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表 2016(平成28)年度
 資料2  福岡県内公立図書館貸出順位表〈人口1人当たり) 
資料3  福岡市立図書館と北九州市立図書館との比較 
     2006(平成18)年~2016(平成28)年


同会のチラシより

図書館砂漠のまち・福岡市を図書館のあるまちに

 住みよいまち、住み続けたいまち、市民が誇りとするまちには、 市民の暮らしの中に、

市民の日々の暮らしの生活圏に、市民の身近に図書館が必要です


福岡市は図書館砂漠・・・市民の身近に図書館がない

・市民1人当たり1年間の貸出冊数(貸出密度)2.8冊 (平成28年度)
 政令指定都市20市の中で最下位(第1位 さいたま市8.0冊),   福岡県内52館の中で49位(県内第1位 水巻町13.7冊)30年をこえて極めて利用度が低い状態が続いています。
※人口30万人以上で望ましい目標値8.9 冊(日本図書館協会)

市民の生活圏(中学校区に1館)に図書館を

日本図書館協会が作成した『豊かな文字・活字文化の享受と環境整備─図書館からの政策提言〈2006年(平成18年)、2012年(24年)改正〉では、

「1.市町村の図書館は、おおむね中学校区を単位とした住民の生活圏域に整備すること

市町村の図書館は、住民が日常利用する生活利便施設【市民の生活の基本施設・・・会による注記】です。こどもや高齢者、障害者にとって身近で安心して利用できることが必要です。すべての住民が利用できる身近な図書館とするために、中学校区を生活圏域として考え、それを設置することを求ます。(略)日本の図書館サービス拠点は諸外国に比べて大変少なく、図書館を増やすことは最も重要な政策課題です。中学校区に1館設置されると、人口当たりではG7の平均に、やっと到達することになります。」

2. 地域の図書館は800㎡以上の施設面積でつくり、5万冊以上の蔵書をもち、3人以上の専任職員を配置すること。」 と述べています。
 
中学校区設置率(公立中学校1校に図書館1館を100%として算出)でみると、福岡市の中学校区設置率は、(図書館数11÷市立中学校69校=)16%

政令指定都市中、貸出密度第1位のさいたま市(人口127万人)は、
図書館数25÷市立中学校57校=44%、24分館の他、移動図書館1,サービスポイ
ント4 (※分館数は福岡市の2.4倍)
・福岡県内52館の中で、第1位苅田町は200%、かつ移動図書館の運行)
 
利用者にとって図書館の魅力は、新鮮で多様な蔵書
・リクエストしたら「150人待ち」と言われたことも!!
・「利用者を手ぶらで帰さない」ためには、資料費(図書費)の確保が肝心要

福岡市、人口当たり資料費71円。政令指定都市中19位、第1位は札幌市248円、さいたま市は180円。福岡県内の平均 175円 (東京都の図書館の平均 314円)福岡県内の図書館 第1位 みやこ町740

人口段階別の人口当たりの指標となる金額は

・8万人~10万人⇒321円、10万人~15万人⇒352円、15万人~20万人 ⇒424円、20万人~30万人⇒393円、30万人~ ⇒193円

(『図書館雑誌』日本図書館協会2018年5月号、「貸出密度上位の公立図書館の整備状況・2017」について)人口段階別に、貸出密度上位10%の平均値を指標にしている。

特別区(東京23区)、政令指定都市については、各区、政令指定都市の間で、人口規模に大きな違いがあるため、平均値は算出されていない。このため、特別区、政令指定都市については、人口30万人以上の193円を指標として考える。)

資料費の総額は、福岡市は、1億625万円、政令指定都市中、利用度第1位の人口127万人のさいたま市は、福岡市の2倍をこえる、2億2,931万円。
「資料1」の「参考」にあげた東京都の文京区(人口21万人)は、福岡市の人口の7分の1であるが、資料費は福岡市より多い、1億1,068万円で図書館数は10館、サービスポイント1で、中学校区設置率100%。
 

  職員の体制の整備が最大の課題 

「人口150万の市の図書館で正規(専任)職員32人のうち、司書(専門職員)が4人 って、ほんとうですか?」と、一体、どれだけ、県内だけでなく県外の市民(住民)や図書館関係者から、驚き呆れられた、いや、驚き呆れられていることでしょう。   

     専任職員32人、②うち司書4、③非常勤・臨時職員118、④派遣職員60

北九州市との比較 (2007・平成19年~2016・平成28年)
・北九州市立図書館 専任職員20人(うち司書2)⇒37人(うち司書22)
・福岡市立図書館  専任職員43人(うち司書12)⇒32人(うち司書4)
※平成30年度は、司書1人減の3人に。(図書サービス課1,文学・文書課2) 
※福岡市立図書館の職員組織 『図書館要覧 平成30年度 福岡市総合図書館』より

・職員組織
総合図書館 一般職員32(うち司書3)+ 嘱託職員42(うち司書33) 合計74(うち司書36
分館(10館) 一般職員(0)、嘱託職員65(うち司書46) 計65(うち司書46)
総計 一般職員32(うち司書3)+ 嘱託職員107(うち司書79)=139(うち司82)

※政令指定都市20市の中で、貸出密度8.0(福岡市は2.8)で、利用度第1位のさいたま市(人口 127万人)は、専任職員(一般職員)179人(福岡市の5.6倍)、うち司書111(福岡市の37倍)、非常勤24(福岡市の5分の1)

・運営組織
 図書館長、副館長(事業管理部長事務代理)のもと4つの課
「運営課」(運営係と企画係の2係;決算及び経理庶務、企画他)
「図書サービス課」(3係と10分館;管理調整係、読書活動支援、図書資料係、分館)
「文学・文書課」(文学文書係と古文書係の2係)
「映像資料課」(映像資料係と映像企画係の2係)

・一般職員(専任職員32人のうち、専門職員である司書は総合図書館にわずかに3人、
分館は専任職員は0で、すべて嘱託職員、かつて分館に専任職員2人が配置されていた時があった。)

・司書3の配置は、図書館サービス課に1人、文学文書課に2人。
・文学・文書課の職員は学芸員資格もあり、企画、運営で専門職員としての力を発揮さ
 れた仕事をされている。最近では、「上野英信展 闇の声をきざむ」の企画や内容の
 充実した図録の作成など。

・図書館の組織、運営上、また市民への図書館サービスを主に担当しているのは、分館
 10館を含む「図書サービス課」で、嘱託職員を含めた職員総数139人のうち、同
 課には106人と職員総数の約78%の職員が配置されている。まさに図書館サービ
 スの本体部分と言える。

その本体部分である「図書サービス課」に配置されている専門職員は(1人)である。この体制では、日常の業務だけでも手一杯で、すべての市民への図書館サービスを考えることは難しい。その結果が今日の状態ともたらしていると考えられる。病院に医師や看護士が欠くことができないように、図書館には専門職員としての司書の配置が欠かせない。

資料1 「政令指定都市、貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表 2016(平成28)年
 度」にある「参考」事例としてあげた5つの図書館の「専任職員数(うち司書)」、
「貸出密度」、「図書館数」、「中学校区設置率」、「人口当たり資料費」を福岡市の
それと比べてみてください。

上記のうち、「専任職員数(うち司書)」で、
東京都調布市(人口226,000人)専任65(うち司書47)+非常勤112で、人口は福岡市の約7分の1であるが、専任職員数は2倍、うち司書は約12倍(平成30年度は約16倍)。
 人口164,000人(福岡市の約11%の人口)の千葉県浦安市は専任職員は32人で福岡市と同数であるが、うち司書は31人と、専任職員の約97%が司書。これに対し福岡市では32人の専任職員のうち司書は3人と司書率は9%である。

ちなみに浦安市は「図書館のあるまち」として知られ、市民は歩いて10分で市内の図書館を利用できる。分館7、サービスポイント3で、1983(昭和58)年の中央図書館以来、全域サービスを運営の柱としたサービスを行っている。人口10万人台で毎年1億円をこえる資料費を計上してきたが、近年、その資料費が1億円を下回ったことが話題となった。平成28年度の資料費は、9,644万円で市民1人当たり588円(福岡市の71円の約8.3倍)。

「参考」例にあげた図書館では、いずれも専門職員である図書館長が職員を指揮して、図書館長としての職務に力をつくしていると思われる。

 ② 2007年(平成19年)から2018年(平成30年)の12年間で、福岡市総合図書館の館長は9人と短い期間で変わっている。なお、同期間で副館長(事業管理部長事務代理)は6人で、31人、11人、23人、2年目1人と、2年の任期が多い。いずれも短期間の任期である。

 福岡市において40年間にわたって、全域サービス網の図書館計画が作られてこなかった最大の要因は、計画をつくる当事者、その責務を担う図書館長を含めた専門職員の体制が作られてこなかったことにあると考えます。

「図書館砂漠のまち・福岡市を、図書館のあるまちに」していくためには、すべての市民への図書館サービスを考え、それを具体化、政策化することに力をつくす館長、専門職員の体制の整備にとりかかることが第一に求められることだと考えます。
 まず、人(専門職員)から、職員の体制の整備から始まるのだと考えます。

すべての福岡市民が利用できる、図書館政策策定の早急な取り組みを!そのための職員の体制づくりを。

「図書館をたのしむ」市民ネットワーク・福岡 
     

2018年11月9日金曜日

No.10 図書館砂漠のまち・福岡市を 図書館のあるまちに 福岡市長選挙で公開質問状 

糸島市が隣接する福岡市では11月18日に市長選挙が行われます。福岡市の市民のグループ«「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡»では、11月2日に市長選挙の立候補者お2人に福岡市の図書館について公開質問状をだされました。

公開質問状のデータはここをクリックしてください。

資料1 政令指定都市、貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表 2016(平成28)年度
 資料2 福岡県内公立図書館貸出順位表(人口1人当たり) 2016(平成28)年度
  資料3 福岡市立図書館と北九州市立図書館との比較 
      2006(平成18)年~2016(平成28)年

福岡市の図書館のあり方、また市(市長・行政)が市民の会に対してどのように対されるかは、糸島市ですべての市民が利用できる図書館のあり方を考え、求めている糸島市民にとっても深い関わりがあります。その内容と動向を広く伝えあっていきたいと考えています。質問状への回答(13日までに)の内容が分かり次第、お知らせします。

公開質問状は次のように書きだされています。

 図書館砂漠のまち・福岡市を 市民の身近に図書館のあるまちに
 住みよいまち、住み続けたいまち・市民が誇りとするまちには、市民の暮らしの中に、
市民の日々の暮らしの生活圏に、市民の身近に図書館が必要です。」

また、«「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡»については、〈私たちは福岡市の図書館が、市民が「いつでも」「どこでも」(市内のどこに住んでいても)「だれでも」「なんでも」(市民が求める資料や情報はなんでも)利用できる図書館、とりわけ図書館が市民の身近にあることを願って活動している市民の会です。〉と述べています。

さらに、福岡市の図書館の利用度(「貸出密度」:市民1人当たり貸出点数2.8:資料1による)が政令指定都市20市中、最下位の20位(第1位はさいたま市8.0:資料1による)、福岡県内52館中49位と30年以上にわたって極めて低い状態であることを指摘した上で、

福岡市の図書館の利用度がこのように極めて低いのは、福岡市民の読書に対する関心が低いからではありません。人口150万人を超える大きな市に図書館が11館しかなく、移動図書館もないことが、その主たる要因であることは、図書館政策をもち、分館の適切な配置や移動図書館による全域サービス網をつくり、図書館費を自治体普通会計予算の1%以上を毎年計上し、司書資格をもつけいけんある館長のもと、人口規模にふさわしい専門職員(司書)数を配置して活動している各地の図書館「での」か?)実践が明らかにしているところです。」

公開質問状の末尾では、

 「図書館は市民が実際に利用できてこそ、地域に図書館があるといえます。現在の図書館の在りようは、多くの市民にとって市民の身近に図書館がない、図書館砂漠としか言えないものだと私たちは考えています。この度の市長選挙が、福岡市の図書館の現況を正しく把握し、図書館砂漠のまち・福岡市を市民の身近に図書館がある、市民が誇りとする図書館のあるまちに向けての新たな一歩、契機となることを心から願っています。」

同会のチラシより

図書館砂漠のまち・福岡市を図書館のあるまちに

 住みよいまち、住み続けたいまち、市民が誇りとするまちには、 市民の暮らしの中に、

市民の日々の暮らしの生活圏に、市民の身近に図書館が必要です

福岡市は図書館砂漠・・・市民の身近に図書館がない

・市民1人当たり1年間の貸出冊数(貸出密度)2.8冊 (平成28年度)
 政令指定都市20市の中で最下位(第1位 さいたま市8.0冊),   福岡県内52館の中で49位(県内第1位 水巻町13.7冊)30年をこえて極めて利用度が低い状態が続いています。
※人口30万人以上で望ましい目標値8.9 冊(日本図書館協会)

市民の生活圏(中学校区に1館)に図書館を

日本図書館協会が作成した『豊かな文字・活字文化の享受塗環境整備─図書館からの政策提言』〈2006(平成18)年、2012(平成22〉年〉では、

「1.市町村の図書館は、おおむね中学校区を単位とした住民の生活圏域に整備すること

市町村の図書館は、住民が日常利用する生活利便施設【市民の生活の基本施設・・・会による注記】です。こどもや高齢者、障害者にとって身近で安心して利用できることが必要です。すべての住民が利用できる身近な図書館とするために、中学校区を生活圏域として考え、それを設置することを求ます。(略)日本の図書館サービス拠点は諸外国に比べて大変少なく、図書館を増やすことは最も重要な政策課題です。中学校区に1館設置されると、人口当たりではG7の平均に、やっと到達することになります。」

2.地域の図書館は800㎡以上の施設面積でつくり、5万冊以上の蔵書をもち、3人
 以上の専任職員を配置すること。」 と述べています。

福岡市の中学校区設置率は、(図書館数11÷市立中学校数69校=)16%です。政令指定都市中、貸出密度第1位のさいたま市は44%。福岡県内52館の中で、第1位の苅田町立図書館は200%、かつ移動図書館を運行)
 
・利用者にとって図書館の魅力は、新鮮で多様な蔵書
・リクエストしたら「150人待ち」と言われたことも!!
・「利用者を手ぶらで帰さないためには、資料費(図書費)の確保が肝心要

福岡市、人口当たり資料費71円。政令指定都市中19位、第1位は札幌市248円、さいたま市は180円。福岡県内の平均 175円 (東京都の図書館の平均 314円)福岡県内の図書館 第1位 みやこ町740

人口段階別の人口当たりの指標となる金額は

・8万人~10万人⇒321円、10万人~15万人⇒352円、15万人~20万人 ⇒424円、20万人~30万人⇒393円、30万人~ ⇒193円(『図書館雑誌』日本図書館協会2018年5月号、「貸出密度上位の公立図書館の整備状況・2017」について)人口段階別に、貸出密度上位10%の平均値を指標としている。

特別区(東京23区)、政令指定都市については、各区、政令指定年の間で、人口規模に大きな違いがあるため、平均価は算出されていない。このため、特別区、政令指定都市については、人口30万人以上の193円を指標として考える。
  

  職員の体制の整備が最大の課題 

「人口150万の市の図書館で正規(専任)職員32人のうち、司書(専門職員)が4人 って、ほんとうですか?」と、一体、どれだけ、県内だけでなく県外の市民(住民)や図書館関係者から、驚き呆れられた、いや、驚き呆れられていることでしょう。   

     専任職員32人、②うち司書4、③非常勤・臨時職員118、④派遣職員60

北九州市との比較 (2007・平成19年~2016・平成28年)
・北九州市立図書館 専任職員20人(うち司書2)⇒37人(うち司書22)
・福岡市立図書館  専任職員43人(うち司書12)⇒32人(うち司書4)
※平成30年度は、司書1人減の3人に。(図書サービス課1,文学・文書課2)

 ② 2007年(平成19年)から2018年(平成30年)の12年間で、福岡市総合図書館の館長は9人と短い期間で変わっている。なお、同期間で副館長(事業管理部長事務代理)は6人で、31人、11人、23人、2年目1人と、2年の任期が多い。いずれも短期間の任期である。

福岡市において40年間にわたって、全域サービス網の図書館計画が作られてこなかった最大の要因は、計画をつくる当事者、その責務を担う専門職員の体制がつくられてこなかったことにあると考えます。

「すべての市民への図書館サービスを考え、それを具体化、政策化することに力をつくす館長、専門職員の不在が、図書館砂漠のまち・福岡市をもたらしている」と考えられます。

すべての福岡市民が利用できる、図書館政策策定の早急な取り組みを!そのための職員の体制づくりを。

「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡