2022年9月28日水曜日

アーサー・ビナードさん講演会にようこそ!10.29(土) No.98

「糸島の図書館の未来を考える会」主催の初めての講演会、第1回はアーサー・ビナードさんをお迎えしま す。以下ご案内です。ーーーーーーー
あふれだす「絵本の力」  「ありえない!」時代へようこそ   ~エリック・カールと宮澤賢治といっしょにいまの世界を見つめる~ 語り アーサー・ビナードさん アメリカのミシガン州に生まれる。 ニューヨーク州の大学で英文学を学 び、卒業と同時に来日、日本語でも 詩作を始める。数々の賞を受賞。 2022.10.29.SAT 12:00 受付開始&サイン会 13:30 講演会スタート 場所 初潮旅館(糸島市二丈鹿家1735-18) 主催 糸島の図書館の未来を考える会 大人2500円 大学生・高校生1000円 中学生以下無料 〇お問い合わせ 090-7678-2048(龍国寺甘蔗)     090-1852-1102(ノドカフェ坂本) 〇注意事項 ・外履き入れのご持参をお願いします。 ・絵本の購入とサイン会をご希望の方はお早めにお越しください。 ・乗り合わせや公共交通機関のご利用などをお願いいたします。 ・ドリンクの提供(有料)のみございます。

2022年9月26日月曜日

10年前、漆原宏さんから、糸島で手渡されたもの・・・No.97

9月15日に亡くなられた漆原宏さんは全国各地で講演をされていた。住民のだれもが〈いつでも どこでも なんでも〉、生涯にわたって利用できる図書館を求める市民にとっては、漆原さんが撮られた図書館の写真からだけではなく、図書館を語る漆原さんの言葉から、さらに深い力を手渡されてきたように思う。10年前の2012年3月25日、「図書館によせる私の思い」と題して漆原さんの講演会を糸島市で行った。主催は「としょかんのたね・二丈」会場は糸島市の図書館の分館「糸島市図書館二丈館」の3階会議室だった。ご遺族のご了解を得て、ここに当日の後援会のレジュメと配布資料を公開させていただきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 講演会ちらしから 「図書館によせる私の思い」 漆原宏講演会------------------------------------------------ ーープロフィールーー1969年・研光社入社 社員雑誌『フォトアート』その他の編集に従事。 1975年・フリーの写真家となり現在に至る。日本写真家協会会員。1996年・『図書館雑誌』(日本図書館協会刊行の月刊誌の写真取材を始める。毎月、同誌のグラビア頁に掲載。著書に『地域に育つくらしの中の図書館』(ほるぷ出版1983) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1976年以来36年間にわたり図書館の写真を撮り続け、日本の写真家による唯一の写真集『地域に育つくらしの中の図書館』の著者でもある。日本各地の住民のくらしに役立つ図書館づくりを講演や写真展などを通して声援。図書館がいわゆる本好きといわれる人だけのものではなく、赤ちゃんからおとしよりまで市民のすべてに欠かせないものであることを、図書館の多様な利用の仕方のお話を通して語られます。ーーー 「図書館って、こんな利用の仕方があるの?」私たち誰もが図書館を楽しく便利に「美味しく食べる」お話を伺う講演会にようこそ。本を借りに行ったことはあるけど、とういう方も。ようこそ。ーーー もっともっと あなたの図書館となるために。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー とき 3月25日(日)13:30~15:30 / ところ 糸島市図書館二丈館3階会議室A(糸島市二丈深江1360) 参加費 無料・・・主催 としょかんのたね・二丈(☎番号 オオマツ) ------------------------------------------------------- ―レジュメ―(2012/03/25)ーーー主催・としょかんのたね・二丈ーーーーーーーー これからの図書館とその利用法 ―図書館のおいしい食べ方―    漆原宏(図書館写真家) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎はじめに図書館ってどんなとこ図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。―――配布資料(1)  ・図書館は世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。―多文化・多言語、多様性ー  ・豊富な資料は、多様な選択肢を保障し、多様な価値観の形成をうながします。ーーー  ・蔵書構成―比較検討―比べて考える―無料貸本屋と違うーーー  ・図書館の泣き所=自衛隊、原子力発電ーーー  ・IT機能整備―世界的視野、速報性、多文化・多言語、膨大な情報量、島国、※琉米文化会館ーーー  ・図書館員は人類の歴史の接点に立つ仕事  ※糸島市の取り組みーーー   技術員、ボランティア、住民(それぞれが各分野の専門家)の協力ーーー ◎暮らしと仕事、そして”まち”に役立つ図書館ーーー  ・図書館は、自治体が設置し、運営する―条例で定めるー  ・時事・自治資料の提供   図書館法第3条7項ー  ・図書館は、自治体のひとづくり、まちづくりの頭脳として機能する機関ー  ※九州大学誘致、学術研究都市づくりの推進ー  ☆行政支援=糸島市行政支援ー  ☆ビジネス支援=今を支える企業人、社会人への資料提供―林家、農家、漁家、工場主、商店主などー  ☆学校支援 学校教育と社会教育はセット―生涯学習ー体系化ーー  ☆図書館利用に障害のある人々へのサービスー養護施設・高齢者施設・病院図書館・宅配ーー ◎図書館利用の生活化―住民参加、自主講座ーー  ・生涯学習―①受益者負担②民間教育機関の活用③ボランティアの育成・活用ー  ・図書館資料が花ひらくとき、集会室が賑わう ・・・図書館法3-6,自由の宣言 前文2-3  ・▽お話会・工作会(手作り会)▽読書会▽映画界▽特設コーナー▽行事・展示▽IT技術ーーー  ・利用者用(住民発信用)掲示板の設置ー  ◇「図書は、暮らしの知恵袋」― 配布資料2ーー ◎図書館のおいしい食べ方(ランダムに持ち時間まで)ーー ・メニュー1- 子どもに体験―遊び、自然科学(教室)、料理(教室) ※文字は記号         (中学生―大学図書館見学=国立より私立が良い)ーー ・    2- 新学期〈入学式 新入生 PTA〉 新年度〈入社式 新入社員〉ーー ・    3- 暮らしを支え・創りだす住民の話=中・高校生対象(青年前期 後継者)ー ・    4- 高齢者(生きがい=プロ集団・結婚・介護・共同生活・グループハウス)ー ・    5- 伝統・地場産業(地域)振興―女性の参加、団塊の世代のI・Uターンーー ・    6- 野草〈薬草〉(予防医学)、  ※糸島市=川上・川下(環境保全)ーー ・    7-和室利用―句会・歌会、囲碁・将棋(入門、大会)、茶道、骨董、着付、ヨガ・スポーツ             (茶道、華道=民間教育機関を歩く)ー ・    8-一枚のポスターからーー ・    9-自然災害(地震・津波)、恩恵(防災・避難/生命誕生/温泉・旅行)ーー ・    10-貸出用絵画-特別展示(プロ作家の個展〈絵画〉にこだわらない)ーーー ーーーーーおわり ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー レジュメをみると、漆原さんの声が耳元だけでなく胸底によみがえってくるようだ。10年前の漆原さんの声、その言葉が2022年9月の今現在の私に、今これからの私たちが踏みだす道の灯火のように思われる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 配布資料1ーーーーー―――図書館利用を生活化しよう―――ーーーーーーーーーーーーーーーーー図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。ーーー ――『図書館の自由に関する宣言』、『図書館のめざすもの』の意味するもの――漆原宏 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎人類と図書館ーーーーー 人類は、地球上の緯度・経度の位置関係より簡単に記しても熱帯・寒帯、海浜・山岳、砂漠・湿地、創元・樹林など自然環境の違いの中で多くの人種、民族が誕生し、生活しています。したがって気候風土、衣食住の違いは、人的物的交流に差異が生じ、風俗習慣、生活習慣など、社会発展に遅速が現れます。そして時代を経て区別され、差別化が表れるまでになりました。結果、地球上の諸民族、諸国民の歴史には人間の負の遺産が多く含まれています。ーーーー しかし、その時代に生きる大多数の民衆は、幸せな人生、平和な生活環境を日々願って暮らしを営んできました。願いは子孫に託され、暮らしから生み出された知識や知恵を後世に伝える手段として、現代の図書館が形づくられてきました。ーーー私たちは、1人ひとりの顔がちがうように趣味、嗜好、価値観など主義主張とその表現手段が違います。 記憶としての口承から、保存としての記録へ、手段は多様化し、従来、図書資料としての紙となる素材は、草、木が多用されましたが、現代はフィルム、CD、DVD、HD、SDメモリーカード、USBメモリー、スマートメディア、 メモリースティック、コンパクトフラッシュ、XDピクチャーカード、などが記録媒体として加わり、保存され利用に供されるおうになるました。ーーー表現の素材としては、水、紙、竹、皮、骨、土、石、銅、鉄、銀、金、アルミ、プラスティック、ガラスなどです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎図書館は世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。ーーーーーーーーーーーーーーーーー 日本の公立図書館は、日本にあるからといって、日本人が創り出した資料だけを収蔵しているわけではありません。 同じ主題を人種や民族、老若男女、そして異なる価値観をこえて世界の多くの人々が各人の思考と異なる表現手段を用いて創り出しています。各主題が多角的な切り口(多文化・多言語)から扱われ、多種多様な結果が用意されていrので、各人が納得のいく結果が得られるでしょう。ーーーしたがって図書館は、世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。ーーーそれは、図書館の目的のひとつ、平和で人間性豊かな」国際社会の創造に活かされます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◎図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。-------------------------------------------------- 日本国憲法前文は、平和主義、民主主義という「人類普遍の原理」を掲げています。国民主権、基本的人権の保障による自由と平等、そして互恵、戦争を放棄し領土を尊重し、国際的協和と友好、恒久的平和と共存を実現するためです。 そして、教育基本法前文には「この(憲法)理想の実現には、根本において教育の力をまつべきものがある」とし、第一条に「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」を掲げ、第七条二項に図書館施設を設置し教育の目的の実現に努める、ことを謳っています。ーーつまり図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。結果、日本国憲法の理想の実現には、図書館が不可欠です。------------------------------------------------ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎豊富な図書館資料は、比べて考えるうえで不可欠です。ーーーー 図書館資料は、各館の収集方針に基づき蔵書構成がされます。ある主題に対し縦軸は入門書から専門書まで、横軸はその類書群が収書・配架されます。ーーーまた、レファレンス・コレクション(引く本)として、調査研究活動に提供される字書、辞典、百科事典、図鑑、年鑑、統計書、白書、ハンドブック、便覧類など、図書館員がレファレンス・サービスに用いる資料があります。ーーー人は皆、今までの認識量の範囲内で思索し模索して、調べたい主題の類書群を読み、比べて考え、さらなる知識や知恵を得て、その時点の認識量の範囲内で自己決定(判断)します。ーーー認識は量を増し頭脳に蓄えられ、主義主張となり、行為や行動へと意思表示され、個としての人格を形成してゆきます。それには、資料が豊富であることが必要です。ーーー私たちは、それらを心の糧として成長し、ひとりの生活者として、社会人としての役割(立場、職業)を担い、暮らしを営んできました。自己決定学習は、過去をふまえ、今をおしすすめ、未来をのりきる力を生み出します。ーーー-------------------------------------------------ーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎豊富な資料は、民主主義の理念である多様な価値観と選択肢を保障します。ーーーーーーーーー 豊富な資料により比べて考える仕様が、多様な価値観と選択肢を保障します。主義主張の異なる人々が共存共生する社会を支援します。ーーー私たちは、図書館資料を人類の文化財あ(遺産)として共有し、利用します。自己決定学習は、人間が主体としての基本的権利です。―――図書館は、民主主義の根幹である基本的人権のひとつ、生涯にわたる学習を保障します。多様な価値観を持つ人々が共存共栄できる社会が民主主義であり、図書館は、民主主義を方がさせる土壌です。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー--------------------------------- ◎図書館は、教育機関として無料で、自己実現を可能とする学習機関です。 -------------------------------------------------------- 教育法制にみる手段としての図書館は、図書館法第17条に利用を無料と規定しています。憲法前文と第25条に謳われる生存権の保障は、学習権の保障のうえに成り立つからです。ーー学校教育を終え、社会人としての自己学習の場を保障するひとつに図書館が位置づけられています。仕事に暮らしにこじんとして、地域活動に集団としても利用されます。--------------------------------------------------------- ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎自治・時事の資料・情報を住民に閲覧する仕事を担います。ーーーーーーーーー 条例でつくられる図書館は、自治体行政へ努めてサービスし、図書館法第3条7項に定める時事問題をも、速やかに広く、そして確かな資料と情報を併せて閲覧・提供する役割を担っています。直接選挙制度を掲げる日本にあって自治意識を形成する基盤となる機関です。ーーー戦前、国家が教育と情報を一方的に決定・管理し、国の政策を無条件に支持し、正当化するいっかんした政治を進めたことで、国民は侵略戦争に動員されていきました。国家が国民の知る権利を踏みにじった歴史への反省に立って、教育内容を一方的に当世してはならないということが、戦後の新しい教育理念として承認され、憲法・教育基本法制定の基本原則となったのです。図書館は、その教育法制のなかに教育機関として位置づけられています。ーーーその願いには、図書館理念と同調し、国際社会と協和する、平和で人間性豊かな日本社会の創造です。ーーーーー---------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーー ◎図書館は、地域資料の収集・提供、そして保存は重要な仕事です。ーーーーーーーーー 図書館は、当該自治体の拠って立つ歴史的背景と存在理由を郷土・地域から掘り起こし、そして行政事業で印刷化された資料など、必要とする資料は選別収集し、閲覧、保存する役割を担っています。図書館員は、地域資料の収集に意識的に取り組む姿勢が求められます。---住民が国・自治体の権利侵害行為に権利回復の行動などをおこす場合など、住民運動が発行する宣伝物を収集・整理して国・自治体の資料と比較検討出来るよう配架し閲覧に供します。--------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------- ◎図書館は、生きがいのある暮らしを営むためにあります。---------------------------------- 図書館は、時空を越えて世界の人々と出会い、資料を媒体に人と人とが集会室で集い、明日への知恵と英気を養うところです。ーーー図書館は、暮らしや仕事に助言や着想を引き出す事が出来ます。人としての在り方や生き方を資料と対話しながら探し、確認できます。そして、趣味や娯楽を憩えるオアシスとして疲労や悩み、悲しみや挫折を癒し、明日への元気を与えてくれます。ーーー人は図書館資料を活用して、個として自らを律し、生活者として自立した市民へと成長できます。自立した市民の結びつきは、自治意識を培い、責任感と行動力をもって自治体活性化に参画・参加し、そして国政の誤りも正せます。ーーー 図書館は、住民の暮らしや仕事、そして自治体行政の頭脳として、ひとづくりの要となり、まちづくりの 核として役立ちます。---------------------------------------------------------おわり ---------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーー 〈配布資料2〉---------------------------------------------------------  図書館は暮らしの知恵袋―――図書館は地域社会を活性化する―――ーーーーー                ーーー-----------------------------漆原宏(図書館写真家)ーー ---------------------------------------------------------------- □ 図書館は、暮らしの知恵袋ーーー 私たちは、知恵を働かせて生活しています。知恵とは知識を活性化したものです。お米は炊いて食べるだけでなく、蒸してお赤飯をつくり、蒸かしてついてお餅をつくり、粉にして焼いてお煎餅をつくり、麹をつくって味噌や醤油、そしてお酒をつくります。ーー牛は肉として食べるだけでなく、乳を絞ってミルクのほかにバターやチーズをつくり、皮はなめして靴や鞄、そして副をつくります。ーーこのように私たちは、知識を知恵に活かした生活しています。ーーー知識や知恵を収蔵し、利用できる機関が図書館です。 つまり図書館は、暮らしのなかにあって、その存在理由があります。-------------------------------- ーーー □図書館は地域社会を活性化する-------------------------------- ある図書館が封筒に「見えないものが、見える目を」としるしたように、図書館資料は、暮らしに欠かせない物事や現象の、本質とその構造を解き明かす知識や知恵、そして情報を提供してくれます。 結果は、住民一人ひとりが自ら考え、自ら判断し、そして自分の発言や行動に責任を持つ人間へと成長させてくれます。ーーー各自治体が設置し運営する公立図書館は、乳児から高齢者、そして図書館利用に障害を持つ人々、また外国人までを対象としています。社会人を主軸に学校図書館を支援する教育機関です。私たちは、図書館資料をによる学習をとおして、事業や生産、労働や福祉に必要な経営や技術の知識や技術情報、そしt趣味やレジャーに必要な知識や知恵、さらに情報を得ることができます。ーー図書館は、すべての人にひとしく資料と施設を提供してくれます。ーーー知識を知恵に活かす知恵袋として、暮らしの知恵袋として、地域住民が図書館を認識したとき、図書館は地域に根づき、地域社会は活性化します。ーーそれには、そこに住む人たちが毎日一度は歩く生活動線上に図書館を造ることです。駅前や繁華街、ビジネス街や官公庁街、住宅地域の商店街、スーパーマーケットや学校のそば、そして住宅地など人々が毎日とおり、集まる所だと立ち寄りやすいでしょう。-------------------------------- -------------------------------- □ 図書館とは-------------------------------- 私たあちは生物が地球上に誕生してから、38億年を費やして人類へと進化し分化し、自然に順応し共生しながら今日の人間社会を築いてきました。その間、私たちの遺伝子は、何億ビットという記憶量を蓄えてきました。遺伝子が一杯になると頭脳をつくりました。しかし科学や文化は時代とともに発展し、頭脳に入りきらない知識量を生み出しました。頭脳の記憶量も一杯になったとき、人間は外部記憶装置を考えだしたのです。それが図書館です。(朝日新聞社刊、カール・セ―ガン著『コスモス』)ーーーー 脳細胞は脳神経がはりめぐらされて活かされるように、図書館資料も異なる地域、異なる文字・言語をこえて活かされるためには、組織網が必要です。町村の図書館にない資料も、自治体間や国際間で相互協力や相互貸借胸底を結んで市区立、都道府県立、そして国立や外国の図書館からも借りられます。つまり図書館は、一つひとつの資料の集合体に終わらず、すべての資料が有機的に点から線へ、線から面へ網の目のように連鎖し、連携して機能する機関で、人間が暮らしのなかからうみだした機能であり、暮らしの知恵の産物なのです。ーーー図書館資料には、一般家庭ではそろえきれない自然科学や社会・人文科学の資料が配架されています。自然科学資料は、有形、無形に存在するすべての物質に、存在の必然性があることをしるしています。ーーー自然界の自然物の一員で、唯一思考し、思索し、判断し、そして行動する人間は、全物質を支配し独占できます。しかし、自由に伐採し、捕獲し、掘削することは人類を含めた生態系を侵し、自然を死滅させ、宇宙をも破壊します。図書館資料は、すべての”生命”と自然、そして宇宙が、人間に託されていることをにんしきんさせてくれます。ーーーーー社会・人文科学資料には、人類が 「ヒューマニズムと民主主義」を目指して、さまざまな社会制度をうみだし、体験してきた歴史があります。汗と涙と、そして血を流し、自由で平和な社会を目指して、語り継ぎ、記録(文字、活字、画材、地図、楽譜、フィルム、レコード、カセット・ビデオテープ、CD、DVD,USBメモリーなど)してきました。 ーー人類は、時の流れに即して文化をうみ、資料は量が質を高め、時代を反映して文明をおこし、資料は質が更なる質を高めてきました。図書館資料は、人類の歴史とともに増殖し、人類が「生きて活動する根源の力で、生物を生物として存在させるもの」( 岩波書店刊「国語辞典〈せいめい〉参照)として不可欠となるのです。ーーーつまり、図書館資料は、存在するすべての”生命”の大切さを認識し、共存・共生 する意識を継承すべく先達が書き残してくれたものです。”生命”の大切さを書きしるしたものです。もっと極限すれば、図書館資料とは、”生命”と不可分なのです。ーーー図書館は、それらの資料を地球規模で選択し、収集し、いまの暮らしに活かしています。人類の文化遺産を共有し利用することで、”生命”を大切にする平和で人間性豊かな国際社会を創ることです。豊富な資料が住民に利用されることで、一人ひとりに多様な選択肢を保障します。そして、学習をとおして多様な価値観の形成をうながし、確固とした判断力(自己決定)を培います。自己決定権は、国民が主体としての基本的権利です。ーーーー -------------------------------- □ 図書館は平和で自由な土壌のうえに開花するーーーーーーーーーー 図書館資料が人類の歴史の証といわれるのは、その一つひとつが、そ時代に生れ、その環境を生きぬき、その職業をまっとうし、そのおかれた立場にあって過去を見つめ、いまを捉え、そして未来を拓く一人ひとりの生き方の集積であり結晶だからです。その一つひとつに、著者のライフワークが思い入れとともに書き込まれています。それをいまに生きる私たちが心の糧とし、暮らしや仕事に役立て、社会や家庭を営んでいるのです。ーーしたがって図書館資料からは、暮らしや仕事の助言や着想を引き出すことができます。人としての在り方や生き方を資料と対話しながら探し、確認できます。そして、趣味や娯楽を憩えるオアシスとして、また、疲労や挫折、悩みや悲しみを癒し、あすへの元気を与えてくれます。図書館は、人それぞれの生き方と楽しみ方を導きだすことができます。また、何をどのように読んでも、読書の自由とプライバシーが保護されています。ーーしたがって図書館は、平和で自由な土壌のうえに開花します。図書館は、人類に不可欠な機関として、人類が生存するかぎり、ともに成長していくことでしょう。ーー ---------------------------------------------------------------- □ 図書館は、人類に不可欠な機関、無料が原則-------------------------------- 人は皆、この世に求められて生まれてきます。ゆえに憲法では、生存権をうたっています。ユネスコは、 1985年に「人間の生存にとって不可欠な手段である」(三省堂刊『解説 教育六法1992〉学習権宣言・国保障民教育研究所訳)として、基本的人権の一つに学習権を宣言しました。つまり、生存権は学習権の保障のうえに成り立つのです。ーーー図書館利用が無料の理由は、住民(外国人を含む)すべての学ぶ権利や知る権利をひとしく保障するうえで不可欠な機関だからです。 いつでも、どこでも、だれでも、どこからでも、どこへでも、どんな資料でも、そして会議室やホールでも、無料で借りること、人とひととのができなければならないでしょう。-------------------------------- -------------------------------- □ 図書館は人と人との出会いの場、集いの場-------------------------------- 図書館は、個人的な疑問や仕事上の不安であれ、社会的出来事や自治問題であれ、利ます。用さである地域住民へ問題提起し、集会室を利用しての集会・文化活動へ発展的に結びつけ、数人の講師による講座の実現や情報交流の場の確保など、資料とセットされた施設の提供が可能です。いまをおしすすめ、未来に生きる私たちは、地球規模の市やでの認識と行動が求められます。現代の生活者は、図書館利用の生活化が求められています。ーーー図書館は、ほんと人との出会いに終わらず、人と人との出会いの場、つどいの場となり、いこいの場、そして地域住民の情報交換の場となります。ーーーこれからの図書館は、滞在型指向の図書館が望まれます。仕事やライフワークに週休2日制や代休、そして転職などで多くの成人男子が利用しています。また、高齢化社会を迎え仕事から解放された人が増え、以前と違い朝から館内が利用者で賑わいます。ーー居住性を考慮して造られた図書館は、ブラウジングや閲覧空間がカウンターから見えない所に設置され、図書館員の目を気にせずにすごせます。また、AV資料の試聴空間が工夫され、パソコンの使用を可能にする防音された閲覧室も用意されています。図書資料やデータベースを数日利用可能なブースも求められます。ーーー幼児は親に手をひかれ、カーペットの床に座って絵本を読んでもらい、児童は仲間と紙芝居に興じます。そして、自然の不思議や社会の仕組みに興味を深めていきます。――中・高校生は、自我に目覚め、物事に強い関心を抱き、未知の世界を知る資料を選びます。また、青年は成人期への準備期として、人としての将来を決める時期でもあります。ーーー乳児あ幼児を育てる母親たちは、育児、家庭生活ともっとも知識や知恵を必要とする時期です。出産、育児期に花開くように行動する女性たちに、保育室や収納壁に簡単な厨房設備をもつ会議室があれば、集会・文化活動にすすんで参加できます。高齢者は、よき相談者となり、伝承者となり、指導者となり、そして人生の師となって図書館利用者のよき援助者になります。ーーー図書館利用に障害のある人々には自宅配本し、入院患者へは病院サービスで支え、対面朗読では通信販売の本も読んでもらえます。そして手話や外国語ができる職員もいます。ーー読書に疲れたとき、調べものの見通しがたったときなど、一息入れて気分を入れかえたいと思うものです。そんな利用者のために、公園様の中庭があり、緑陰のベンチやテーブルで歓談や読書、そして散策ができます。ーーー軽い食事ができる喫茶室あ愛煙家のための喫煙室、そして気にしないで話が可能な団欒室が必要です。団欒室は、図書館を利用する市民の個人広告・生活情報が得られるつくりを工夫し、発・受信場所でもあります。ーーー人々は、図書館資料を媒体とし、集会室を利用してサークルをつくり、つどいます。図書館の集会機能は無料が一般的なので、資料を生かしたいろいろなサークルに利用されます。したがって、ホールや会議室のほかに会合内容にかなった集会室(会議室、和室、板の間、創作室、工作室、録音室、対面朗読室、AV編集室、茶室、研究ブース、グループ室、ボランティア作業室、厨房、そして縫製室などの専用室)がたくさん必要です。また、陳列や展示可能な空間をもつ施設が求められます。ーーー図書館利用を生活化するためには、集会室が閉館後も利用できることが望まれます。ーーー                                おわり       〈2022.9.26/採録〉

2022年9月18日日曜日

漆原宏さんのこと  No.96

昨日、漆原宏さんのご訃報をご夫人の美智子さんから知らされた。美智子さんによれば漆原宏さんは一年寝ついて訪問看護を受けられていた由。9月15日朝方、千葉さん、大澤さん、伊藤さん達のおられる世界に旅立たれたとのこと。18日にご自宅から出棺、お「部屋には彼の写真パネルーーー彼らしい人生でした。」とのお言葉でした。 ーーーーー (メールで送信したのは) 「漆原さんから手渡されたもの、わたしの生涯にわたっての心の奥底にあって、いつも共にあります。美智子さんとのお二人の生活が始まると、(静岡から?)お電話いただいたときのしみじみとしたお喜びの声の響き、今も耳元にあります。千葉治さん、大澤正雄さん、伊藤峻さんとの出会いと語らいの場をはじめ、(仙台の)扇元久栄さんをはじめ、どんなにかけがえのない方たちとの出会いを授かってきたか、愉しく厳しい学びの時を手渡されてきたことか!ありがとうございました。あのように漆原さんの晩年の日々を灯りのように〔灯りとなって〕伴走された美智子さんに心から感謝の思いを深くしています。」との言葉をお送りするのがやっとだった。ーーーーーーーーー 美智子さんと初めてお会いしたのは1987,8年の頃、「福岡の図書館を考える会」の「図書館の話の出前」の注文が柳川の美智子さんからあり、考える会の若き2人の友人と3人で美智子さんたちを訪ね、その日はお寺で蚊帳をつって泊めていただいたのだった。以後、「柳川の図書館を考える会」の要の人として、美智子さんの行動はめざましかった。心温かく明るくねばり強いふるまいで、福岡の図書館づくりを深く支えてくださった。漆原宏さんが博多駅近くの記念会館図書室にひょっこりやって来られたのもその頃のことだった。それから随分時を経て、静岡?からのお2人からの電話をいただいたのだった。漆原宏さん、千葉治さん、大澤正雄さん、伊藤峻さん、扇元久栄さん、その他漆原宏さんから授かった出会いの一つ一つについては他日に。

驚くばかりの ”ひょうたんランプ展〝 No.95

”どこにでもありそうな景色を描く女 ひとみ”さんの作品展 9月26日まで。 自宅から歩いて5分、龍国寺を訪ねたら、ほんとうにびっくりする展示が行われていた。 ひとみさんの絵を初めてみたのは1年前、龍国寺でだった。描かれている絵に驚いた。そこにある絵で ひとみさんが最初に描かれた絵は、私の家から坂道を降りて数分の所、小さな古墳の側の路から前方に 広がる田んぼと空、私が出かける時は必ずその路を通り、目にする、目にとびこんでくる光景が描かれ ていた。まさに”どこにでもある景色”が、私がはじめて目にする世界としてそこにあった。田んぼも わきたつような雲の様子も、ふだん見るともなく見ていた世界なのに、そこにあるのは目に映るものを 写真に写るように撮ったものではなく、田んぼの水面の光、雲間の光からは生きている世界、宇宙とい うか、いのちの世界がそこにあるように感じられ、なにか天と地から歌がきこえてくるかのようだった。 (あとから頭をよぎったのは随筆家岡部伊都子さんの”一刻一刻”というコトバだった。)ーーー さらに驚いたのは、その時、ひろみさんの絵は描き始めて1年ばかりのものだとお聞きしたことだ。1年 にして、このような絵が描かれるとは。ーーーーーー それから1年後、一枚一枚、一作一作、心を吸い込まれるような作品が展示された本堂の奥の一室に 明かりをけした暗い小さな部屋にそれはあった。ひとみさんが、一つひとつ形のちがうひょうたんに 描かれた作品が、一つひとつひょうたんの中の灯りを灯すごとに、一つひとつ絵と言うより、いのち というか、宇宙というか、コスモスやリンドウ、月下美人や月や星座が現れて来て、傍らで話してく ださるひとみさんのお話、言葉をきいていると、思わず宮澤賢治さんに見せてあげたいですね、との 言葉が口をついてでた。何とも天からの声が聴こえるような不思議なひとときだった。 部屋を出て、ひとみさんの言葉が記された柱の前に置かれた、私の手のひらにのせられる小さな小さ な作品、そこに広がるどこまでも広く深い世界と再び対面した。ーーーーーー 家に帰りつくと、副住職(若和尚と私は読んでいる)の甘蔗健仁さんから、このたびのお寺での展示 の懇切な案内がメールで届いていた。ーーーーーーーー  幻想的な「ひょうたんランプの世界」 ~カラヴィンカ龍石/どこにでもありそうな景色を描く女 ひとみ~ーーーーーーーーーーー 展示期間9月17日(土)~26日(月)9時~17時まで 会場・・・龍国寺(糸島市二丈波呂474)ーーーーーー 予約は必要ありません。23日∼25日はお彼岸で混雑が予想されます。乗り合わせをおねがいします。ーー (健仁さんのご説明)ーーーーー ①【カラヴィンカさんのひょうたんランプ】ーーーーーーー  石器時代から道具として活用し、人類最古の栽培植物とされる「ひょうたん」。タオイズムでは ”人間と自然”の調和の象徴とされています。この多忙な現代にひょうたんのある生活を提案しています。 〔そういえば、ひとみさんのお話をお聞きしているとき、カラヴィンカさん作のひょうたんステレオ?から 静かな音楽が流れ続けていた。〕ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ②【ひとみさんのひょうたん絵画】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ひとみさんの絵には展示会を観に行く度に驚かされますが、今回は世にも美しい『ひょうたん絵画』を展示 いただきます。ーーーーーーー「ひょうたん絵画は日々描いていくなかで学んだことや描くことを通して頂 いたご縁など色々奇跡が重なって生まれた作品です。」とひとみさんは話されます。ーーーーーーー 〈注意〉23日(金)秋分の日は檀家の方のお参りが大変多いと予想されますので、一般の方は午前中は 10時まで、午後は16時以降にご来場ください。どうぞよろしくお願いいたします。ーーーーーーー 必見です‼どうぞ、ひょうたんランプの世界へ

2022年9月15日木曜日

森崎和江さん 追悼展のお知らせ No.94

本年6月15日に、満95歳で逝去された森崎和江さんの追悼展「森崎和江さんからの贈りもの」 のご案内です。---------    森崎和江さんからの贈りもの  ー追悼展ー--------------------------------------------- 2022年6月15日、満95歳で逝去された森崎和江さん(1927ー2022) は、一人ひとりの読者に心深く刻まれるものを手渡されてきた方です。 森崎さんが歩んでこられた道から生まれ紡ぎだされた言葉、生き方から 読者一人ひとりがどんなに心凛とする、そして心温かくなるものを手渡さ れてきたかを思います。森崎さんから手渡されてきたもの、森崎さんから の贈りものを、あらためて静かに想う小さな場をと考えています。 ・森崎さんのご本と写真の展示と「森崎さんを語る」お話。------ ★展示 2022年9月1日(木)~10月31日(月) ポートレート:松崎佐奈恵さん 4点-------- ----------★お話 2022年10月12日(水)18時30分~20時頃-------------------------------------------------------- ---------- ★場所 龍国寺     〒819-1626 糸島市二丈波呂474     Tel 092-325-0585  Fax 325-0948     ryukokuji@jyno.ocn.ne.jp   (問合せ・・・才津原 Tel090-5045-2559)     メール:itokazedayori@gmail.com     ブログ「図書館の風」www.kazedayori.jp     (同No.91は、「森崎和江さん 悼詞」) 追記 1.9月10日、西南大学で行われた森崎和江さん追悼のイベントの会場で上野朱さんにお会いした。糸島、龍国寺での  森崎さんの追悼展のことをお伝えしたら、すぐにバッグから数枚の写真をとりだされた。そして松崎佐奈恵さんを紹  介してくださった。さっそくお寺の会場の一画に松崎さん撮影の写真を展示することができた。ーーーーー 2.上野朱さんからのもう一つの思いもよらない贈り物は、『アルテリ』14号(アルテリ編集室発行、橙書店内)を  いただいたことだった。最近の毎日新聞の土曜日の書評欄に新刊の14号に、「石牟礼道子資料保存会」【この会に  は友人で、かつては大牟田市立図書館の職員だった大原俊秀さんが参加して活動している。大原さんは、その  元で共に働いた小柳屯(たむろ)さん(1930―2021・福岡県内の当時の図書会員にとっては福岡県の図書館の活動の  歴史の体現者、実践者とでもいうべき人。大原さんは、小柳さんの『木造図書館の時代・「中小レポート」前後の ことを中心に』と『小柳屯 図書館関係レポート1956∼1995』(いずれも石風社、1999年)お発行に「図  書館問題研究開福岡支部出版委員会編の中心的役割、ほとんど大原さんが編者としての仕事をされたのではないかと  思っている。彼は退職後は三池資料の膨大の資料の整理、出版にも関わっている。】が整理して いる石牟礼さんの  遺品のなかに、森崎さんが石牟礼さんに宛てた書簡類が複数残っていて、ご遺族の了解を得て、2人の交流が伝わって  くる書簡の一部を掲載するというのだ。「風信子(ヒアシンス)文庫)から本の出前をしている前原にあるブックカ  フェ「ノドカフェ」では、熊本の橙書店から本の取り寄せをしていたので、そこから買おうと連絡したところ、現在は  取り扱っていないとのこと。『アルテリ』をおいてある書店は福岡市内でも限られているため、どうしようかと考えて  いたところだったので驚いてしまった。私がまだ14号を入手していないことを伝えると、上野さんは「自分はもう読み  ましたから」と、その大切な一冊をプレゼントしてくださったのだ。14号には森崎さんの書簡の他に「石牟礼道子さん  の日録」、「渡辺京二・日記抄」、渡辺さんと坂口恭平さんの「アルテリ対談」、池澤夏樹、田尻久子、町田康ほか、  目にしたい文章が目白押しで、何とも大切な一冊だと思われた。 3.後日、40年来の友人で写真家で、私が住む二丈のある公民館の写真教室の先生でもある吉住美昭さんから電話があり、  龍国寺での追悼展のご案内をしたら、昔たしか森崎さんの画集の撮影をしたことがあると言う。よくよくお聞きすると、  石風社から1986年(26年前だ!)に出版された『インドの風の中で』(スケッチ・文 ・森崎和江)だった。1977年  12月に、当時50歳の森崎さんが、インド仏蹟めぐりという観光旅行をされた時の短い旅の記録。帯には「インドへの  短い旅行のなかで描かれた22葉のスケッチとインドの風をつたえる」とある。発行者であり、多分、編者でもある  福元満治さんの文だと思われる。ーーーーーー  本書の末尾には「本書に収められたスケッチは全て原寸です。二点(かって栄えた都・ベナレス)を除き、彩色され  たスケッチはからーで、単色のものはモノクロで印刷しました。」とある。ーーー  電話口での吉住さんお言葉、「そう言えば、森崎さんから(写真を撮った)お礼の葉書を頂いていたなぁ、どこにい  ったか、すぐには見つからないけど。」(9月17日、記)