2022年12月5日月曜日

中村秋子さん、「父 中村哲のこと」 No.106

毎日新聞の12月4日の朝刊の2面の「みんなの広場 日曜版」に、大きな横見出しで、 《中村哲医師、共に在り》と題された紙面があり、リードの文章は「12月4日は3年前、アフガ二スタンで医療・農業支援活動中、凶弾に倒れた中村哲医師の命日です。35年にわたる活動や言葉に励まされた人々の投稿を紹介します。」と書かれ、5人の投稿者の文章が掲載されていた。 ①『自分に厳しい「優しさ」(ペシャワール会会員59・大阪府)』、②『先生への「ありがとう」(小学6年11・大阪府)』、③『学び多い珠玉の言葉(元団体職員72・福岡県)』、④『平和の原点 私は伝える(元会社員89・福岡県)』、⑤『家族がつづった父の顔(無職69・大阪府)』 一人ひとりそれぞれの心に刻まれた中村さんの生き方や言葉に心動かされながら一つずつ読んでいて、最期の⑤の投稿をみて驚いた。 投稿した女性の書き出しはこうだ。「病気療養中の友人に何かできることはないかと考え、小冊子「抜粋(ばっすい)のつづり」(クマヒラ・ホールディングス発行)を送ってもらうことを思いつきました。今年初めの「その八十一」には「父 中村哲のこと」と題した長女秋子さんのエッセイが載っていました。」 驚いたのは「抜粋のつづり その八十一」のことだ。縦17.5、横12.5センチの小さな冊子を私も持っている。「抜粋のつづり」を教えてくださったのは、知人で近所にお住いの波多江一正さんだ。波多江さんは、二丈町議、糸島市議会議員の時に議会で20数回続けて、図書館についての一般質問を行い、糸島の図書館づくりでとても大きな働きをされた方だ。その波多江さんから、面白い冊子があり、申し込めば無料で送られてくると聞いて、今年の初めから読み始めていたのだ「その八十一」の「はしがき」によれば、「抜粋のつづり」の創刊は何と昭和6年(1931年)満州事変が始まった年だ。91年前のこと。クマヒラ・ホールディングスの創業者熊平源蔵氏(明治14年・1881年生、昭和53年・1978年没・97歳)が「社会に感謝・報恩の思いから昭和六年に創刊し、いらい戦中戦後の混乱期の三年をのぞき、一年一冊、ご愛読の皆様の激励の声を背に号を重ねて」きたとあり、「今回も最近一年間の新聞、雑誌、書籍などから、心に響く珠玉のエッセー、コラム三十七篇を抜粋し、小冊子にまとめ」たと。「玉文の転載をご快諾くださいました各界の諸先生、新聞・出版社のご厚情に厚くお礼を申し上げます。」と、熊平源蔵氏の孫にあたる熊平雅人(株式会社クマヒラ、株式会社熊平製作所)会長の挨拶が記されている。【令和四年一月二十九日(創業百二十四周年記念日に当たり)】 「はしがき」の前段には、「おかげさまで弊社創業記念日の本日、「抜粋のつづり その八十一」を四十五万部発行し、百カ国の日本大使館や総領事館、諸官庁、金融機関、上場企業、学校、病院図書館、ロータリークラブなど全国八万九千カ所の団体・個人に寄贈いたしました。」とあり、その発行点数と寄贈先、その方法に驚かされた。 表紙の裏の頁には、昭和六年霜月に書かれた熊平源蔵氏の〈「創刊のことば」から〉が掲載されている。 「日頃の御好意に對して感謝の意を致したいと存じてをりますので、その一端として、このパンフレットを発行いたしました。 積極的消費論と學校教育の普及と改善、又宗教に現世の浄土化思想の必要は私の持論とする所で御座いますが、私の陳弁よりも、近頃讀みましたものの内で、こうした方面に於ける諸名士の御意見を紹介してみたいと存じまして編纂いたしました。」 言葉(を発した人、書き記された言葉)に心打たれ、その言葉を引用して、伝えようとする営み、その息の長い90年をこえる営みが一つの企業で行われてきたこと、行われ続けていることに驚く。「その八十一」の最期の頁、p128の奥付には次のように記されている。 「令和四年一月二十九日 発行(非売品) 発行所 クマヒラ・ホールディングス / 発行人 東京都中央区日本橋本町一・十・三 熊平雅人 / 編集人 広島市南区宇品東二・一・四ニ 宮脇保博 / お問い合わせ 電話(0八二)二五一・二一一一(代表)/ 印刷所 広島市西区商工センター七・五・五二 株式会社ユニバーサルポスト (印刷部数 450,000部)、また次頁の裏表紙の裏には「全国の(株)クマヒラでも贈呈いたします」(※発送のために取得しました個人情報はそれ以外の目的では使用しません)と記して、本社及び全国の支社、営業所54カ所の住所、電話番号が記されている。 中村秋子さんの文章を私はそれが雑誌に掲載された当時目にしていたが、ここであらためて「抜粋のつづり その八十一」からその文章をたどって、秋子さんがこれを書き始められた時に思いをいたしたい。 父 中村哲のこと 中村秋子 父がアフガ二スタンで凶弾に倒れてから一年以上が経ちました。いつも危険を承知で行くのを送り出していたからでしょうか、事件を知ったときは「起きてほしくはなかったけど、お疲れさまでした」と冷静に受け止めました。 父をアフガニスタンまで迎えに行く機中で、父のことや一〇歳まで住んでいたパキスタン北西部ペシャワールのことを思い出していました。騒がしくて埃っぽく、全体的に黄土色のイメージでしたが、いつも晴天で活気がある街でした。自宅は父の勤務していた病院の敷地内にあったので、家とは違う真剣な表情で仕事をしている父を垣間見ることがありました。子供ながらに大変そうだなと思っていたのでしょう、仕事で疲れうたた寝をしている父を見ると「このまま目を覚まさないのでは」と不安になり、寝息を確かめたこともありました。 今回の事件では、ドライバーと護衛の方五名が亡くなりましたが、皆さん私よりも若く、小さなお子様がいると聞いていたので、「幼くして父を亡くすことは大人の私とはまた違う悲しみがあるはず」と、子供の頃のあの不安な気持ちが重なり、悲しみが増すばかりでした。 到着後、大統領府でガニ大統領から弔意をいただき、父から事業の説明を受けたこと、国民が今回の事件を非常に悲しんでいるということを話してくださいました。ルーラ大統領夫人や大臣やその奥様もおられました。後で聞いたことですが、公的な立場にない女性が公の場所に出るのは極めて異例なことで、父がいかにアフガニスタンに受け入れられていたかを実感し、そのお心遣い慰められました。私は大統領に感謝と、五名の方へのお悔やみを申し上げました。今回の訪問ではアフガニスタン国民の皆様の関心の高さに驚かされましたが、それだけアフガニスタンは困難な状況にあり、父の事業が必要とされていたのでしょう。 帰国前のカブール空港に父が働いていたナンガラハル州各地から長老の方々が駆けつけて来られました。「ありがとう」「申し訳ない」と必死の思いでおっしゃるご様子に、もっとお話しできる時間があればと残念でした。みなさまの父への思い、ペシャワールを思い出させる懐かしい風景が名残惜しく、いつの日か再訪し、よみがえった緑の大地を見たいとの思いを強くしました。 家にいるときの父は、仕事でパソコンに向かっているか、庭で草木の手入れを一日中していました。最近は事業に関連してか果樹への興味が高かったようで、三〇本ほどの果樹が植えられています。素朴で気取らずおおらかな性格で、くだらない冗談を言い、スーツのまま庭仕事をして母に注意されたり、何度も禁煙に失敗したり・・・・・・。私との親子喧嘩も一度や二度ではありません。子供や孫が集まって賑やかにしているのを傍らから楽しそうに見ている、ごく普通の父親でした。ただ礼儀には厳しく、「挨拶をしなかったら敵とみなされる」などと言うときには、「ここはどこなの?」と言い返したくなりました。 またシンプルな人だったので、物事の本質を見極め、先を見通す力にも長けていたと思います。「気立て良くいなさい」「頑張ればなんとかなるよ」「できることはできるし、できんことはできんたい」と淡々としているのですが、父が言うとどこか希望を感じさせました。何でも白黒つけがちな私に「いろんな立場や状況がある。相手がどんな思いなのか自分の枠に当てはめずによく考えることが大切で、何もかもを明らかにしたら良いというものではない」と諭すなど、本当に思いやりにあふれた人でした。 またよく「三度のご飯が食べられること、家族が一緒にいられることが人間の幸せ」と言っており、それをアフガ二スタンで実現させるために事業に力を注いでいたと思います。確かに父は常人離れした行動力や、人を惹きつける力がありましたが、その根本にあるのは人間に共通する素朴な願いであり、そういう意味では決して特別な人ではなかったのです。だからこそ、アフガニスタンの苦難に寄りそうことができ、多くの人から共感をいただけるのではないでしょうか。 今日まで多くの人に支えてもらったことには感謝しかありません。父はペシャワール会(父の支援団体)の皆さんをはじめとする、多くの方との縁(えにし)を残してくれました。微力な私ですが、ボランティアの一員として会に携わっていけることは幸せなことです。これからも事業が続いていくことが何よりの願いです。 (なかむら あきこ=ペシャワール会会員・文藝春秋 3年4月号)

〈図書館がある〉ってどういうことか No.105

何度も菅原峻(すがわら たかし)さんの言葉にたちかえる。そのいくつかを。
1.〈図書館がある〉とは、〈図書館の看板の下がった建物がまちにある〉ことではな  く、そのまちの隅々までサービスが行きわたっていて、いつでも、誰でも、どこに住んでいて  も、どんな資料でも利用できる、その態勢がととのっていることをいう。(15頁) 2. まちに図書館があるというのは、どこに住んでいても、そこで役に立つサービスを  手にすることができる、納税者にふさわしい利益を得、あるいは還元を受けることができるこ  とでなければならない。図書館に必要な資料が揃い、自由に利用でき、職員のサービスをしっ  かり得られなければ、まちに図書館があることにはならない。(173頁) 3.本は買って読むもの、日本人は借りるよりも自分のまわりに本を置きたがる、そのような考えが何の根拠もないものであることは、多くの図書館の実績が示している。その実績を生むのが十分な図書費であり、地域地域を覆うサービス網であり、職員体制であることも、あらためていうまでもないことだ。(175頁) 【福岡市の中学校区設置率16%(身近に図書館があるためには中学校区に1館必  要)、政令都市20市の中で最下位の利用度、市民1人当たり年間貸出点数(貸出密度)2.6点。   第1位のさいたま市は、中学校区設置率44%、図書館数25館+移動図書館(BM)1台、   貸出密度7.5点。図書館数で約2倍、貸出密度(利用度)で約3倍、福岡市にはBMもない】   ―2018(平成30)年度(コロナ禍前)の統計(『日本の図書館2019』日本図書館協会)―  《福岡市の利用度が極めて低いのは、市民の読書に対する関心が低いからではなく、  市民の身近に、市民の生活圏に図書館がないから。》 A. 《憲法第26条   ①ひとはみな平等に教育を受ける権利があるそれぞれ能力に応じた教育を法律は用意する。   ②すべての親は自分が育てている子供たちに、法律が用意する※普通教育を受けさせなけれ    ばならない。このような義務教育は無料でなければならない。    (※普通教育=職業にかかわりなく一般共通に必要な知識を与え、教養を育てる教育。)    【『憲法なんて知らないよ』池澤夏樹 集英社文庫 2005年4月25日 第1刷】 だから、小学校、中学校は住民の生活圏にある。生活圏になければならない。 B. 公立図書館は、子どもたちを含めて、すべての人の生涯にわたる学び、教育を保障する機関である。学校教育と図書館は、すべてのひとが平等に教育を受ける権利を保障する2本の柱である。「図書館法第17条 公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」と「無料の原則」を定めているのは、このこと、「すべての人に教育を受ける権利を」を保障するためである。 C.能登川町立図書館設置条例 4.図書館長は、そのまちの図書館サービスの最高責任者である。図書館の大小、自治体の大小を問わない。住民にどのような図書館サービスをとどけるのか。これからサービスをどう発展させていくのか。それを考え計画を立てる。司書職員を指揮し、相談にのり、業務を滞りなくすすめていく、それが図書館長である。 ふたたびデンマークの図書館法を引くと、その第二条で「図書館長は、他の司書職員の援けを得て資料を選択し、自治体に対してその責を負う」といっている。 住民が必要とする、役に立つ資料群の構成が、図書館長の極めて大切な責務であることを言っているのだ。深い教養、資料についての広範な知識、選択の理論と技法、そういったものを身につけていないで、どうして図書館長が務まるだろうか。(33頁) (『図書館の明日を拓く』菅原峻 晶文社 1999年10月30日初版)から。 5.「図書館にはDNAが大事なのです」  「Ⅾとはディレクター=館長。図書館とはまったくゆかりのないところから異動で来た、本  に何の興味もない館長か、それとも専門の教育を受けて、本という海を航海する船=図書館を  しっかりと操舵している館長か。大きな違いですね」  NはNEW BOOK=新しい本を指す。「新しく内容豊かな図書をきちんと購入し続けてい  るか」(予算、資料費の問題)  AはATTRACT=魅力。「中身の伴った資格を持ち、利用者の役に立つ魅力的な専門職員  がいるかどうかです」 6.日本の図書館は3タイプに分けられる。  ①図書館という看板の下がった役所(全体の半分以上。)  ②無料の貸本屋(残りの70~80%)  ③本物の図書館(全体のわずか5%、しかも、当初③であっても、①②化していくケースが少  なくない。) 「図書館はひよわな存在です。たとえすばらしい専門職館長やスタッフがいても、異動や退職などで元の木阿弥(もくあみ)になってしまうことが多い。行政の中での教育委員会の位置づけでも、日の当たる場所とはいえません。」 〈では、本物の図書館が本物であり続けるには、そして本物でない図書館が本物になるには、どうすればいいのか。〉 「自分たちの町の図書館の現状を認識することですね。とにかく、どんどん図書館を利用することから始める。そして、図書館のDNAを知る。ここから自分たちにとってのあるべき図書館の姿が見えてきます。僕の持論は、図書館がよくなるのも悪くなるのも住民次第、なんですよ」 【⑤⑥は『アミューズ』毎日新聞社 2000年1月26日号、31∼32頁。図書館の特集号で、菅原さんへのインタビュー記事。同誌による菅原さんのプロフィールを以下に】 「すがわら・たかし 1926年北海道生まれ。社団法人日本図書館協会に25年間勤務。78年3月図書館計画施設研究所を創設。日本各地の図書館づくりにかかわる。全国の図書館づくりの得がたい相談役として活動を続けている。持論は「図書館は住民次第」。著書に「新版これからの図書館」「図書館の明日をひらく」ほか。訳書に「公共図書館の計画とデザイン」など多数。】 追記。2011年6月24日逝去。図書館の現場を日本でもっとも広く深く歩かれた。どんなに内容豊かな図書館の計画書をつくっても、計画書の目指した図書館にならないかを、もっとも多く体験されたとも言えるのではないだろうか。図書館計画施設研究所が基本計画を策定した図書館は100館を越えた。1981(昭和56)年に全国の図書館運動に大きな力となった『としょかん」を創刊、菅原さんが亡くなったあとの2015年(平成27年)まで、24年間間にわたって、100号の発行が行われた。

2022年11月29日火曜日

「福岡市は図書館砂漠のまち」って?どういうことか No.104

福岡市長選挙公開質問状の添付資料についての説明です。(どんな資料を添付したか) 公開質問状には、資料Aと資料1~3の4点の資料を添付しています。 公開質問状では11の質問をしていますが、なぜそのような質問をしたか、その根拠となる資料です。 《資料Aについて》・・・・・・・ 1⃣資料AはブログNo.101に掲載していますが、「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡の市民の会が、福岡市の図書館が直面している課題、問題点だと考えていることを、できるだけ簡潔に書いたものです。 「私たちはなぜ公開の質問をするのか?ーー「公開の論議を!」と題しているのは、幼児からお年寄りまで、すべての福岡市民に関わる「福岡市の図書館の今とこれからの問題」について、福岡市が、「市民のだれもが」利用できる図書館像とそれに至る道を、これまで市民に示し提示することなく今日に至っていると考えるからです。  ーーーーー 2⃣《図書館砂漠のまち=福岡市を図書館のある街に〉(2022.11)   この言葉に福岡市民である私たちの願いと希望がこめられています。   住みよいまち、住み続けたいまち、市民が誇りとするまちには、   市民の暮らしの中に、市民の身近に、市民の生活圏に図書館が必要です!  ーーーーー 3⃣《福岡市は図書館砂漠・・・市民の身近に図書館がない!》  とはどういうことか。    ※市民の利用度がきわめて低い。(コロナ禍前の2018年・平成30年度でみると)  ・市民1人当たり1年間の貸出冊数(貸出密度)は2.6点  ・政令指定都市20市の中で最下位  〈第1位さいたま市(人口131万4千)7.5点の約1/3の貸出〉  〈福岡県内53市・町の中で50位(県内第1位は水巻町13.8点)〉  ・人口30万人以上の市の望ましい貸出密度8.7点の1/3の貸出  (東京の特別区と政令指定都市を除く)  図書館を利用したいと思っても、近くにないから利用できない、  という市民があまりにたくさんいる!・・・図書館砂漠だ    ーーーーー 4⃣なぜ、福岡市民の利用がこんなに少ないのか。 (1)➡市民の身近に、市民の生活圏(中学校区)に図書館がないから。    市民の生活圏=中学校区に1館の図書館をーーー  (※中学校区設置率➡公立中学校数と図書館数1対1を100%として算出)   ・福岡市の中学校区設置率は16%(図書館数12÷市立中学校数69校×100)    福岡市(155万4千人)は人口12万9,500人に1館の図書館。  〈政令指定都市中、貸出密度第1位のさいたま市は44%、52,560人に1館。   人口131万4千÷25館=52,560人(さいたま市はさらに移動図書館1台と   サービスステーション2がある。人口比福岡市の2.5倍の図書館数〉ーーー   図書館の数が違う!   ※なぜ中学校区に1館の図書館が必要か。 ①「1.市町村は、住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう、住民の生活圏、図書館の利用圏等を十分に考慮し、市町村立図書館及び分館等の設置に努めるとともに、必要に応じ移動図書館の活用を行うものとする。(略)当該市町村の全域サービス網の整備に努めるものとする。」   (”全域サービス網”の整備が要(かなめ)のことです。) 「3.公立図書館の設置に当たっては、サービス対象地域の人口分布と人口構成、面積、地形、交通網等を勘案して、適切な位置及び必要な図書館施設の床面積、蔵書収蔵能力、職員数等を確保するよう努めるものとする。」 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(平成13年・2001年文部科学省告示、平成24年・2012年改正)】    1950年にできた図書館法に基づいて出された文部科学省の告示、に示された対応を、福岡市はやっていない。この一歩の歩みだしを始めていない。 ②「市町村の図書館は、おおむね中学校区を単位とした住民の生活圏に整備すること。 (市町村の図書館は、住民が日常利用する生活便利施設です。子どもや高齢者、障害者にとって身近で安心して利用できることが必要です。すべての住民が利用できる身近な図書と。館とするために、中学校区を生活圏域として考え、そこに設置することを目標とすべき。)」 (中学校区=1校区当たり平均可住地面積は約8㎢)  【「豊かな文字・活字文化の享受と環境整備ー図書館からの政策提言」日本図書館協   会.2006年、2013年改正】 ③(事例)東京都調布市(23万3千人、11館、貸出密度10.99、専任64(うち司書47) ・非常勤・臨時110) ・人口2万人、・2つの小学校区、・半径800m、左記の3つを基準に10分館設置。  10館目の佐須分館は1979年・昭和59年に開館。(数値は2018年度)    (2)資料費が少ない。(豊富な資料と資料の新鮮度が図書館の魅力であり力です。) ・市民1人当たりの資料費は78円。政令指定都市中 16位。 ・第1位は静岡市199円(貸出密度5.8,2位)、さいたま市7位、124円。 ・千葉県浦安市(2018年度)人口16万8千人、8館、貸出密度10.32、専任27(司書27)非      常勤・臨時 58(うち派遣7):1983年の中央図書館開館時から、専門職館長のもと、 「歩いて10分の図書館網を整備。21,000人に1館。福岡市12万9,500人に1館の5.6倍の 図書館数。ーーー ※福岡市と浦安市の2007∼2016年度、10年間の資料費の総額の比較。(人口比、約9倍)      福岡市(人口150万1千人)11億9,856万6千円      浦安市(人口16万4千人) 11億1,113万2千円 【福岡市の約93%】 (3)福岡市の分館の広さ(面積)・・・人口比からみて小さい。 〈理由〉 福岡市民図書館開館(1976年)の翌年から市内各区の市民センターに設置された図書     室は、当初公民館図書室の位置づけで、図書館の分館ではありませんでした。 1988年 市内全区(7区)に図書室ができましたが、それらが図書館の分館になったのは、 1996 年(平成8年)です。このため、以後新しくできた分館も当初の公民館図書 室がモ デルとして作られてきたため、その地域の対象人口にふさわしい分館として構想、計画さ れたものではなく、施設規模、蔵書数、年間購入点数、職員体制ともに不十分なものになっていることも、利用度を低くする要因となっています。ーーー 「2.地域の図書館は800㎡以上の施設面積でつくり、5万冊以上の蔵書をもち、3人 以上の専任職員を配置すること。」(前述4⃣ー(1)ー②の「図書館からの政策提言」) 福岡市の分館はすべて800㎡以下です。 東分館753㎡(旧館の新装開館で、市内分館中、もっとも広くなった。335㎡➡753㎡)、 和白644㎡、博多541㎡、博多南563㎡、中央486㎡、南478㎡、城南562㎡、早良520㎡、 西552㎡、西部610㎡、早良南672㎡(2021年6月開館)。ーーーーーー 【北九州市・八幡西図書館、3,762㎡、2012年開館、北九州市の分館16館中、もっとも      広く、貸出も一番多い。年間38万8千点の貸出(2020年度)。中央館(4,594㎡、23万6千点)、中央館の1.6倍の貸出。】ーーー 5⃣なぜ福岡市では、1976年(昭和51年)の福岡市民図書館開館以降、市民のだれもが、市内のどこに住んでいても利用できる図書館づくりが行われてこなかったのでしょうか。  そのもっとも大きな要因は職員体制にあると、私たちは考えています。〈2018年度〉 (1)福岡市155万4千人〔専任31(うち司書2)、非常勤・臨時114、派遣7〕   さいたま市131万4千人〔専任165(うち司書96)、非常勤16、派遣54〕   浦安市  16万8千人〔専任27(うち司書27)、非常勤・臨時58(うち派遣8)  人口155万人をこえる大都市の図書館に「司書」(専門職員)が2人 (2)2007~2020年度、福岡市と北九州市の専任職員(うち司書)の10年間の推移の比較。          ・福岡市 46(うち司書11)➡31(うち司書2)、11人から2人に  ・北九州市20(うち司書2)➡39(うち司書13)、2人から13人に (3)福岡市の1年間の市民の貸出しの70%をしめる11館の分館に専任職員は0。  福岡市の分館11館には、専任職員はいません。0人です。 (4)図書館長と副館長の任期について。2007~2018年の12年間で。  図書館長は6人(3年1人、2年3人、2年目1人、1年1人)。  副館長は事業管理部長事務代理9人。 いずれも短期間。福岡市の図書館の今とこれからを考える舵取り、要の専任職員が不在ではないかと考えられます。福岡市の図書館の現状と課題を考え、市民だれでもが利用できる全域サービス網の図書館計画を立案し、その実現に責任をもつ職員がいない状態が、1976以来続いています。 【公開質問8で「職員体制」について、「市の職員で司書の資格を持ち、図書館を希望する職員の配置(異動)や、新採用職員で司書」を採用することについて質問しています。】 (さいごに) すべての福岡市民が利用できる、図書館政策策定の早急な取り組みを!まず移動図書館の運行を! 【問7では「図書館計画の策定には時間と大きな経費がかかります。できるだけ早く移動図書館の運行から始めながら、基本計画づくりにとりかかれば、市民の身近に図書館をに、より早く、分館網の整備より、はるかに低い経費で取りかかれると考えますが、お考えはいかがですか。】と。ーーーーーー 資料1について ・「政令指定都市 貸出密度(市民1人当たり貸出点数)順位表2018(平成30)年度 /2020(令和2)年度の実績」 (貸出し順位はコロナ以前の2018年度の実績による。2020年度の数値は()に。 ・1位のさいたま市から最下位の福岡市まで、20市について。 ①人口②貸出数③貸出密度④到達度(人口30万以上で「望ましい数値」に対しての) ⑤登録率⑥図書館数⑦中学校数⑧中学校区設置率⑨資料費⑩人口当たり資料費 ⑪職員〔専任(うち司書)・非常勤・臨時・派遣〕 ・参考(2016年度の実績) ①東京都調布市②文京区③東京都日野市④千葉県浦安市⑤滋賀県東近江市 ・調布市の図書館計画について ・「東京都の図書館政策」(1970)について ※福岡市の図書館の資料費は、市民1人当たり78円(平成30年度政令指定都市中、16位。  これが、この年度だけでなく、ずっと低い状態であることが問題です。 言葉による説明 ①「〈図書館がある〉とは、〈図書館の看板が下がった建物がまちにある〉ことではなく、 そのまちの隅々までサービスが行きわたっていて、いつでも、誰でも、どこに住んでいて も、どんな資料でも利用できる、その態勢がととのっていることをいう。」p.15 「まちに図書館があるというのは、どこに住んでいても、住民がそこで役に立つサービス を手にすることができる、納税者にふさわしい利益を得、あるいは還元を受けることがで   きることでなければならない。図書館に必要な資料が揃い、自由に利用でき、職員のサー ビスをしっかり得られなければ、まちに図書館があることにはならない。」p.173 「本は買って読むもの、日本人は借りるよりも自分のまわりに本を置きたがる、そのよう な考えが何の根拠もないことであることは、多くの図書館の実績が示している。その実績 を生むのが十分な図書費であり、地域地域を覆うサービス網であり、職員体制であることも、 あらためていうまでもないことだ。」p.175 「図書館長は、そのまちの図書館サービスの最高責任者である。図書館の大小、自治体の 大小を問わない。住民にどのようなサービスを届けるのか。これからサービスをどう発展 させていくのか。それを考え計画を立てる。司書職員を指揮し、相談にのり、業務を滞り なくすすめていく、それが図書館長である。 ふたたびデンマークの図書館法を引くと、その第二条で「図書館長は他の職員の援けを得 て資料を選択し、自治体に対してその責を負う」といっている。住民が必要とする、役に 立つ資料群の構成が、図書館長の極めて大切な責務であることを言っているのだ。深い教 養、資料についての広範な知識、選択の理論と技法、そういったものを身につけていない で、どうして図書館長が務まるだろうか」p.33 【『図書館の明日をひらく』菅原峻 晶文社 1999年】 ②利用者にとって、図書館の魅力に関わる3つの柱 1.図書館長・・・(「図書館長の仕事」をする図書館長がいるかどうか) 「図書館とはまったくゆかりのないところから異動で来た、本に何の興味もない館長か、 それとも、専門の教育を受けて、本という海を航海する船=図書館をしっかりと操舵し ている館長か。」ーーーD=ディレクター=館長 2.専門職員・・・「中身の伴った資格を持ち、利用者の役に立つ魅力的な専門職員 がいるどうか。」・・・A=ATTRACT=魅力=魅力的な専門職員 3.新しい本「新しく内容豊かな図書をきちんと購入し続けているか」(資料費:予 算)・・・N=NEW BOOK=新しい本 【「図書館にはDNAが大事なのです」菅原峻(図書館計画施設研究所)『アミューズ』  2000年1月26日号】ーーーーーーー 資料2-(1)について  「2018(平成30)年度 福岡県内公立図書館貸出順位表」  (内容) ・福岡県内53市町の図書館の貸出密度(住民1人当たり年間貸出点数)順位表 ・①自治体名②人口当たり貸出点数(2018・2020年度③中学校設置率④登録率  ⑤人口1人当たり資料費 ・参考自治体・図書館数(貸出密度、中学校区設置率)、移動図書館=BM  ①滋賀県愛荘町2館(13.13;100%)②大阪府熊取町1館(8.27;33%) ③愛知県田原市2館、BM2台(9.7;50%)④千葉県浦安市7館(10.32;88%) ⑤東京都日野市7館、BM1台(8.78;89%)⑥東京都調布市11館(10.99;100%) ⑦滋賀県東近江市7館、BM2台(8.1;70%)福岡市50位、11館(2.6;16%)、北九州市41位、17館(4.07;27%) 福岡市の中学校区設置率=16%➡図書館砂漠・福岡市の所以(ゆえん) ・福岡県内第1位ー水巻町1館(11.83;50%)、第2位福津市2館(11.51;33%) ・貸出密度7点以上―12市町、6点台ー7市町/ 2点台ー2市町、1点台ー2町 ・全国平均(貸出密度)5.37。福岡県平均4.56ーーーーー 資料2-(2)について 「2007年(平成19年度)福岡県学校図書館図書購入費(予算措置率)順位表」 (いったいこれは何か。どういう資料か。) 文部科学省は、学校図書館(小中学校)の蔵書があまりにも貧しい(古くて少ない)現状を改善するため、1993(平成5)年から、『学校図書館図書整備5カ年計画』を立てて、計画年度に毎年、各自治体に対して地方交付税として交付してきましたが、交付額をどう使うかは、自治体の判断に任されているため、交付額のどれだけを予算化したか(予算措置率=交付額に占める予算計上額の割合)は、自治体によって大きな違いがあります。これまで文部科学省では、2008年4月に1度だけその実態調査を明らかにしたことがあります。2007年(平成19)度に交付した図書購入費200億円のうち、実際に予算計上された額は約156億円で、全体の78%にとどまっていました。上記の「順位表」はこの時に公表された福岡県内の各自治体の予算措置率の高い順に記載したものです。福岡県の平均は97.1%でしたが、福岡市は86.1%、県内69自治体中、34位の予算措置率でした。1位が福津市の211.8%、県内22の自治体が100%をこえていました。(5位までが150%をこえる。)最下位69位は小竹町の32.9%でした。全校平均78%の内訳は、小学校が85.8%、中学校が68.7%と、中学校がより低い予算措置率となっていました。 また第5次の2018年(平成30年)から、学校司書の配置に対しても地方交付税が交付されるようになっています。2022年(令和4年)4月から第6次「学校図書館図書整備5カ年計画」が始まり、文部科学省では、パンフレットで「学校図書館の充実には図書館資料・人材の充実が必要です。」と述べて、公立小中学校の蔵書の充実と学校司書の配置を推進を目指し、学校図書館図書整備に995億円(単年度199億円)、学校司書の配置に1215億円(単年度243億円)の交付が決まっています。 1993年(平成5年)以来25年間にわたって、学校図書館の充実のために交付されてきた貴重な図書費(2018年からは学校司書の配置拡充のための交付)が、福岡市では25年間にわたって、100%予算化されることなく、現在に至っています。公開質問10では、「私たちは子どもたちの一番身近な図書館である学校図書館の充実は何よりの急務であり、図書費と学校司書の配置について、少なくとも第6次『学校図書館図書整備5カ年計画』どおりの予算化が必要だと考えますが、どのようにお考えですか。」と質問しています。 このことでは、市民はもとより、学校関係者(校長、教職員等)においても、その実態が十分周知されているかが課題であるとも、会では考えています。

2022年11月19日土曜日

福岡市長選 公開質問状・前文 No.103

(前文) 福岡市長選挙立候補社様/       「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡(連名・4名)/   図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館のあるまちに 住みよいまち、住続けたいまち・市民が誇りとするまちには、市民の暮らしの中に、 市民の日々の生活圏に、市民の身近に図書館が必要です。 福岡市立図書館のこれからについての公開質問状 私たちは福岡市の図書館が、市民が「いつでも」「どこでも」(市内のどこに住んでいても) 「だれでも」「なんでも」(市民が求めるしりょうや情報はなんでも)利用できる図書館、 とりわけ図書館が市民の身近にあることを願って活動している市民の会です。今回の福岡市長 選挙にあたり、福岡市の図書館のこれからについて見解をお示しいただきたく、福岡市立図書 館のこれからについての公開質問状を送らせていただきます。・・・・・・・・・・・・・・ 図書館はすべての市民の生涯にわたるⅯナビ(自己学習)を保障し、地域の発展と市民の自立に 欠かすことの出来ない地域の情報拠点であり、市民の暮らしを高め、暮らしに役立つ地域の基本 施設です。 図書館は ・すべての市民(赤ちゃんからお年寄りまで)の知りたい、学びたいという思いに寄りそう場 ・市民一人ひとりがより良く生きるための学びや知的好奇心に応える場 ・地域文化や産業振興、医療福祉や法律情報など市民の暮らしとコミュニティを支える地域の情報  拠点としての場 です。 図書館はまた、こうした暮らしや仕事の中で必要な情報を得る場としてだけではなく、市民の身近にあれば、私たち市民が時にはいこい、時には集い、それぞれの時間を一人で、またループで自由に過ごす「広場」ともなります。市民の身近にある地域の図書館は、本と人との出会いの場であるだけでなく、人と人との出会いの場、であり、その出会いから地域の文化が育まれる場でもあります。 しかしながら、福岡市の図書館の現状をコロナ前の2018(平成30)年度でみると、図書館が市民にどれだけ利用れているかを示す指標とされる「貸出密度」(市民1人当たり年間貸出点数)は2.6点で、政令指定都市20市の中で最下位((第1位のさいたま市7.5点の約3分の1)、福岡県内53館の中で50位(県内1位は水巻町11.8点)と1976年(昭和51年)の福岡市民図書館の開館以来45年をこえて極めて 利用度の低い状態が続いています。 福岡市の図書館の利用度がこのように極めて低いのは、福岡市民の読書に対する関心が低いからではあ りません。人口150万人を超える大きな市に図書館が11館しかなく、移動図書館もないこと。 市民のための図書館政策を作らずにきたことが、その主たる要因であることは、図書館政策をもち、分 館の適切な配置や移動図書館のによる全域サービス網をつくり、図書館費を自治体普通会計予算の1% 以上を毎年計上し、司書資格を持つ経験ある館長のもと、人口規模にふさわしい専門職員(司書)数を 専任で配置して活動している各地の図書館の実践が明らかにしているところです。 また、福岡市民図書館が開館した1976年(昭和51年)の翌年から市内各区の市民センターに設置された 図書室は、図書館の分館ではなく、公民館図書室に当たるものでした。1988年(昭和63年)の西 市民センター図書室の開室で市内全区(7区)に市民センター図書室ができましたが、それらが図書館の 分館となったのは1996年(平成8年)のことです。(合計8館)このため、以後に新しくできた分 館は当初の公民館図書室がモデルとなって作られてきっため、人口規模にふさわしい分館として構想、計画されたものではなく、施設規模、蔵書数、年間購入点数、職員体制ともに、不十分なものになっていることも、図書館の利用度をより低くする要因になっていると考えられます。このことでは、貸出の70%をしめる11館の分館に専任職員が0で、非正規職員の懸命な働きによって担われていることも、新しくできる分館に抜本的な改善、改革をすることを困難にしてきた大きな要因だと思われます。・・・・・ 日本図書館協会の『豊かな文字・活字の享受と環境整備―図書館からの政策提言』(日本図書館協会2006年、2012年改正)では、その2で、「地域の図書館は800㎡以上の施設面積でつくり、5万冊以上の蔵書をもち、3人以上の専任職員を配置すること。」とありますが、福岡市の分館の各面積は、東図書館753㎡(旧館の新装開館で、市内分館中、最も広くなった。335㎡➡753㎡)、和白644㎡、博多541㎡、博多南563㎡、中央486㎡、南478㎡、城南562㎡、早良520㎡、西552㎡、、西部610㎡、早良南図書館672㎡(2021年6月開館)となっていて、いずれも800㎡以下の福岡市の分館としては狭い広さのまま現在に至っています。 1965年、1台の移動図書館で図書館を始め、5つの分館を作り、最期に本館を建てて(注:本館のあとに 6館目の分館、市政図書室を市役所の隣に。本館を含めて7館;この注は、質問状提出後に記載)、「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」を掲げて、その後の日本の公立図書館のあり方を根底から変革した東京都の日野市立図書館や、東京都調布市では①人口2万人、②2つの小学校区、③半径800mという3つを基準にして10館の分館を整備し、市民のだれもが、市内のどこに住んでいても利用できる図書館の活動が始まってからすでに50年をこえています。 ちなみに、2012年に開館した北九州市の八幡西図書館北九州市の図書館の分館中、もっとも広い3,762㎡で、貸出も市内で中央館(4,594㎡、貸出23万6千)よりも多く、市内でもっとも貸出の多い図書館になっていて(38万8千冊、2020年度)開架室の広さの重要さを示しています。 人口100万人を超える福岡市でようやく図書館が開館した1976年(昭和51年)から46年が経ちましたが、 この間、福岡市では一度として市民「だれでも」が「どこでも」利用できる全域サービスの計画が立て られることはありませんでした。【『福岡市基本構想』「第9次福岡市基本計画』平成25年~34年度;『 福岡市総合図書館ビジョン』平成26年度から10年間の計画では、「福岡市の図書館の課題」の2に 「身近なところで図書の貸出・返却ができるサービス拠点の設置や・・・サービスの向上を求める要望が多くなっています。」とあるが、それに応える具体的な計画はありません。】 2022年(令和4年)11月現在、日本の各地の図書館サービスの実際を自治体の人口段階別でみると、人口の多い大都市である政令指定都市においては、「どこでも」の取り組みがとりわけ遅れていて、それは政令指定都市の図書館全体の利用度、「貸出密度」の低さとなって現れています。利用度の低い政令指定都市20市の中で、もっとも利用度が低い福岡市に住む市民である私たちの多くは、この46年間、身近に図書館がないだけででなく、「市民の身近に図書館を」という福岡市の図書館政策がない中で生活してきたということでもあります。・・・・・・ 「文部科学大臣は、図書館の健全な発達を図るために、図書館の設置及び運営上望ましい基準(以下「 望ましい基準』)を定め、これを公表とする」(「図書館法」第7条の2、1950年)という規定に基づいて公表された『望ましい基準』(2001年、平成13年告示。2012年、24年12月改正)では、 「第一 総則 一 趣旨」で「①この基準は、・・・図書館の健全な発展に資することを目的とする。 ②図書館は、この基準を踏まえ、法第三に掲げる事項等の図書館サービスに努めなければならない。」に続き、「二 設置の基本」で「市町村は、住民に対してサービスを行うことができるよう、住民の生活圏、図書館の利用圏を十分に考慮し、市町村立図書館及び分館等の設置に努めるとともに、必要に応じ移動図書館の活用を行うものとする。あわせて、市町村立図書館と公民館図書室等との連携を推進することにより、当該市町村の全域サービス網の整備に努めるものとする。」 また、先に延べた『図書館からの政策提言(日本図書館協会)』では、「1公立図書館の整備」で「1市町村の図書館は、おおむね中学校区を単位とした住民の生活圏域に整備すること・」「すべての住民が利用できる身近な図書館とするために、中学校区を生活圏域として考え、それを目標に設置することを求めます。」としている。・・・ 図書館は市民が実際に利用できてこそ、地域に図書館があるといえます。 現在の福岡市の図書館の在りようは、多くの市民にとって身近に図書館がない、図書館砂漠としか言えないものだと私たちは考えています。この度の市長選挙が、福岡市の図書館の現況を正しく把握し、図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館がある、市民が誇りとする図書館があるまちに向けての新たな一歩、契機となることを心から願うものです。 お忙しい最中に恐縮ですが、同封しました封書により、11月13日(日)までにご返送をお願いします。頂きました回答につきましては、広く市民に公開させていただきますのでご了承ください。 ・・・・・・・・(以下、「次の図表を見て・・・」図書館の風No.102に、が続く。) 《ここまで読んでいただいてありがとうございます。ご不明の点やお聞きになりたいことがありましたら、このブログにご連絡ください。「市民の会」にお伝えします。》

福岡市長選挙 11の公開質問 No.102

11月20日投票の福岡市長選挙で、「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡の会では、 3人の立候補者に福岡市の図書館の今、これからについて候補者のお考えをお聞きするた め返送の期日を指定させていただいて公開質問状を提出してきました。20日の投票日前 に候補者の回答を市民に公表したいと考えていたからです。しかしながら、残念なこと に指定の期日を過ぎても、いまだどなたからも回答がありません。公開質問状は、市役 所の中にある記者クラブに持参し各新聞社にお渡ししましたが、未だ報じられてはいま せん。このため、これからも回答が届き次第、届いた順に即時、公開を考えていますが、 まずは公開質問状でお聞きした11の質問の内容を市民のみなさんにお伝えしたいと考 え、質問の骨子をここに公開させていただきます。                                   記 福岡市長選挙立候補者様                    「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡                            (4名の連名) 図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館のあるまちに 住みよいまち、住見続けたいまち・市民が誇りとするまちには、市民の暮らしの中に、 市民の日々の暮らしの生活圏に、市民の身近に図書館が必要です。 ・・・・・・・福岡市立図書館のこれからについての公開質問状・・・・・・・ 私たちは福岡市の図書館が、市民が「いつでも」「どこでも」(市内のどこに住んでいて も)「だれでも」「なんでも」(市民が求める資料や情報はなんでも)利用できる図書館、 とりわけ図書館が市民の身近にあることを願って活動している市民の会です。今回の福岡 市長選挙に当たり、福岡市の図書館のこれからについて見解をお示しいただきたく、福岡 市立図書館のこれからについての公開質問状を送らせていただきます。 【以下の文は、12の質問のあとに掲載します。また、以下の質問は全文ではなく骨子】 次の図表(資料A〈質問の趣旨の概要〉、資料1~3)を見て、以下の質問にお答えくださ い。回答は該当する数字に○をしてください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.私たちは私たちは福岡市の図書館においても、市民が「いつでも」「どこでも」「だ  れでも」「なんでも」利用できる図書館を、図書館運営の指針、目標とすることが肝要  だと考えるが、お考えは。①そのようには考えない(理由)②同じ考えである③その他 2.市民の図書館での利用(貸出密度)がとりわけ低い実態にたいしてのお考えは。   ①特に対応を考えない②政策的対応(実態把握と計画立案が必要)③その他 3.図書館の利用度が政令指定都市中、最下位が長く続いている理由は何だと考えるか。   ①市民の読書に対する関心が高くない②図書館が少なく、移動図書もない③その他 4.「望ましい基準」に基づいた取り組みが必要では。(住民の生活圏、利用圏に全域サ   ービス網の整備)①そのように考えない(理由)②早急に必要③その他 5.「望ましい基準」にのっとた迅速な取り組みの必要では(「運営方針の策定、公表」   「図書館サービス、運営の適切な指標の選定と目標の設定、計画の策定と公表)   ①そのように考えない(理由)②早急な取り組が必要である。③その他 6.図書館の計画を市の長期的計画に組入れることについて①そのようには考えない(理   由)②財政的な裏づけをもった市の長期計画に入れる必要がある③その他(  ) 7.図書館計画策定には時間がかかるため、移動図書館を始めながら、計画づくりにかか   っては①そのようには考えない(理由)②同じ考え③その他(  ) 8.職員体制の整備が急務、まず、市の職員で司書有資格者で図書館勤務を希望する職員   の配置や信採用職員で司書を採用することが必要では。①そのように考えない②同じ   考え③その他(  ) 9.図書館の運営を民間に委託する指定管理者導入についての考えは(現在分館の2館に   導入、質問の前段で、市民の会では導入反対の2つの理由をあげている)①導入に賛   成(理由)②同じ考え。今後それが広がることをなくしていくことが大切③その他 10.図書館のいのち、市民にとっての魅力は蔵書の力、毎年の資料購入費にかかって    いる。市民一人当たり資料費(政令市20市中16位、20市中半数の10市が一人当たり    100円をこえている。福岡医でも100円以上の「資料費」の予算化を。①現行通り    (理由)②毎年度必要である③その他(  ) 11.「学校図書館の充実には図書館資料・じんざいが必要です。(文部科学省パンフレ    ット)」、このため2022年(令和4年)4月から「第6次学校図書館図書整備5カ年    計画」がはじまっている。これは公立小中学校の蔵書の充実と学校司書の配置を    推進することを目的に地方交付税措置されているもの。ただこれは市が予算化し    ないと使うことができない。どれだけ予算化するかは自治体の考えによるため、    自治体によって大きな格差が生まれている。福岡市では予算措置率が低い状態が    長く続いている。図書費と学校司書の配置については少なくとも『学校図書館図    書整備5カ年計画』どおりの予算化が必要では。①現行通りでよい②2023年度から    少なくとも交付される額の予算化が必要③その他(  )    以上。 追記①、質問状の提出時、質問番号を11問を間違えて12としていました。ここにあらた    めて訂正します。   ②上記のさいごの質問のあとに、公開質問状の前文を掲載します、としていました    が、それはブログナンバーを改めて掲載染ます。

2022年11月18日金曜日

福岡市長選挙 公開質問状(質問の要点) No.101

「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡の会が福岡市長選挙(11月7日告示、11月20日投票)で、 図書館に関する公開質問状を3人の立候補者に提出しました。公開質問状は添付資料4点と共に提出さ れていますが、ここでは最初に添付資料の1点(資料A・質問の概要/背景)を掲載します。資料Aは、 『「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡』の会が、福岡市の図書館の何が問題であると考え、 どのような市民のための図書館になってほしいと考えているかが、簡潔に述べられているからです。 「私たちはなぜ、公開の質問をするのか?  公開の場で論議を!(資料A) 図書館砂漠のまち=福岡市を図書館のある街に   2022.11 住みよいまち、住み続けたいまち、市民が誇りとするまちには、 市民の暮らしの中に、市民の生活圏に、市民の身近に図書館が必要です!    【コロナの前、2018年度・平成30年度の統計でみると】 福岡市は図書館砂漠・・・市民の身近に図書館がない! ・市民1人当たり1年間の貸出冊数(貸出密度)2.6冊    政令指定都市20市の中で最下位 (第1位 さいたま市7.5冊の約1/3の貸出) 福岡県53自治体の中で50位   (県内1位 水巻町13.8冊)  ※人口30万人以上で、望ましい貸出密度は8.7冊(日本図書館協会) 市民の生活圏=中学校区に1館の図書館を。  中学校区設置率(図書館数12÷市立中学校数69校×100)=16%        政令指定都市中、貸出密度1位のさいたま市は44%(約3倍)  福岡県内53館のうち13館が100%、苅田町は(200%➡)100%、かつ移動図書館) 【注:苅田町では分館3館のうち2館が廃止されたため100%となった。当初、苅田町200%で、    県内、第1位と記載していた。上記のように訂正いたします。】                  資料費が図書館のいのち。 (市民1人当たりの資料費は)  リクエストしたら、「150人待ち」と言われたことも‼ 人口当たり資料費78円   政令指定都市中 16位、第1位は静岡市199円。 さいたま市は124円  福岡県内の図書館 第1位 築城町998円 職員体制が肝心要のことです!    ・「人口150万の市の図書館で正規(専任)職員31人のうち、司書(専門職員)が2人って    本当ですか?」と、一体どれだけ県内外の市民(住民)から驚かれたことか。   さいたま市:専任職員165(うち司書)95・・・福岡市:専任職員31(うち司書2)  ※  ※北九州市との比較(2007・平成19~2020・令和2年)   北九州市立図書館 専任職員20人 (うち司書2 ➡39人(うち司書13)   福岡市立図書館  専任職員43人(うち司書12)➡31人(うち司書2) ※1年間の貸出しの70%を占める11館の分館は、専任職員が0である。 ※館長と副館長は  2007年(平成19年)から2018年(平成30年)の12年間で、福岡市総合図書館の館長は9人と、  短い機関で変わっている。なお、同期間で副館長(事業管理部長事務代理)は6人で、3年1人、  1年1人、2年3人、2年目1人と、2年の任期が多い。いずれも短期間!  福岡市の図書館の今とこれからを考える、舵取り、要の専任職員が不在では。 すべての福岡市民が利用できる、図書館政策策定の早急な取り組みを! まず、移動図書館の運行を!    「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡

2022年11月6日日曜日

賢治と哲とひさし、と No.100

糸島市前原の旧商店街の一郭でブックカフェ「ノドカフェ」がオープンしたのは2017年 11月、今月はちょうど満5周年に当たる。風信子(ヒアシンス)文庫からは、ノドカフェ オープンの時から本の出前を行っている。5年前の開店時の第1回目は、福岡市総合図書 館で、上野英信さんの没後30年に合わせて、福岡市文学館企画展として、よく準備され 実に中身の濃密な展示や講演会などを行っていたので、これに勝手に協賛として、上野 英信さんの関連の本でノドカフェでの展示(本の出前)のスタートとなったのだった。 この5年間、本の出前を行い、現在では2ヵ月で本をかえているのだが、前回の9月から、 出前した本について紹介する時間をもつことになった。出前の本については、これまで 特にテーマを決めることなくやってきたのだが、(石牟礼道子さんご逝去の時は、「花 を奉る 追悼 石牟礼道子さん」)、今月の11月の本棚については、表記の「賢治と哲 とひさしと」が、考えるまでもなく頭に浮かび、宮澤賢治、中村哲、井上ひさしさん3 人の本の出前となった。 「荒野に希望の灯をともす」 唐津・THEATER ENNYAで その直接のきっかけは唐津市にある「THEATER ENYA(シアター演屋)」で、中村哲さん の「荒野に希望をともす」(百の診療所より一本の用水路を)を見たことだった。(11月 1日、このため出前は11月2日)これは、中村さんの活動を支え、中村さんと行動をともに してきたペシャワール会が企画し、「20年以上にわたり撮影した映像素材から医師中村哲 の生きざまを追うドキュメンタリーの完全版!」として製作されたものだ(1時間44分)。 これまで中村さんの著書やペシャワール会の会報の一部を読んできたが、ドキュメンタリ ーでは、私が知らなかったことが随所に出てきたり、あるいは本などで知らされていたこ ととは、このことだったのだ、という映像を見聞きしていると、中村さんが眼前にいて、 語り行動しているように思われた。 中村さんが「ヒンズークッシュの山奥深く、真っ白で荘厳な峰々が立ち並ぶ」アフガニス タンの地を初めてその足で踏んだのは1978年、山岳会に医師として、一隊員としての同行 だった。1946年生まれの中村さん22(23)歳の時だ。医師のまったくいないその地で、中 村さんに診てもらおうと必死の様でやってきた病をかかえた患者さんやその家族と出会う。 らい(ハンセン病)患者とも。その映像を初めて目にした。 九大医学部を卒業した中村さんは国内の診療所勤務を経て、1984年4月パキスタン北西辺 境州の州都ペシャワールに赴任し、以来24年にわたりライ(ハンセン病)のコントロール 計画を柱にした貧困層の診療に携わる。最初に赴任した時、医療器具が何もないといった 状況がどのようなものであったかをかを伝える映像が時間をこえて立ち現れる。 2003年、石風社から出版された『辺境で診(み)る辺境から見る』の裏表紙の見返し(奥 付)で、中村さんの足跡をたどると、 「1986年にはアフガン難民のために、医療チームを設立し、長期的展望にたったアフガニ スタン無医地区での診療活動を開始。1991年からアフガン東部山岳地帯に3つの診療所を 設立して、診療に当たる。1998年には基地病院PMS(ペシャワール会医療サービス、70床) をペシャワールに建設、らい診療とアフガン山岳部無医地区診療の拠点とする。2001~20 02年にはアフガニスタン首都カブールに5つの臨時診療所を設置、貧困地区の診療を行う 一方、大旱魃に見舞われたアフガニスタン国内の井戸と地下水路(カレーズ)の掘削と復 旧に従事、1000本の井戸を掘る。2001年10月「アフガンいのちの基金」を設立、空爆下、 国内避難民への緊急食糧配給を実践。現地スタッフ約200名、日本人スタッフ約15名。年間 診療数約8万人(2006年度)。現在、PMS総院長。ペシャワール会現地代表。」とある。 映像では、空爆下の緊急食糧配給以後の中村さんの活動、国会での発言、子息が亡くなられ た時のこと、用水路の建設や中村さん逝去後の記念碑と記念庭園の設置、学びと祈りの建物 の建設なども映し出されている。心と胸うたれる場面は数しれなかったが、とりわけ、無医 地区での診療を長老たちから、「あなたたちは、すぐにいなくなるのでは」と言われて、そ れに応える中村さんの言葉とその表情、国会での発言(議員の反応)、子息を亡くされた時 のそのあり様、そしていのち賭けてようやく完成した用水路が̠河川の氾濫で埋まってしま った時、濁流を前に佇む中村さんの後姿は目に焼きつけられる思いだった。自然の猛威(力) の前での人間、その在りかた。その中から歩きだす中村哲さん。 ドキュメンタリーが終わった時、翌日、出前することになっている「ノドカフェ」の本が私 の中で決まっていた。中村哲さんの本だと。そして「賢治と哲」と「ひさし」とだと。 なぜ「賢治と哲とひさしと」かについてはあとで記すことに、まずは中村さんのことから。 『辺境で診(み)る 辺境から見る』 自宅に帰り、『辺境で診(み)る 辺境から見る』を手にする。「あとがきにかえて」と題 されて、次のように書き出されている。 「本書は、私が84年に現地赴任して、本格的に「アフガニスタン」に関わり始めた1989年か ら現在まで、雑誌や新聞に掲載された記事を収録したものである。これまで出版された事業 報告的なものとやや趣が異なって、時事評論や随想が主体である。随想集は、宗教観や世界 観なども自由に述べられていて、率直に自分の考えが表現されていると思う。独断もあり得 ようが、それはそれで読者の批判を仰ぎたい。一連のアフガン問題記事は、この二十年の世 界的激動を反映し、一種の感慨を覚える。ペシャワール会の活動を概観できると共に、一九 九八の基地病院建設から現在まで、特にニューヨーク・テロ事件前後から空爆下の現地活動、 農村計画を振り返るのにも好都合である。(略) 本書に収録されているものは、巷の動きとは無関係に、過去二十年の現地事情が連続して圧 縮、記述されている。「新ガリバー旅行記」や「異文化の中で『医療』を問う」などは、テ ロ事件直前に書かれたものである。最近のきな臭い世情の中で、「九・一一以後」の色眼鏡 がかかっていない記録として意味があるかも知れない。私事になるが、これまでの総決算と も言うべき「医の普遍性」を扱った後者は、脱稿した直後に九歳の次男が悪性脳腫瘍を発症、 一年半の闘病生活を過ごして死亡した。背後を刀で刺された思いであったが、今となっては、 論旨を実証するようで忘れがたい。  通読して自分でも驚くのは、ペシャワール会の方針や私の考え方が殆ど変化していないこ とである。それを頑固固陋とするか、信念を貫いたと呼ぶかは別として、アジアの辺境で人 々と苦楽を共にすることによって、時流に流されずに済んだことは確かである。どんなに世 情が変化しても、変わらないものは今後も変わらない。」 そして末尾には、「最後になりましたが稿を整理した石風社と、この事業に協力する無数の 善意に感謝し、共に邁進してゆきたいと存じます。         平成一五年二月」 (本書の発行は2003年・平成15年5月20日、1946年9月15日生まれの中村さん、53歳の著作) 収録された文章は、新聞や雑誌に掲載された記事であることから、一文一文短文ですぐに読 めるものだが、その一つ一つの文章のもつ力に驚かされる。短いどの一文にも中村さんが出 会い向きあい、見送った、言葉話せぬ幼子を含めて、その一人ひとりのいのちの声が中村さ んと終生ともにあったからではないだろうか。 なぜ「賢治と哲とひさし、と」か、にもどろう。 宮澤賢治学会地方セミナーのことーーー 『辺境で診る辺境から見る』が発行されて、もうすぐ1年という2004年5月1日、私にとって は、さいごの図書館の職場となった滋賀県能登川町で、「宮澤賢治学会・地方方セミナー」 を開催した。中村哲さんと井上ひさしさんの講演と対談を核にしたセミナーだった。その集 いを開くことになったきっかけは、(ブログ「図書館の風」No.38に記載、No.49-2 に録画) その一年前だったか、たまたま図書館(能登川町立図書館)のカウンターにいた私に、よく 図書館を利用されている若い主婦が話かけてきたことだった。たしか関西地区で図書館のこ とを学ばれていて何度か、講義でのお話もお聞きしていた。 「私は宮澤賢治学会に入っていますが、会では毎年、地方セミナーを各地で開いています。 それを能登川町で開いてくれませんか」 それが始まりだった。それから程なくして、私は中村哲さんの講演を京都で2度聞く機会が あった。一度目は京都市左京区岩倉で、虫賀宗博さんの私塾”論楽社”で、そして日をおか ず、京都市内ノートルダム女子大学の広い講堂で。その2つの会場で、中村さんの口から宮 澤賢治の名前がでた。「かの地で宮澤賢治を読んでいると、日本の今のありようがよく見え る」、そのような言葉だった。1000人はいたのだったか、女子大の大きく広い講堂の座席で、 その言葉を耳にして、私は、これは中村さんと井上ひさしさんだ、との思い(天から降って きた思い)が生まれていた。 後日、最初に連絡をとったのは、福岡市の出版社石風社代表の福元満治さんだった。福元さ んとは、福岡での面識はあるものの不断ご連絡をとることもなく、その前に電話をしたのは、 6年前の1996(平成8)年の7月頃だったと思う。前年の3月、苅田町立図書館を退職し4月から 能登川町に新しくできる図書館と博物館開設の準備室での仕事を始め1年ばかりが過ぎた時 だった。 当時「うずもれている大切な文化にスポットを・・・」を合言葉に能登川町が淡海文化推進 パイロット事業の一つとして「能登川ふるさと百科」の発刊を企画したのだ。この事業は能 登川町の風景、産業、歴史、自然などさまざまな分野にスポットをあて、現代に生きる私た ちが次世代に継承したいことを記録していこうとするもので、準備室が事務局を担当して委 員15名を公募した。委員15人のなかには、このような冊子出版事業に携わった経験をもつ人 はほとんどなく、ただ、「わが町能登川を本にして残したい」(編集子の弁)との熱意で委 員の応募に参加されていた。委員の一人から本づくりの要諦について問われていた私は、福 元さんに電話をしている。その時にお聞きしたのが、まず「目次づくり」からということだ ったと思う。そのことを委員の方に伝えたのだが、平成8年7月の七夕の日に第1回編集委員 会を開いてからの委員15人の動きはすさまじかった。この事業が「能登川町総合文化情報セ ンター」(図書館・博物館・埋蔵文化センター)のオープン記念事業の一つとして位置づけ られていたため(開館は平成9年11月)、編集期間はわずか1年、急ぎ委員の分担を委員自ら 決めて、作業に取りかかったのだった。15名のスタッフは資料収集のため町内を駆けずり回 り、多くの町民の方の協力のもと、目次づくりから、原稿書きまで、すべて委員の手で作ら れた。こうして平成9年11月8日開館前の10月に総頁215頁、中味豊かで多彩な、懐かしくて 面白い冊子が刊行され、能登川町の全世帯に各1冊配布されたのだった。 冊子のタイトルは、全委員が提出した25候補名から『能登川てんこもり』が選ばれた。セ ンターが開館して最初の一か月間は町立図書館・博物館開館記念事業として、写真家今森光 彦さんの写真展を行っている。今森さんは能登川てんこもり委員会が始まった一年前から随 時、能登川町を取材され、その成果を開館記念の展示として発表してくださったのだ。能登 川で生まれ育ち、誰よりも町中を歩いているという一人の委員(委員長)が、今森さんの写 真のなかに、「能登川に生まれ育ち、40年以上暮らしてきたが、自分が知らなかった町」の 光景があると語っていた言葉が私のなかに刻まれている。その今森さんが委員の強い希望に より冊子の装丁をしてくださったのだ。また『能登川てんこもり』冒頭には、今森さんが撮 影した町内各在所の写真が掲載され、それに続いて、「能登川再発見」と題した座談会の記 録が載っている。能登川町長の杉田久太郎さん、今森光彦さん、そして熱い思いで委員会を 引っ張られた『ふるさと百科』編集委員長の井口博之さん、3人の座談で、刊行後25年の今 読んでも、本づくりの意図が鮮やかに語られていて、心打たれる座談となっている。その年 から今森光彦さんには毎年、図書館で講演をしていただいた。(私の退職時まで9回、1回だ け、時間が取れず。そのうち2回は絵本作家川端誠さんとの対談)今森さんのお仕事と生き方 は、私たちが立っている足もと、私たちの眼前に、豊かな自然といのちの営みがあることを 鮮やかに知らせてくれるものだと思われ、それは、能登川の図書館と博物館が目指す存りよ うを照らしだし、指し示すものでもあると考えて、毎年の講演をお願いしたのだった。 石風社、福元さんのこと 能登川町で生まれた一冊の本のことを少し詳しくここに紹介したのは、その町の人たちにとっ て大切な冊子づくりの始まりに、九州福岡の出版社、石風社の福元さんとの関りがあり、また あらためて、福元さんからつながる中村哲さんとの縁しを思うからだ。 6年ぶりに福元さんに電話した私は、中村哲さんと井上ひさしさんとの対談を核にした宮澤賢 治学会の地方セミナーを能登川で開けないかと考えていることを伝えたのだと思う。 福元さんの話を聞いて驚いた。「中村さんと井上さんの対談は鎌倉でやっているよ。」「えー っ」と驚く私に、「長野ヒデ子さんが」というお話に、私はびっくりした。「長野さんが鎌倉 に住んでいて、近くに住まわれている井上ひさし、ユリ夫妻と親しくされていて、中村さんの 活動をくわしく知っておられて、鎌倉でのお2人の対談になったと。 長野ヒデ子さんの絵本作家としてのデビュー作品は、『とうさんかあさん』(葦書房 1976) で、この長野さんの第一番目の作品の編集者が当時、葦書房にいた福元さんだ。中村哲さんと 同じ1946年生まれの久本三多さんが代表の葦書房は、地方出版社の雄と呼ばれ、その出版物は 私にとっては図書館の蔵書として、また一人の読者としても、見逃せない本が多く、渡辺京二 さん他、個人的にも生涯にわたり手にしてきた幾人もの著者を葦書房の本から知らされてきた。 とりわけ渡辺京二さん編集の『暗河』(くらごう)は、現在熊本の田尻久子さんの橙書店から 出されている『アルテリ』と同じく、初めて目にする著者やその著作の面白さ、そして時を経 てますます面白い渡辺さんの文章に驚かされてきた。その『暗河』の最初の何号かで私は福元 さんの文章を読んで心に刻んでいる。当時、熊本にいた20代の若き福元さんが、石牟礼道子さ ん、渡辺京二さんたち、そして水俣病の患者さんたちとともに水俣病闘争に関わっていた時の 一文だ。福元さんは私にとっては、その一文の著者としてあったことを今にして思う。 長野さんが最近うけたインタビューでの発言によれば、『とうさんかあさん』は太宰府に住ん んいた時、長野さんの義妹(弟の奥さま)が入院され、弟の子どもを預かっていた時期、広告 の裏に絵を描いてお話を作ったりして遊んでいた。そのときたまたま長野さんの子ども文庫を 訪ねてきた編集者が、それを見て「この絵本をだしたい」と。それが葦書房の福元さんだった。 インタビューでの長野さんの言葉、「作家がいても本はできない。どんな編集者に出会うか。 素敵な人、編集者福元さんに育てられた」と。 葦書房から独立して石風社を始めた福元さんのお仕事、福元さんならではの石風社の本に、深 い喜びを手渡されてきたと改めて思う。中村哲さんの『ペシャワールにて』(1992)に始まる 著作のこれまでに至る一連の出版、その持続的で深い営みに驚きと励ましを受け続けてきた。 石風社との長く深い交流から生まれたと思われる阿部謹也(『ヨーロッパを読む』1995)、何 ともうれしい森崎和江さんの『  』、長野ヒデ子さんの本では、『ふしぎとうれしい』(20 00)以後、最新作では、『  』。そして近々、新作もでるようだ。福元さんの長野さんとの 出会いは長く深いものがある。中村哲さん亡きあとは、お二人で中村さんを語る場も持たれて いる。 長野さんとの出会い そして長野さんと私の出会いもふしぎといえば不思議なご縁だ。私が博多駅近くの記念会舘図 書室で働き始めて程ない時だったか、大宰府に住んでいて借家に離れがあったので、文庫を始 めていた(字名は連歌屋区だった)。大宰府天満宮に近く、四王寺山への登り口にあったので ”四王寺文庫”名づけ、近くの坂道の電信柱などに文庫開きの手書きの案内などを貼った。そ うしたらやってきた近所の子どもたちの中に、『大宰府』(葦書房1982)の著者の森弘子さん や長野ヒデ子さんのお子さんがいたのだ。長野さんの年譜をみると、そのころ長野さんは『と うさんかあさん』(1976)をすでに出版されていたようだが、私はそのことを知らずに長野さ んにお会いしている。家にやって来られた長野さんとお話したのは、その時の一度きりではな いかと思うが、本棚にたまたまあった丸木俊さんの『女絵かきの誕生』だったか、新書版の本 を手に丸木俊さんへの深い思いを語られたのが今も心に刻まれている。以後福岡市への引っ越 しが急に決まり、たしかご挨拶もできずお別れし、再びご縁ができたのは17,8年後の、2005 年10月28日、能登川に移ってからのことだった。(毎日新聞大津支局長の塩田敏夫さんが同紙 の日曜日または月曜日の紙面に書いていた『支局長からの手紙』、2005年11月7日の滋賀版の 頁の「心を育てる絵本」で長野さんの講演会の期日を知ることができた。) 能登川の保育園に働く職員の方が、能登川の図書館に講演会の講師として長野さんを呼ばれた のだ。その時、長野さんは講演の場で、”四王寺文庫”で子どもたちと折り紙で作った出来上 がりのもの(私には難しくてとてもできない、文庫を手伝ってくれたどなたかが、こどもたち と一緒につくったものだと思う)を鎌倉の自宅から持って来られて私を驚かせた。 【支局長からの手紙「心を育てる絵本】2005年(平成17年)11月7日(月曜日)をここ で紹介しておきたい。能登川にいた当時、塩田さんが大津支局長だった2年間、日曜日か月曜 日の朝刊でどんなに心励まされる「支局長からの手紙」を、滋賀の人と共に受け取ってきたか、 その一端をお伝えしたい。 支局長からの手紙 心を育てる絵本2005年(平成17年11月7日(月曜日) 「赤ちゃんが生まれた時、お母さんも生まれました。スタート時点は同じです」。赤ちゃんを 授かり、育てた体験に基づいた絵本「おかあさんがおかあさんになった日」。絵本作家、長野 ヒデ子さんは、創作の原点ともなった作品を語りました。自分の中からわき出したものを汲み 上げる。自分の皮膚感覚で確かめる。豊かな感性が作品にあふれていることが伝わってきまし た。能登川町立図書館で先月28日に開かれた講演会でのことでした。 長野さんは瀬戸内海に面する愛媛県今治市に生まれました。白い砂浜と青い松林。暮らしのす ぐそばに水辺の空間がありました。織田が浜です。私も現場に立ったことがありますが、瀬戸 内海ならではの穏や佇(たたず)まいのそれは美しい浜でした。 この浜の埋め立て計画が持ち上がり、「子どもたちに白い浜を残せ」と命がけで立ち上ったの が「織田が浜を守る会」代表を務めた飯塚芳夫さんたちでした。飯塚さんは長野さんに最初に 絵を教えてくれた先生でした。 長野さんは講演会を始める時、宝物を見せてくれました。娘さんが小さいころ、現在能登川町 立図書館長を務める才津原哲弘さん(59)からもらった折り紙です。当時、転勤で福岡県で生 活した長野さんの家の近くには才津原さんの家がありました。才津原さんは仕事が休みの時は 自宅を家庭文庫にして開放していました。娘さんはその家庭文庫に通い、絵本に親しみました。 そこでもらった折り紙を何十年も大切にしてきたのです。 「文庫のおばさん」があこがれだったといいます。転勤で全国を回る生活。家庭文庫があれば、 子どもたちとすぐに仲良くなり、おかあさんとも友達になれたからです。本は人をつないでく れると実感したそうです。本は手渡し方ひとつで生き、埋もれてしまうと。その人の言葉で読 んでもらって初めて本は命を吹き込まれることがよくわかったといいます。 長崎県の諫早湾の干拓事業を問うた絵本「海をかえして」を書きました。当初は社会的な問題 を扱いたくないという気持ちが強かったそうですが、自分の子どもたちが遊んだ諫早の海が死 んでいくのを見過ごすことができなかったといいます。現場に立ち、潮の満ち引きの自然のリ ズムが何より大切だと実感します。それは人や動物たちも同じで、出産に立ち会う看護師さん に教えてもらった言葉を紹介してくれました。「自然の流れに逆らわなかったらうまくいきま す」 長野さん自身、知り合いに頼んで多くの出産に立ち会ってきました。その経験から確信したこ とがあります。ソレハ赤ちゃんは自分の思いを持って自分の力で生まれてくるということです。 赤ちゃんは生まれながらに判断する力が備わっている。それを伝える手段を得るために学ぶの だと。 ノンフィクション作家、柳田邦男さんの言葉を思いだしました。「大人になったからこそ絵本 を読んでほしい。子どものときとはまた違った深い味わいがある。絵本を読む時間を大切にし たいと思います。                      【大津支局長・塩田敏夫】 今ひとりの人のこと、扇元久栄さん 井上ひさしさんを能登川に招くにあたって、長野さんにはこの上ないお力を授かったと心に刻 んでいるが、このことでは今一人、かけがえなき人のことを思う。扇元久栄さんだ。扇元さん  に初めて電話をしたのは、1987年3月5日の深夜、写真家の漆原宏さんの紹介によるものだった。 当時扇本さんは仙台で、「仙台にもっと図書館をつくる会」の代表をされている方だった。 私が博多駅近くの財団法人の小さな図書室で働き始めて8,9年が経った頃で、人口111万2千人 (1986・昭和61年末)の大都市に市立図書館が1館しかないことの問題、市民の大半が図書館が 身近にないため、図書館を利用する(できる)市民が極めて少ない福岡市の在り方に、手を拱 いていては、ますます状況が悪くなっていると考えるようになっていた。市民として動き、行 動が必要ではないかと。仙台に電話をしてから日を経ず、扇元さんから、「つくる会」のすさ まじい資料が送られてきた。 ・「つくる会」は会を創めて年、文庫から始まったこと。 ・「考える部会」「伝える部会」「広める部会」の3つの部会があること。 「つくる会」の活動の実に細やかで詳細な資料、福岡での状況を我がことのように受け止めて、 私自身が自らに問うていた問いに、柔らかに直截に応えてくださった言葉が記されていた。 一面識もない者に、その者の問いに答えて、心こめて爽やかな言葉を贈る、その時私は、扇本 さんが大好きな宮澤賢治の童話の中のせりふ、「こんなことは実に稀です」というかけがえの ない時間を授かっていたのだった。扇元さんから深い気を吹き込まれて、私が歩みを共にする 人たちと、「福岡の図書館を考える会」を始めたのは、それから程なくのことだった。 後に幾度も、扇元さんとお会いし、手紙や電話でやり取りをする中で、扇元さんが、宮澤賢治 だけではなく、井上ひさしさんを大切な人と思われていることがわかってきた。 「私、井上さんのおっかけをしているのよ」、仙台文学館の館長をしていた井上さんの作文教 室だけではなく、井上さんの生誕の地、山形県川西町で”生活者の視点で自らの暮らしをもう 一度見つめなおそう”という井上さんの提唱で始まり、1988年から毎年1回のペースで開催さ れた「遅筆堂文庫生活者大学校」(校長:井上ひさし、教頭:山下惣一)の講座に毎回参加さ れていたのだと思う。図書館に関する講座では、竹内悊さんと一緒に登壇されているようだ。 (残念なことに、そのことを私は知らず、扇本さんからお話を聞き機会を逃してしまった。 このような次第で、扇元さんに能登川町での地方セミナー開催に向けての取り組みをお伝えす ると、大変喜ばれるとともに、井上さんのご了解を得る上で、深いご助力をいただいたのだと 思う。 宮澤賢治学会イーハトーブセンター・地方セミナーのプログラムについて たくさんの方たちのご助力を得て、中村哲さんと井上ひさしさんのご了解をいただいてから、 地方セミナーをどのような内容にするかで、まず、中村さん、そして井上さんのお話(それぞ れ30分)、それからお2人の対談(80分)、そして、その後の会場の参加者との質疑(60分、 中村さんの各地での講演会では、質疑の時間がとりわけ面白いので、質疑の時間をできる限り とりたいと考えて60分とした。) 講演が始まる前の30分は、①開会挨拶(町教育長田附弘子、宮澤賢治学会イーハトーブセンタ ー荻原昌好 ②開会の辞イハトーブ童話『注文の多い料理店」序(宮澤賢治学会会員 扇元久栄 さん)③宮澤賢治・短歌四首 井上ひさし『なのだソング』 とりい しん平さん(驚くばかり の時間だった。) ④群読『雨にも負けず』能登川町民と当セミナー参加者有志 そして 講演『医者、井戸を掘る その後』中村哲さん 講演『賢治と哲』 井上ひさしさん【ここでようやく「賢治と哲」にたどりついた!】 対談『辺境で診る 辺境から見る』中村哲さん・井上ひさしさん 参加者との対話・質疑 という次第だった。 扇元久栄さんには、開会の辞で、「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれい にすきとおった風を食べ、桃いろのうつくしいあさの日光をのむことができます。またわたくしは、・・・」全文を詠んでいただいた。扇本さんは巻物に全文を書き記して、巻物を次々に引い て巻紙を下にたらしながら、凛とした声で詠んでいかれた。本当は一言一句すべて、すっかり体 の中に入っていて、目にするまでもなかったのだけれども。扇元さんは全身で賢治さんを参加者 一人ひとりの目とこころに焼きつけ刻んでくださった。 30分のお話に『賢治と哲』と題を示してくださったのは井上ひさしさんだ。その演題を お聞きして私は小躍りする思いだった。ここで「賢治と哲とひさし、と」につながる。 ただ会の進行はどうだったか。映像でたしかめていただきたい。【「図書館の風」No.49-2】 さいごに、どのような思いで地方セミナーを開催したか、「開催にあたって」と「対談」につ いてのチラシの文章を記しておきたい。 宮澤賢治学会・地方セミナー開催にあたって   2004.5.1 2004年5月1日、琵琶湖の東岸、そほぼ中央に位置する能登川町で、宮澤賢治学会地方セミナーを 開催します。宮澤賢治が生まれた岩手県は、かつて日本の辺境とでも言うべき地でした。賢治さ んはその辺境の地にイーハトーボという、いのち響きあう世界を見、「たしかにこの通りある世 界」として、私たちの前にさしだしています。この度の地方セミナーのテーマは「辺境で診る、 辺境から見るです。これは、実は今回の地方セミナーの講師のお一人である医師、中村哲さんの 最新の著書のタイトル名です。中村さんは、1984年パキスタン北西辺境州のペシャワールでアフ ガン難民と接し、以後20年にわたって、パキスタン、アフガニスタンの地でライ(ハンセン病) に苦しみ、貧困で診察をうけられない人々のために活動をおこなってきました。 20年に及ぶ中村哲さんの活動を支えてきたのは、その医療活動を支援する目的で結成された福岡 市に本部をもつペシャワール会の約12,000人の会員のボランティア活動です。中村哲さんとペシ ャワール会の活動は、「東二病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西二ツカレタ母アレバ」 の「雨ニモマケズ」を彷彿とさせるものがありますが、中村哲さんは、こうした活動の中で、ア フガンの地で賢治の本を読み、昨年、京都で行われた講演会で、かの地で賢治の作品を読むと、日 本の今のありいうが、その作品を通してよく見えるという趣旨のことを述べられていました。 今回の今一人の講師である井上ひさしさんと宮澤賢治との深い関りについては、井上さんのエッセ イや戯曲「イーハトーボの劇列車」などの作品で、多くの人に知られています。 井上さんが小学校6年生の時に、「生まれてはじめて、雑誌ではなく単行本を、それも自分自身の 判断で、しかも貯めておいた小遣いで買った」のが、井上さんの蔵書第1号である「どんぐりと山 猫」であったということ。この本との出会いを、井上さんは「私の個人史における生涯十大ニュー スのひとつ」と言われていますが、井上さんの生き方とその著作の根底には、いつも賢治の世界と 響きあうものがあるように思われます。 また、「国をあてにしない生き方から一歩先へ、モデルのない時代だからこそ、新しいモデルをわ たしたちでつくっていく。個人から町へ、地域から国づくり」を考える「生活者大学校」の開校、 その長年にわたる活動は、まさに、「地域(辺境)で見る 地域(辺境)から見る」活動そのもの と見えます。 この度の地方セミナーでは、「辺境で診る 辺境から見る」ことを、その生き方の根っこにおかれ ている中村さんと井上さんをお迎えして、「辺境で診る 辺境から」とは何かを、じっくりお聞き し、参加されたお一人ひとりが、「ほんとうの生き方」を、自ら考える場となればと考えています。 地方セミナー開催という天空からの贈り物とも思える時を与えていただいた能登川からは、この機 会あらためて出会えた賢治さんとの出会いの喜びの小さな声をお伝えできればと願っています。 さいごになりましたが、能登川町での地方せみなーの開催にあたりましては町の内外の実に多くの 方々のご助力をいただきました。心からお礼申し上げるものです。ーーー ”ほんとうの生き方”   をよりよく考える言葉が紡ぎだされる対談 このたびの中村哲さんと井上ひさしさんの対談を企画いたしましたのは、井上さんが中村さんの 活動のはやくからの支援者であり、よき理解者であるからです。井上さんはナk村さんの活動に 心からの感銘を受け、紹介する話を、すでに井上さんゆかりの地、山形県置賜農業高校でされて います。日本の農業、戦争と平和についても深い関心を持ち、積極的に発言してこられた井上さ んと、内戦が続くなかで20年間、闘う平和主義を貫いてこられた中村さんの”賢治”を切り口と した対談が実現すれば、宮澤賢治の世界の広く深いひろがりが感得される対談になるとともに日 本で今を生きる私たちの生を支える労働について、平和について、又一人ひとり”ほんとうのいきっ方”をよりよく考える言葉が紡ぎだされる対談になるものと確信いたします。

2022年10月3日月曜日

「鶴見俊輔展₋Un」開催のお知らせ  No.99 

糸島市二丈にある「本屋アルゼンチン」で10月の一ヶ月間(土、日のみ開店)、 「鶴見俊輔展-Un」を開催されます。私自身、鶴見さんの読者の一人として過ご してきたことで、本屋アルゼンチンの大谷直紀さんとの出会いがあり、今回の 企画にできる限りの協力をさせていただくことになりました。 まずは大谷さんによる企画展のご案内です。ーーーーーーーーーー 鶴見俊輔展-Un-開催にあたって 本屋アルゼンチンでは毎年10月に鶴見俊輔展-Un-を開催します。 今年の鶴見さんの生誕100年を口実に、1回きりではなく、毎年の ルーティンしてしまう企みです。 私は鶴見さんの遺した言葉に救われる人がいると思います。 彼自身が戦中・戦後のけんりょく、国家、社会、何より自分自身に 苦悩し、疑い、受容を繰り返す、”揺らぎ”を味わい尽くし、年齢 を重ねても思想を科学し続けたからではないでしょうか。 とにかく、言葉と眼差しが優しい。 鶴見さんの著作は膨大で、展示しる200冊はほんの一部。 「次世代へのバトンを渡す」など惧れ多く、私自身も鶴見さんを掴み 着れているわけではありません。 それでも、この哲学者の言葉を燈してみたい。 ゆっくり、展示物に触れていただけると嬉しいです。 本屋アルゼンチン Naoki Ooya なぜ、いま鶴見俊輔か。 「役に立ちそうなメジャーなものを、効率よく」 タイムパフォ-マンス(時間対効果)中心社会を生きています。 文字よりも写真をスクロールし、動画を倍速で摂取する日常。 何を隠そう、自分自身がその真ん中を歩いています。 本当に大切なものをとりこぼしていないだろうか。 鶴見さんは、学者や権力者ではなく、日常を営む一般人の言葉、 感情に本来掴むべき「思想」が眠っていると考えました。赤鉛筆 と青鉛筆を持ち、誰も注目もしない小規模な刊行物や社内報に一 生懸命、線を引きながら読んでいたそうです。 小さな声なき声に耳を傾け、時に停滞し、時に全身する。 誰かの小さな声は、そのまま「自分の声」でもあります。 タイパ社会にいる私たちが、まさに背けている大切な声。 糸島の本屋アルゼンチンから、鶴見さんの優しい語り口と あり様に対話のヒント、言い換えるなら、次代に繋がる 一本の糸を紡ぎたい。 鶴見俊輔俊輔展-Un-を開催します。 ーーーーー 【概要】 鶴見俊輔展-Un- 入場 無料 / 駐車場あり  / 1960年代「思想の科学」をはじめ、約200冊の鶴見さんの作品を展示します。------- 場所 本屋アルゼンチン(筑肥線大入駅徒歩1分)https//goo.gl/maps/ 14s2NGpeXfamj3zDA--------ー 日時(12時~16時)※22日のみ別。 1.大規模展示 10月2日、8日、15日、16日、22日、29日、30日----------- 2.小規模展示 10月9日、23日 イベント 10月22日(土)に少人数の読書会を実施。 午前の部(10時~11時半):鶴見さんんの文章を読んで、感想交換。(大谷) 午後の部(13時∼14時半):才津原さんによる即興の鶴見さんを語る会。 ーーー-- 以上、大谷さんによるご案内。 大谷さんに一文を求められて、次の案内を寄せました。ー 鶴見さんのこと  (1922-2015)         才津原哲弘 鶴見俊輔さんの本を初めて手にしたのは 私が20歳を過ぎた頃だ。2015年に93歳で 逝去されて早や7年が経つが、55年をこ える読者の一人として、鶴見さんの本は 日々、一層面白い。京都にある出版社、 ”編集グループSURE”が『もうろくの春 鶴見俊輔詩集』を最初の出版物として発 行して今年で創業20周年、最新刊は”鶴 見俊輔生誕100周年記念出版”として6月 25日に発行された『日本の地下水 ちい さなメディアから』鶴見俊輔著だ。同書 は1960年から雑誌「思想の科学」誌上で 21年間にわたって続いて連載された、日 本のさまざまな地域のサークルの雑誌評 の初の集成だ。  40年、60年前に書かれた鶴見さんの一 篇、一篇が2022年の今、なぜ、どのよう に面白いのか、そのことを語りあう場を 糸島市二丈、筑肥線大入駅近くの「本屋 アルゼンチン」で。風、光さやかな10月 のある日に。 【追記:10月22日(土)13時~14時半】 ーいずれかの日に、ぜひ本屋アルゼンチンへ。

2022年9月28日水曜日

アーサー・ビナードさん講演会にようこそ!10.29(土) No.98

「糸島の図書館の未来を考える会」主催の初めての講演会、第1回はアーサー・ビナードさんをお迎えしま す。以下ご案内です。ーーーーーーー
あふれだす「絵本の力」  「ありえない!」時代へようこそ   ~エリック・カールと宮澤賢治といっしょにいまの世界を見つめる~ 語り アーサー・ビナードさん アメリカのミシガン州に生まれる。 ニューヨーク州の大学で英文学を学 び、卒業と同時に来日、日本語でも 詩作を始める。数々の賞を受賞。 2022.10.29.SAT 12:00 受付開始&サイン会 13:30 講演会スタート 場所 初潮旅館(糸島市二丈鹿家1735-18) 主催 糸島の図書館の未来を考える会 大人2500円 大学生・高校生1000円 中学生以下無料 〇お問い合わせ 090-7678-2048(龍国寺甘蔗)     090-1852-1102(ノドカフェ坂本) 〇注意事項 ・外履き入れのご持参をお願いします。 ・絵本の購入とサイン会をご希望の方はお早めにお越しください。 ・乗り合わせや公共交通機関のご利用などをお願いいたします。 ・ドリンクの提供(有料)のみございます。

2022年9月26日月曜日

10年前、漆原宏さんから、糸島で手渡されたもの・・・No.97

9月15日に亡くなられた漆原宏さんは全国各地で講演をされていた。住民のだれもが〈いつでも どこでも なんでも〉、生涯にわたって利用できる図書館を求める市民にとっては、漆原さんが撮られた図書館の写真からだけではなく、図書館を語る漆原さんの言葉から、さらに深い力を手渡されてきたように思う。10年前の2012年3月25日、「図書館によせる私の思い」と題して漆原さんの講演会を糸島市で行った。主催は「としょかんのたね・二丈」会場は糸島市の図書館の分館「糸島市図書館二丈館」の3階会議室だった。ご遺族のご了解を得て、ここに当日の後援会のレジュメと配布資料を公開させていただきます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 講演会ちらしから 「図書館によせる私の思い」 漆原宏講演会------------------------------------------------ ーープロフィールーー1969年・研光社入社 社員雑誌『フォトアート』その他の編集に従事。 1975年・フリーの写真家となり現在に至る。日本写真家協会会員。1996年・『図書館雑誌』(日本図書館協会刊行の月刊誌の写真取材を始める。毎月、同誌のグラビア頁に掲載。著書に『地域に育つくらしの中の図書館』(ほるぷ出版1983) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1976年以来36年間にわたり図書館の写真を撮り続け、日本の写真家による唯一の写真集『地域に育つくらしの中の図書館』の著者でもある。日本各地の住民のくらしに役立つ図書館づくりを講演や写真展などを通して声援。図書館がいわゆる本好きといわれる人だけのものではなく、赤ちゃんからおとしよりまで市民のすべてに欠かせないものであることを、図書館の多様な利用の仕方のお話を通して語られます。ーーー 「図書館って、こんな利用の仕方があるの?」私たち誰もが図書館を楽しく便利に「美味しく食べる」お話を伺う講演会にようこそ。本を借りに行ったことはあるけど、とういう方も。ようこそ。ーーー もっともっと あなたの図書館となるために。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー とき 3月25日(日)13:30~15:30 / ところ 糸島市図書館二丈館3階会議室A(糸島市二丈深江1360) 参加費 無料・・・主催 としょかんのたね・二丈(☎番号 オオマツ) ------------------------------------------------------- ―レジュメ―(2012/03/25)ーーー主催・としょかんのたね・二丈ーーーーーーーー これからの図書館とその利用法 ―図書館のおいしい食べ方―    漆原宏(図書館写真家) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◎はじめに図書館ってどんなとこ図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。―――配布資料(1)  ・図書館は世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。―多文化・多言語、多様性ー  ・豊富な資料は、多様な選択肢を保障し、多様な価値観の形成をうながします。ーーー  ・蔵書構成―比較検討―比べて考える―無料貸本屋と違うーーー  ・図書館の泣き所=自衛隊、原子力発電ーーー  ・IT機能整備―世界的視野、速報性、多文化・多言語、膨大な情報量、島国、※琉米文化会館ーーー  ・図書館員は人類の歴史の接点に立つ仕事  ※糸島市の取り組みーーー   技術員、ボランティア、住民(それぞれが各分野の専門家)の協力ーーー ◎暮らしと仕事、そして”まち”に役立つ図書館ーーー  ・図書館は、自治体が設置し、運営する―条例で定めるー  ・時事・自治資料の提供   図書館法第3条7項ー  ・図書館は、自治体のひとづくり、まちづくりの頭脳として機能する機関ー  ※九州大学誘致、学術研究都市づくりの推進ー  ☆行政支援=糸島市行政支援ー  ☆ビジネス支援=今を支える企業人、社会人への資料提供―林家、農家、漁家、工場主、商店主などー  ☆学校支援 学校教育と社会教育はセット―生涯学習ー体系化ーー  ☆図書館利用に障害のある人々へのサービスー養護施設・高齢者施設・病院図書館・宅配ーー ◎図書館利用の生活化―住民参加、自主講座ーー  ・生涯学習―①受益者負担②民間教育機関の活用③ボランティアの育成・活用ー  ・図書館資料が花ひらくとき、集会室が賑わう ・・・図書館法3-6,自由の宣言 前文2-3  ・▽お話会・工作会(手作り会)▽読書会▽映画界▽特設コーナー▽行事・展示▽IT技術ーーー  ・利用者用(住民発信用)掲示板の設置ー  ◇「図書は、暮らしの知恵袋」― 配布資料2ーー ◎図書館のおいしい食べ方(ランダムに持ち時間まで)ーー ・メニュー1- 子どもに体験―遊び、自然科学(教室)、料理(教室) ※文字は記号         (中学生―大学図書館見学=国立より私立が良い)ーー ・    2- 新学期〈入学式 新入生 PTA〉 新年度〈入社式 新入社員〉ーー ・    3- 暮らしを支え・創りだす住民の話=中・高校生対象(青年前期 後継者)ー ・    4- 高齢者(生きがい=プロ集団・結婚・介護・共同生活・グループハウス)ー ・    5- 伝統・地場産業(地域)振興―女性の参加、団塊の世代のI・Uターンーー ・    6- 野草〈薬草〉(予防医学)、  ※糸島市=川上・川下(環境保全)ーー ・    7-和室利用―句会・歌会、囲碁・将棋(入門、大会)、茶道、骨董、着付、ヨガ・スポーツ             (茶道、華道=民間教育機関を歩く)ー ・    8-一枚のポスターからーー ・    9-自然災害(地震・津波)、恩恵(防災・避難/生命誕生/温泉・旅行)ーー ・    10-貸出用絵画-特別展示(プロ作家の個展〈絵画〉にこだわらない)ーーー ーーーーーおわり ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー レジュメをみると、漆原さんの声が耳元だけでなく胸底によみがえってくるようだ。10年前の漆原さんの声、その言葉が2022年9月の今現在の私に、今これからの私たちが踏みだす道の灯火のように思われる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 配布資料1ーーーーー―――図書館利用を生活化しよう―――ーーーーーーーーーーーーーーーーー図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。ーーー ――『図書館の自由に関する宣言』、『図書館のめざすもの』の意味するもの――漆原宏 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎人類と図書館ーーーーー 人類は、地球上の緯度・経度の位置関係より簡単に記しても熱帯・寒帯、海浜・山岳、砂漠・湿地、創元・樹林など自然環境の違いの中で多くの人種、民族が誕生し、生活しています。したがって気候風土、衣食住の違いは、人的物的交流に差異が生じ、風俗習慣、生活習慣など、社会発展に遅速が現れます。そして時代を経て区別され、差別化が表れるまでになりました。結果、地球上の諸民族、諸国民の歴史には人間の負の遺産が多く含まれています。ーーーー しかし、その時代に生きる大多数の民衆は、幸せな人生、平和な生活環境を日々願って暮らしを営んできました。願いは子孫に託され、暮らしから生み出された知識や知恵を後世に伝える手段として、現代の図書館が形づくられてきました。ーーー私たちは、1人ひとりの顔がちがうように趣味、嗜好、価値観など主義主張とその表現手段が違います。 記憶としての口承から、保存としての記録へ、手段は多様化し、従来、図書資料としての紙となる素材は、草、木が多用されましたが、現代はフィルム、CD、DVD、HD、SDメモリーカード、USBメモリー、スマートメディア、 メモリースティック、コンパクトフラッシュ、XDピクチャーカード、などが記録媒体として加わり、保存され利用に供されるおうになるました。ーーー表現の素材としては、水、紙、竹、皮、骨、土、石、銅、鉄、銀、金、アルミ、プラスティック、ガラスなどです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎図書館は世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。ーーーーーーーーーーーーーーーーー 日本の公立図書館は、日本にあるからといって、日本人が創り出した資料だけを収蔵しているわけではありません。 同じ主題を人種や民族、老若男女、そして異なる価値観をこえて世界の多くの人々が各人の思考と異なる表現手段を用いて創り出しています。各主題が多角的な切り口(多文化・多言語)から扱われ、多種多様な結果が用意されていrので、各人が納得のいく結果が得られるでしょう。ーーーしたがって図書館は、世界的視野で資料を選択し、地球的規模で資料を収集します。ーーーそれは、図書館の目的のひとつ、平和で人間性豊かな」国際社会の創造に活かされます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◎図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。-------------------------------------------------- 日本国憲法前文は、平和主義、民主主義という「人類普遍の原理」を掲げています。国民主権、基本的人権の保障による自由と平等、そして互恵、戦争を放棄し領土を尊重し、国際的協和と友好、恒久的平和と共存を実現するためです。 そして、教育基本法前文には「この(憲法)理想の実現には、根本において教育の力をまつべきものがある」とし、第一条に「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」を掲げ、第七条二項に図書館施設を設置し教育の目的の実現に努める、ことを謳っています。ーーつまり図書館は、本質的・構造的に民主主義を志向します。結果、日本国憲法の理想の実現には、図書館が不可欠です。------------------------------------------------ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎豊富な図書館資料は、比べて考えるうえで不可欠です。ーーーー 図書館資料は、各館の収集方針に基づき蔵書構成がされます。ある主題に対し縦軸は入門書から専門書まで、横軸はその類書群が収書・配架されます。ーーーまた、レファレンス・コレクション(引く本)として、調査研究活動に提供される字書、辞典、百科事典、図鑑、年鑑、統計書、白書、ハンドブック、便覧類など、図書館員がレファレンス・サービスに用いる資料があります。ーーー人は皆、今までの認識量の範囲内で思索し模索して、調べたい主題の類書群を読み、比べて考え、さらなる知識や知恵を得て、その時点の認識量の範囲内で自己決定(判断)します。ーーー認識は量を増し頭脳に蓄えられ、主義主張となり、行為や行動へと意思表示され、個としての人格を形成してゆきます。それには、資料が豊富であることが必要です。ーーー私たちは、それらを心の糧として成長し、ひとりの生活者として、社会人としての役割(立場、職業)を担い、暮らしを営んできました。自己決定学習は、過去をふまえ、今をおしすすめ、未来をのりきる力を生み出します。ーーー-------------------------------------------------ーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎豊富な資料は、民主主義の理念である多様な価値観と選択肢を保障します。ーーーーーーーーー 豊富な資料により比べて考える仕様が、多様な価値観と選択肢を保障します。主義主張の異なる人々が共存共生する社会を支援します。ーーー私たちは、図書館資料を人類の文化財あ(遺産)として共有し、利用します。自己決定学習は、人間が主体としての基本的権利です。―――図書館は、民主主義の根幹である基本的人権のひとつ、生涯にわたる学習を保障します。多様な価値観を持つ人々が共存共栄できる社会が民主主義であり、図書館は、民主主義を方がさせる土壌です。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー--------------------------------- ◎図書館は、教育機関として無料で、自己実現を可能とする学習機関です。 -------------------------------------------------------- 教育法制にみる手段としての図書館は、図書館法第17条に利用を無料と規定しています。憲法前文と第25条に謳われる生存権の保障は、学習権の保障のうえに成り立つからです。ーー学校教育を終え、社会人としての自己学習の場を保障するひとつに図書館が位置づけられています。仕事に暮らしにこじんとして、地域活動に集団としても利用されます。--------------------------------------------------------- ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎自治・時事の資料・情報を住民に閲覧する仕事を担います。ーーーーーーーーー 条例でつくられる図書館は、自治体行政へ努めてサービスし、図書館法第3条7項に定める時事問題をも、速やかに広く、そして確かな資料と情報を併せて閲覧・提供する役割を担っています。直接選挙制度を掲げる日本にあって自治意識を形成する基盤となる機関です。ーーー戦前、国家が教育と情報を一方的に決定・管理し、国の政策を無条件に支持し、正当化するいっかんした政治を進めたことで、国民は侵略戦争に動員されていきました。国家が国民の知る権利を踏みにじった歴史への反省に立って、教育内容を一方的に当世してはならないということが、戦後の新しい教育理念として承認され、憲法・教育基本法制定の基本原則となったのです。図書館は、その教育法制のなかに教育機関として位置づけられています。ーーーその願いには、図書館理念と同調し、国際社会と協和する、平和で人間性豊かな日本社会の創造です。ーーーーー---------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーー ◎図書館は、地域資料の収集・提供、そして保存は重要な仕事です。ーーーーーーーーー 図書館は、当該自治体の拠って立つ歴史的背景と存在理由を郷土・地域から掘り起こし、そして行政事業で印刷化された資料など、必要とする資料は選別収集し、閲覧、保存する役割を担っています。図書館員は、地域資料の収集に意識的に取り組む姿勢が求められます。---住民が国・自治体の権利侵害行為に権利回復の行動などをおこす場合など、住民運動が発行する宣伝物を収集・整理して国・自治体の資料と比較検討出来るよう配架し閲覧に供します。--------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------- ◎図書館は、生きがいのある暮らしを営むためにあります。---------------------------------- 図書館は、時空を越えて世界の人々と出会い、資料を媒体に人と人とが集会室で集い、明日への知恵と英気を養うところです。ーーー図書館は、暮らしや仕事に助言や着想を引き出す事が出来ます。人としての在り方や生き方を資料と対話しながら探し、確認できます。そして、趣味や娯楽を憩えるオアシスとして疲労や悩み、悲しみや挫折を癒し、明日への元気を与えてくれます。ーーー人は図書館資料を活用して、個として自らを律し、生活者として自立した市民へと成長できます。自立した市民の結びつきは、自治意識を培い、責任感と行動力をもって自治体活性化に参画・参加し、そして国政の誤りも正せます。ーーー 図書館は、住民の暮らしや仕事、そして自治体行政の頭脳として、ひとづくりの要となり、まちづくりの 核として役立ちます。---------------------------------------------------------おわり ---------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーー 〈配布資料2〉---------------------------------------------------------  図書館は暮らしの知恵袋―――図書館は地域社会を活性化する―――ーーーーー                ーーー-----------------------------漆原宏(図書館写真家)ーー ---------------------------------------------------------------- □ 図書館は、暮らしの知恵袋ーーー 私たちは、知恵を働かせて生活しています。知恵とは知識を活性化したものです。お米は炊いて食べるだけでなく、蒸してお赤飯をつくり、蒸かしてついてお餅をつくり、粉にして焼いてお煎餅をつくり、麹をつくって味噌や醤油、そしてお酒をつくります。ーー牛は肉として食べるだけでなく、乳を絞ってミルクのほかにバターやチーズをつくり、皮はなめして靴や鞄、そして副をつくります。ーーこのように私たちは、知識を知恵に活かした生活しています。ーーー知識や知恵を収蔵し、利用できる機関が図書館です。 つまり図書館は、暮らしのなかにあって、その存在理由があります。-------------------------------- ーーー □図書館は地域社会を活性化する-------------------------------- ある図書館が封筒に「見えないものが、見える目を」としるしたように、図書館資料は、暮らしに欠かせない物事や現象の、本質とその構造を解き明かす知識や知恵、そして情報を提供してくれます。 結果は、住民一人ひとりが自ら考え、自ら判断し、そして自分の発言や行動に責任を持つ人間へと成長させてくれます。ーーー各自治体が設置し運営する公立図書館は、乳児から高齢者、そして図書館利用に障害を持つ人々、また外国人までを対象としています。社会人を主軸に学校図書館を支援する教育機関です。私たちは、図書館資料をによる学習をとおして、事業や生産、労働や福祉に必要な経営や技術の知識や技術情報、そしt趣味やレジャーに必要な知識や知恵、さらに情報を得ることができます。ーー図書館は、すべての人にひとしく資料と施設を提供してくれます。ーーー知識を知恵に活かす知恵袋として、暮らしの知恵袋として、地域住民が図書館を認識したとき、図書館は地域に根づき、地域社会は活性化します。ーーそれには、そこに住む人たちが毎日一度は歩く生活動線上に図書館を造ることです。駅前や繁華街、ビジネス街や官公庁街、住宅地域の商店街、スーパーマーケットや学校のそば、そして住宅地など人々が毎日とおり、集まる所だと立ち寄りやすいでしょう。-------------------------------- -------------------------------- □ 図書館とは-------------------------------- 私たあちは生物が地球上に誕生してから、38億年を費やして人類へと進化し分化し、自然に順応し共生しながら今日の人間社会を築いてきました。その間、私たちの遺伝子は、何億ビットという記憶量を蓄えてきました。遺伝子が一杯になると頭脳をつくりました。しかし科学や文化は時代とともに発展し、頭脳に入りきらない知識量を生み出しました。頭脳の記憶量も一杯になったとき、人間は外部記憶装置を考えだしたのです。それが図書館です。(朝日新聞社刊、カール・セ―ガン著『コスモス』)ーーーー 脳細胞は脳神経がはりめぐらされて活かされるように、図書館資料も異なる地域、異なる文字・言語をこえて活かされるためには、組織網が必要です。町村の図書館にない資料も、自治体間や国際間で相互協力や相互貸借胸底を結んで市区立、都道府県立、そして国立や外国の図書館からも借りられます。つまり図書館は、一つひとつの資料の集合体に終わらず、すべての資料が有機的に点から線へ、線から面へ網の目のように連鎖し、連携して機能する機関で、人間が暮らしのなかからうみだした機能であり、暮らしの知恵の産物なのです。ーーー図書館資料には、一般家庭ではそろえきれない自然科学や社会・人文科学の資料が配架されています。自然科学資料は、有形、無形に存在するすべての物質に、存在の必然性があることをしるしています。ーーー自然界の自然物の一員で、唯一思考し、思索し、判断し、そして行動する人間は、全物質を支配し独占できます。しかし、自由に伐採し、捕獲し、掘削することは人類を含めた生態系を侵し、自然を死滅させ、宇宙をも破壊します。図書館資料は、すべての”生命”と自然、そして宇宙が、人間に託されていることをにんしきんさせてくれます。ーーーーー社会・人文科学資料には、人類が 「ヒューマニズムと民主主義」を目指して、さまざまな社会制度をうみだし、体験してきた歴史があります。汗と涙と、そして血を流し、自由で平和な社会を目指して、語り継ぎ、記録(文字、活字、画材、地図、楽譜、フィルム、レコード、カセット・ビデオテープ、CD、DVD,USBメモリーなど)してきました。 ーー人類は、時の流れに即して文化をうみ、資料は量が質を高め、時代を反映して文明をおこし、資料は質が更なる質を高めてきました。図書館資料は、人類の歴史とともに増殖し、人類が「生きて活動する根源の力で、生物を生物として存在させるもの」( 岩波書店刊「国語辞典〈せいめい〉参照)として不可欠となるのです。ーーーつまり、図書館資料は、存在するすべての”生命”の大切さを認識し、共存・共生 する意識を継承すべく先達が書き残してくれたものです。”生命”の大切さを書きしるしたものです。もっと極限すれば、図書館資料とは、”生命”と不可分なのです。ーーー図書館は、それらの資料を地球規模で選択し、収集し、いまの暮らしに活かしています。人類の文化遺産を共有し利用することで、”生命”を大切にする平和で人間性豊かな国際社会を創ることです。豊富な資料が住民に利用されることで、一人ひとりに多様な選択肢を保障します。そして、学習をとおして多様な価値観の形成をうながし、確固とした判断力(自己決定)を培います。自己決定権は、国民が主体としての基本的権利です。ーーーー -------------------------------- □ 図書館は平和で自由な土壌のうえに開花するーーーーーーーーーー 図書館資料が人類の歴史の証といわれるのは、その一つひとつが、そ時代に生れ、その環境を生きぬき、その職業をまっとうし、そのおかれた立場にあって過去を見つめ、いまを捉え、そして未来を拓く一人ひとりの生き方の集積であり結晶だからです。その一つひとつに、著者のライフワークが思い入れとともに書き込まれています。それをいまに生きる私たちが心の糧とし、暮らしや仕事に役立て、社会や家庭を営んでいるのです。ーーしたがって図書館資料からは、暮らしや仕事の助言や着想を引き出すことができます。人としての在り方や生き方を資料と対話しながら探し、確認できます。そして、趣味や娯楽を憩えるオアシスとして、また、疲労や挫折、悩みや悲しみを癒し、あすへの元気を与えてくれます。図書館は、人それぞれの生き方と楽しみ方を導きだすことができます。また、何をどのように読んでも、読書の自由とプライバシーが保護されています。ーーしたがって図書館は、平和で自由な土壌のうえに開花します。図書館は、人類に不可欠な機関として、人類が生存するかぎり、ともに成長していくことでしょう。ーー ---------------------------------------------------------------- □ 図書館は、人類に不可欠な機関、無料が原則-------------------------------- 人は皆、この世に求められて生まれてきます。ゆえに憲法では、生存権をうたっています。ユネスコは、 1985年に「人間の生存にとって不可欠な手段である」(三省堂刊『解説 教育六法1992〉学習権宣言・国保障民教育研究所訳)として、基本的人権の一つに学習権を宣言しました。つまり、生存権は学習権の保障のうえに成り立つのです。ーーー図書館利用が無料の理由は、住民(外国人を含む)すべての学ぶ権利や知る権利をひとしく保障するうえで不可欠な機関だからです。 いつでも、どこでも、だれでも、どこからでも、どこへでも、どんな資料でも、そして会議室やホールでも、無料で借りること、人とひととのができなければならないでしょう。-------------------------------- -------------------------------- □ 図書館は人と人との出会いの場、集いの場-------------------------------- 図書館は、個人的な疑問や仕事上の不安であれ、社会的出来事や自治問題であれ、利ます。用さである地域住民へ問題提起し、集会室を利用しての集会・文化活動へ発展的に結びつけ、数人の講師による講座の実現や情報交流の場の確保など、資料とセットされた施設の提供が可能です。いまをおしすすめ、未来に生きる私たちは、地球規模の市やでの認識と行動が求められます。現代の生活者は、図書館利用の生活化が求められています。ーーー図書館は、ほんと人との出会いに終わらず、人と人との出会いの場、つどいの場となり、いこいの場、そして地域住民の情報交換の場となります。ーーーこれからの図書館は、滞在型指向の図書館が望まれます。仕事やライフワークに週休2日制や代休、そして転職などで多くの成人男子が利用しています。また、高齢化社会を迎え仕事から解放された人が増え、以前と違い朝から館内が利用者で賑わいます。ーー居住性を考慮して造られた図書館は、ブラウジングや閲覧空間がカウンターから見えない所に設置され、図書館員の目を気にせずにすごせます。また、AV資料の試聴空間が工夫され、パソコンの使用を可能にする防音された閲覧室も用意されています。図書資料やデータベースを数日利用可能なブースも求められます。ーーー幼児は親に手をひかれ、カーペットの床に座って絵本を読んでもらい、児童は仲間と紙芝居に興じます。そして、自然の不思議や社会の仕組みに興味を深めていきます。――中・高校生は、自我に目覚め、物事に強い関心を抱き、未知の世界を知る資料を選びます。また、青年は成人期への準備期として、人としての将来を決める時期でもあります。ーーー乳児あ幼児を育てる母親たちは、育児、家庭生活ともっとも知識や知恵を必要とする時期です。出産、育児期に花開くように行動する女性たちに、保育室や収納壁に簡単な厨房設備をもつ会議室があれば、集会・文化活動にすすんで参加できます。高齢者は、よき相談者となり、伝承者となり、指導者となり、そして人生の師となって図書館利用者のよき援助者になります。ーーー図書館利用に障害のある人々には自宅配本し、入院患者へは病院サービスで支え、対面朗読では通信販売の本も読んでもらえます。そして手話や外国語ができる職員もいます。ーー読書に疲れたとき、調べものの見通しがたったときなど、一息入れて気分を入れかえたいと思うものです。そんな利用者のために、公園様の中庭があり、緑陰のベンチやテーブルで歓談や読書、そして散策ができます。ーーー軽い食事ができる喫茶室あ愛煙家のための喫煙室、そして気にしないで話が可能な団欒室が必要です。団欒室は、図書館を利用する市民の個人広告・生活情報が得られるつくりを工夫し、発・受信場所でもあります。ーーー人々は、図書館資料を媒体とし、集会室を利用してサークルをつくり、つどいます。図書館の集会機能は無料が一般的なので、資料を生かしたいろいろなサークルに利用されます。したがって、ホールや会議室のほかに会合内容にかなった集会室(会議室、和室、板の間、創作室、工作室、録音室、対面朗読室、AV編集室、茶室、研究ブース、グループ室、ボランティア作業室、厨房、そして縫製室などの専用室)がたくさん必要です。また、陳列や展示可能な空間をもつ施設が求められます。ーーー図書館利用を生活化するためには、集会室が閉館後も利用できることが望まれます。ーーー                                おわり       〈2022.9.26/採録〉

2022年9月18日日曜日

漆原宏さんのこと  No.96

昨日、漆原宏さんのご訃報をご夫人の美智子さんから知らされた。美智子さんによれば漆原宏さんは一年寝ついて訪問看護を受けられていた由。9月15日朝方、千葉さん、大澤さん、伊藤さん達のおられる世界に旅立たれたとのこと。18日にご自宅から出棺、お「部屋には彼の写真パネルーーー彼らしい人生でした。」とのお言葉でした。 ーーーーー (メールで送信したのは) 「漆原さんから手渡されたもの、わたしの生涯にわたっての心の奥底にあって、いつも共にあります。美智子さんとのお二人の生活が始まると、(静岡から?)お電話いただいたときのしみじみとしたお喜びの声の響き、今も耳元にあります。千葉治さん、大澤正雄さん、伊藤峻さんとの出会いと語らいの場をはじめ、(仙台の)扇元久栄さんをはじめ、どんなにかけがえのない方たちとの出会いを授かってきたか、愉しく厳しい学びの時を手渡されてきたことか!ありがとうございました。あのように漆原さんの晩年の日々を灯りのように〔灯りとなって〕伴走された美智子さんに心から感謝の思いを深くしています。」との言葉をお送りするのがやっとだった。ーーーーーーーーー 美智子さんと初めてお会いしたのは1987,8年の頃、「福岡の図書館を考える会」の「図書館の話の出前」の注文が柳川の美智子さんからあり、考える会の若き2人の友人と3人で美智子さんたちを訪ね、その日はお寺で蚊帳をつって泊めていただいたのだった。以後、「柳川の図書館を考える会」の要の人として、美智子さんの行動はめざましかった。心温かく明るくねばり強いふるまいで、福岡の図書館づくりを深く支えてくださった。漆原宏さんが博多駅近くの記念会館図書室にひょっこりやって来られたのもその頃のことだった。それから随分時を経て、静岡?からのお2人からの電話をいただいたのだった。漆原宏さん、千葉治さん、大澤正雄さん、伊藤峻さん、扇元久栄さん、その他漆原宏さんから授かった出会いの一つ一つについては他日に。

驚くばかりの ”ひょうたんランプ展〝 No.95

”どこにでもありそうな景色を描く女 ひとみ”さんの作品展 9月26日まで。 自宅から歩いて5分、龍国寺を訪ねたら、ほんとうにびっくりする展示が行われていた。 ひとみさんの絵を初めてみたのは1年前、龍国寺でだった。描かれている絵に驚いた。そこにある絵で ひとみさんが最初に描かれた絵は、私の家から坂道を降りて数分の所、小さな古墳の側の路から前方に 広がる田んぼと空、私が出かける時は必ずその路を通り、目にする、目にとびこんでくる光景が描かれ ていた。まさに”どこにでもある景色”が、私がはじめて目にする世界としてそこにあった。田んぼも わきたつような雲の様子も、ふだん見るともなく見ていた世界なのに、そこにあるのは目に映るものを 写真に写るように撮ったものではなく、田んぼの水面の光、雲間の光からは生きている世界、宇宙とい うか、いのちの世界がそこにあるように感じられ、なにか天と地から歌がきこえてくるかのようだった。 (あとから頭をよぎったのは随筆家岡部伊都子さんの”一刻一刻”というコトバだった。)ーーー さらに驚いたのは、その時、ひろみさんの絵は描き始めて1年ばかりのものだとお聞きしたことだ。1年 にして、このような絵が描かれるとは。ーーーーーー それから1年後、一枚一枚、一作一作、心を吸い込まれるような作品が展示された本堂の奥の一室に 明かりをけした暗い小さな部屋にそれはあった。ひとみさんが、一つひとつ形のちがうひょうたんに 描かれた作品が、一つひとつひょうたんの中の灯りを灯すごとに、一つひとつ絵と言うより、いのち というか、宇宙というか、コスモスやリンドウ、月下美人や月や星座が現れて来て、傍らで話してく ださるひとみさんのお話、言葉をきいていると、思わず宮澤賢治さんに見せてあげたいですね、との 言葉が口をついてでた。何とも天からの声が聴こえるような不思議なひとときだった。 部屋を出て、ひとみさんの言葉が記された柱の前に置かれた、私の手のひらにのせられる小さな小さ な作品、そこに広がるどこまでも広く深い世界と再び対面した。ーーーーーー 家に帰りつくと、副住職(若和尚と私は読んでいる)の甘蔗健仁さんから、このたびのお寺での展示 の懇切な案内がメールで届いていた。ーーーーーーーー  幻想的な「ひょうたんランプの世界」 ~カラヴィンカ龍石/どこにでもありそうな景色を描く女 ひとみ~ーーーーーーーーーーー 展示期間9月17日(土)~26日(月)9時~17時まで 会場・・・龍国寺(糸島市二丈波呂474)ーーーーーー 予約は必要ありません。23日∼25日はお彼岸で混雑が予想されます。乗り合わせをおねがいします。ーー (健仁さんのご説明)ーーーーー ①【カラヴィンカさんのひょうたんランプ】ーーーーーーー  石器時代から道具として活用し、人類最古の栽培植物とされる「ひょうたん」。タオイズムでは ”人間と自然”の調和の象徴とされています。この多忙な現代にひょうたんのある生活を提案しています。 〔そういえば、ひとみさんのお話をお聞きしているとき、カラヴィンカさん作のひょうたんステレオ?から 静かな音楽が流れ続けていた。〕ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ②【ひとみさんのひょうたん絵画】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ひとみさんの絵には展示会を観に行く度に驚かされますが、今回は世にも美しい『ひょうたん絵画』を展示 いただきます。ーーーーーーー「ひょうたん絵画は日々描いていくなかで学んだことや描くことを通して頂 いたご縁など色々奇跡が重なって生まれた作品です。」とひとみさんは話されます。ーーーーーーー 〈注意〉23日(金)秋分の日は檀家の方のお参りが大変多いと予想されますので、一般の方は午前中は 10時まで、午後は16時以降にご来場ください。どうぞよろしくお願いいたします。ーーーーーーー 必見です‼どうぞ、ひょうたんランプの世界へ

2022年9月15日木曜日

森崎和江さん 追悼展のお知らせ No.94

本年6月15日に、満95歳で逝去された森崎和江さんの追悼展「森崎和江さんからの贈りもの」 のご案内です。---------    森崎和江さんからの贈りもの  ー追悼展ー--------------------------------------------- 2022年6月15日、満95歳で逝去された森崎和江さん(1927ー2022) は、一人ひとりの読者に心深く刻まれるものを手渡されてきた方です。 森崎さんが歩んでこられた道から生まれ紡ぎだされた言葉、生き方から 読者一人ひとりがどんなに心凛とする、そして心温かくなるものを手渡さ れてきたかを思います。森崎さんから手渡されてきたもの、森崎さんから の贈りものを、あらためて静かに想う小さな場をと考えています。 ・森崎さんのご本と写真の展示と「森崎さんを語る」お話。------ ★展示 2022年9月1日(木)~10月31日(月) ポートレート:松崎佐奈恵さん 4点-------- ----------★お話 2022年10月12日(水)18時30分~20時頃-------------------------------------------------------- ---------- ★場所 龍国寺     〒819-1626 糸島市二丈波呂474     Tel 092-325-0585  Fax 325-0948     ryukokuji@jyno.ocn.ne.jp   (問合せ・・・才津原 Tel090-5045-2559)     メール:itokazedayori@gmail.com     ブログ「図書館の風」www.kazedayori.jp     (同No.91は、「森崎和江さん 悼詞」) 追記 1.9月10日、西南大学で行われた森崎和江さん追悼のイベントの会場で上野朱さんにお会いした。糸島、龍国寺での  森崎さんの追悼展のことをお伝えしたら、すぐにバッグから数枚の写真をとりだされた。そして松崎佐奈恵さんを紹  介してくださった。さっそくお寺の会場の一画に松崎さん撮影の写真を展示することができた。ーーーーー 2.上野朱さんからのもう一つの思いもよらない贈り物は、『アルテリ』14号(アルテリ編集室発行、橙書店内)を  いただいたことだった。最近の毎日新聞の土曜日の書評欄に新刊の14号に、「石牟礼道子資料保存会」【この会に  は友人で、かつては大牟田市立図書館の職員だった大原俊秀さんが参加して活動している。大原さんは、その  元で共に働いた小柳屯(たむろ)さん(1930―2021・福岡県内の当時の図書会員にとっては福岡県の図書館の活動の  歴史の体現者、実践者とでもいうべき人。大原さんは、小柳さんの『木造図書館の時代・「中小レポート」前後の ことを中心に』と『小柳屯 図書館関係レポート1956∼1995』(いずれも石風社、1999年)お発行に「図  書館問題研究開福岡支部出版委員会編の中心的役割、ほとんど大原さんが編者としての仕事をされたのではないかと  思っている。彼は退職後は三池資料の膨大の資料の整理、出版にも関わっている。】が整理して いる石牟礼さんの  遺品のなかに、森崎さんが石牟礼さんに宛てた書簡類が複数残っていて、ご遺族の了解を得て、2人の交流が伝わって  くる書簡の一部を掲載するというのだ。「風信子(ヒアシンス)文庫)から本の出前をしている前原にあるブックカ  フェ「ノドカフェ」では、熊本の橙書店から本の取り寄せをしていたので、そこから買おうと連絡したところ、現在は  取り扱っていないとのこと。『アルテリ』をおいてある書店は福岡市内でも限られているため、どうしようかと考えて  いたところだったので驚いてしまった。私がまだ14号を入手していないことを伝えると、上野さんは「自分はもう読み  ましたから」と、その大切な一冊をプレゼントしてくださったのだ。14号には森崎さんの書簡の他に「石牟礼道子さん  の日録」、「渡辺京二・日記抄」、渡辺さんと坂口恭平さんの「アルテリ対談」、池澤夏樹、田尻久子、町田康ほか、  目にしたい文章が目白押しで、何とも大切な一冊だと思われた。 3.後日、40年来の友人で写真家で、私が住む二丈のある公民館の写真教室の先生でもある吉住美昭さんから電話があり、  龍国寺での追悼展のご案内をしたら、昔たしか森崎さんの画集の撮影をしたことがあると言う。よくよくお聞きすると、  石風社から1986年(26年前だ!)に出版された『インドの風の中で』(スケッチ・文 ・森崎和江)だった。1977年  12月に、当時50歳の森崎さんが、インド仏蹟めぐりという観光旅行をされた時の短い旅の記録。帯には「インドへの  短い旅行のなかで描かれた22葉のスケッチとインドの風をつたえる」とある。発行者であり、多分、編者でもある  福元満治さんの文だと思われる。ーーーーーー  本書の末尾には「本書に収められたスケッチは全て原寸です。二点(かって栄えた都・ベナレス)を除き、彩色され  たスケッチはからーで、単色のものはモノクロで印刷しました。」とある。ーーー  電話口での吉住さんお言葉、「そう言えば、森崎さんから(写真を撮った)お礼の葉書を頂いていたなぁ、どこにい  ったか、すぐには見つからないけど。」(9月17日、記)

2022年8月31日水曜日

「図書館は人々の共有財産です」〈岸本聡子杉並区長独占告白〉 No.93

ふだん利用している地域の図書館では週刊誌は2誌しかなく月刊誌も少ない。また私の生活圏には本屋さんがないため、 私は週1回は買い出しに出かけるお店(車で10分)や、その帰途たまに立ち寄るコンビニなどで雑誌に目を通している。 8月26日だったか、ある週刊誌を見ていて、思わず、「そうだ」と、その言葉に眼をとめていた。ーー 「図書館は共有財産です。」、  「図書館をどう扱うかは自治体のリトマス試験紙です。」 『サンデー毎日』9月4日号だった。116、117頁、2頁の誌面。大きな縦の見出しで、 「無作為で選んだ市民と対話集会続ける」、また、上段の横書きの中見出しには、 「岸本聡子杉並区長が独占告白」とある。 「公共政策のスペシャリスト」の肩書の右側に本人の写真、それに並んでもう一枚の写真が「公用車を使わず自転車通勤 する姿も話題に」との紹介記事とともに掲載されている。 ーーーーー リードの文章は、こうだ。ーーーーーーー 「6月の東京都杉並区長選で現職の田中良氏を破り、初当選を果たした岸本聡子区長(48)。出馬表明からわずか2か月 で臨んだ選挙戦で勝利を飾った。国政シンクタンクの元研究員が、地方自治で実現したい政治とは何かを聞いた。」ーー 「図書館は人々の共有財産」、「図書館をどう扱うかは自治体のリトマス試験紙」という言葉は、次のような記事のなかで でてくる。ーーーーーーー 「前職(欧州で約20年生活し、国際政策シンクタンクの研究員として各国の公共サービスの実態などを調査)の時は自身の 著書などで「コモン」の大切さを訴えてきた。コモンとは民主的に共有、管理されるべき社会の富だ。水道や鉄道、公園と いった社会的インフラ、報道や教育や病院、自然などの地球全体の環境までをも含んだ意味を持つ。」 「コモンの価値を、区民の日常生活にまで落とし込むことが大事です。 たとえば図書館は人々の共有財産です。具体的な建築物として人が集まる場所であり、知る権利を保障する社会インフラの 役割を持つ。図書館をどう扱うかは自治体のリトマス試験紙です。「パブリック図書館の奇跡」「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」などの素晴らしい映画がありますが、そこではスタッフは本の貸し出しだけでなく、講演会やパソコン 講座、就職支援プログラムも行う。そういう知の拠点としての文化的、社会福祉的な役割も担うのです。自治体の多くはこ れまで公的施設を削減するなどコスト重視でした。 でも区立施設や区の職員はコストではなく、杉並の財産なのです。 現在は、全国の自治体で運営の民営化が進むが、「コモン」を守るには公営であるべきだと言う。」 「大切なのは公共施設や公共サービスを杉並区の直営でやることです。民間委託だとお金がどう動き、使われたかがわかり づらい。限られた予算だからこそ大切に、透明性の高いやり方が必要です。」ーーーーーーー 「水道や鉄道、公園といった社会的インフラ、報道や教育や病院、自然などの地球全体の環境」は、人々の共有財産で、 「民主的に共有、管理されるべき社会の富だ」ということ。区(市)立施設や区(市)の職員はコストではなく、杉並( それぞれの市)の財産であるということ。図書館は市民の共有財産であること、まずこのことを心深く刻みたい。ーーー 117頁には「杉並区を民主主義の学校に」との見出しのもとに、岸本氏の政策集「さとこビジョン」が選挙中も区民の声を 反映する形でバージョンアップされてきたことが記されている。「そんな政策を通じて実現したいのが、『杉並区を民主主 義の」学校にする』ことだ」という。「海外で生活する中で、日本の政治に疑問を持つことも多かった。それがこの政策の 根幹になっている」と。「日本人はどうして”政治と生活は繋がりがない”と思いこまされているのかと、常々感じていま した。主権者教育を意図的にせず、国民に主権者であるとの感覚を持たせない、意図的な力が働いているとしか思えない。 その意識がないから投票にもいかないのでしょう。でもそのほうが、為政者にとっては都合がいい。市民と政治の関係性に おいて緊張関係を保つというその不断の努力を、権力側も市民側もしなければいけません。自分が選んだ議員を監視し続け るというのは、市民にとって権利であると同時に責任です。これをやらないと社会も劣化するし、民主主義も劣化してしまう。日本は世界的に見てもジェンダー後進国ですし、不平等がはびこっていますが、その理由はこういったところにあるのです」ーー(記事は鳥海美奈子記者)ーーーーーーーーーーーー 「図書館をどう扱わうかは自治体のリトマス試験紙」〈その自治体・行政の民主化度をはかるものさし〉、私の住む糸島市では、図書館はどう扱われているか、その観点からあらためて見てみよう。 当該雑誌「サンデー毎日」9月4日号を早速買って帰ったのだが、関心ある方はぜひ、図書館などで見ていただきたい。ーー 追記1.新聞の書評に。ーーー  実は「サンデー毎日」9月4日号を手にした1週間前の8月26日(土)の毎日新聞朝刊の書評欄の「話題の本」で、和田静香という人の書評を読み、図書館でまずリクエストをしようと思っていた。『私がつかんだコモンと民主主義』岸本聡子)、本の表紙の写真が載っていて、タイトルの横には、「日本人女性移民、ヨーロッパのNGOで働く」とあった。ーーー 「6月にわずか187票差で現職を破って東京・杉並区長となった岸本聡子さんによる、自身の半生を綴ったエッセイ『私がつかんだコモンと民主主義』(晶文社・1760円)を、夢中になって読んだ」が、書き出しだ。書評では図書館については何も 触れられてはいなかったが、まずはこの本を読んでみたいと思ったのだった。岸本さんのことは、それまでまったく知らず、 杉並区長に当選したばかりということも、本文で初めて知った。ーーー 追記2.そして8月25日、毎日新聞朝刊、1面下段の出版広告の右端の欄に『私がつかんだ・・・』の案内がでていた。 タイトルの上段に「8/20(土)毎日新聞の書評でさらに注目」とあり、タイトルの下には、重版決定 日本人女性移民 ヨーロッパのNGOで働く 杉並区初の女性区長による最新エッセイ! 世界とつながる 希望のポリティクスが ここにあるーーーーーーーーこの案内で2版が出ることを知る。すでに知る人ぞ知るで、かなり話題になっているのだと。ーー 著者の他の本を調べてみると。 1.『安易な民営化のつけはどこに、先進国に広がる再公営化の動き』(イマジン出版 2018.12)ーーー 2.『再公営化という選択:世界の民営化の失敗から学ぶ』岸本聡子編 山本太郎 2019.5ーーーー 3.『日本の水道をどうする!?〈民営化か公共の再生か〉』内田聖子編著 2019.8ーーーーー 4.『水道、再び公営化!欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書 2020.3)ーーー 5.『ころな危機と未来の選択パンデミック・格差・気候危機への市民社会の提言』アジア太平洋資料センター編 コモンズ  2021.4ーーーーーーーーーーー 6.『最後の一滴まで/ヨーロッパの隠された水戦争」ヨルゴス・アヴゲロプロス監督。アジア太平洋資料センター 2019 ーーーーーーーーーーー 追記3.「図書館は人々の共有財産です」という言葉を見て、頭に浮かんだこと。2014年、糸島市に隣接する福岡市で起きたことを苦い思いで思いかえす。ーーーーーー 人口150万人を超える九州で最大の都市、福岡市で一番の繁華街は天神地区だ。その天神地区の西隣に大名地区がある。地下鉄 「天神駅」から歩いて10分足らず。大名地区は多数のセレクトショップや路面店、雑居ビルなどが所在する一方、かつてからの住宅地も残っていて、細く入り組んだ道路ともあいまって、天神地区とは異なった雰囲気を持つ。ーーーーー その地区に1987年(明治6年)に創設された大名小学校があったが、開校140周年を経て2014年(平成26)、児童の減少による都心部の小中学校の再編により廃校となった。この地区でのかけがえのない公有地をどうするか、福岡市の動きは素早かったと今にして思う。廃校3年後には「旧大名小学校跡地活用プラン(平成29年3月策定9月改訂)」をふまえ、跡地活用の事業者公募を実施。30年3月、優先交渉権者を決定。当時、新聞記事やテレビのニュースなどで、その動きを知ったとき、私は福岡市民ではないけれど、「図書館砂漠・・・福岡市」と思うしかない福岡市で、市民の図書館に向けてのきっかけ、その論議の端緒ともなればとも思ったのだが。そこで聞こえてきた計画のあらましを知って驚いた。ーーーーーー 「地域活動や災害時の避難場所の役割【カモフラージュの定番の言葉、本音は後段に】国家戦略特区による規制緩和などを活用した新たな空間と雇用を生み出す福岡市の取り組み「天神ビッグバン」の西のゲートを担う場所となる。故安部氏、麻生某氏、現・福岡市長にまっすぐつながる在りよう。一人の市民として、その時思ったのは、「そこは市民みんなの土地、140年にわたり地域みんなの場であった土地」であるのにという思いだった。いったんそれを手放してしまうと、とりかえすことが難しい。お金のことだけではない、街中にあって地域の人たちがホッとする場所、次の世代の人たちにも大切な場となるような、「地域みんなの場所」となるような場づくり、それに向けての市民の関わりを大切にした地域づくりが見えない中で。ーーーーそうして眼前に立ち現われてきたのは。(これから宣伝がなされることだろう⁉) 敷地面積約10,000㎡、建築面積約5,600㎡、延床約90,000㎡。2022年12月竣工(ホテルは来春)をめざし、「オフィス・ホテル棟」(地上25階、高さ111m)「コミュニティ棟」(地上11階、高さ46m)はすでに外観を完成している。 【「オフィスホテル棟」オフィス、3階、5~16階。ーーー  ホテル17階~24 階5,6なされる00㎡、50㎡以上の客室162室(計画では)。 【「コミュニティ棟」1階公民館、老人いこいの家、多目的空間。2階テナント。3階テナント、保育所。4階オフィス。   7~11階レジデンス(19戸)  【その他】 土地の所有者とされる福岡市(ほんとうは市民から委託されたもの)のやり方、その手法をしっかり目に刻むためにも、この事業を担った「大名プロジェクト特定目的会社」5社の名前を記録しておこう。  ・積水ハウス・西日本鉄道・西部ガス・西日本新聞社・福岡商事。    追記4. 2022年9月9日 『井上ひさし発掘エッセイ・セレクション/まるまる徹夜で読み通す]』(岩波書店 2022.7.14)を読んでいたら、著者が 書いた多数の推薦文の中から(この類のものが三百点弱確認)、百点を選んだ「推薦文百選」の章があった。その中に次の 一文があった。岸本さんの言葉とまっすぐ響きあう言葉。ーーーーーーーーーーーー 29 富塚三夫『国鉄再建への時刻表』 文化と文明は、人とモノの移動によって成り立つ。日本人の心を支え、移動をつかさどる大動脈を 国民が共有していることは大事である。国鉄は、公共の論理が尺度なのに、産業の論理だけ で分割してしまうのは疑問だ。                   (1982年10月 かんき出版/帯) 井上ひさしさんの声がきこえる。

2022年7月31日日曜日

うれしい小さな報告 中学校のノー(NO)部活動デー  No.92

糸島市の人口は103,172人(2022年4月)で、市内に市立中学校は6校(分校1,小学校16校)あります。 福岡市の西側に隣接する糸島市は2010年1月1日、前原市(当時の人口69,200人)、二丈町(13,400人)、 志摩町(17,700人)の1市2町の合併により新市となりました。中学校は前原地区に3校、二丈地区に2校、 志摩地区に1校です。(志摩には「姫島分校」もあります)ーーーーーー 私が住んでいる所の中学校は二丈地区の二丈中学校(生徒数225人)ですが、その隣に糸島市図書館二丈 館(以下、二丈館という)があります。これは、合併の翌年、2011年10月1日に、旧二丈町、志摩町の庁 舎の一画を改築して、それぞれ二丈館、糸島市図書館志摩館(以下、志摩館という)として開館したも のです。そのオープンに向けて、志摩の「みんな図書館つくろう会」や「としょかんのたね・二丈」、 「二丈としょかん倶楽部」、「糸島の図書館考える市民の会」などで連携して2008年以来、行政への 要望、議会での質疑を行ってきました。ーーーーー つまり二丈中学校の隣に糸島市の図書館の分館である二丈館ができて12年になるのです。私は二丈館には 開館以来、週に1,2回は利用しています。ほとんどがリクエストした本を借りるためです。あらためて 思うと不思議なことなのですが、そうやって出かけた二丈館で、中学生を見かけることがほとんどなかっ たのです。ーーーー そうしたことに、疑問を抱いた保護者が現れました。驚いたのは、彼は糸島市の図書館の13歳から15歳の (中学生)利用者の小学校区別の人口、登録者数、実利用者数、貸出冊数の3年間にわたる資料を教育委 員会に請求して調べたのです。市内のどの小学校区には何人の中学生が住んでいて、そのうち図書館の 利用カードを作っているのは何人か(登録者数)、また、カードを作った人のうち、実際に本を借りた人 は何人か(実利用者数)、こうして小学校区ごとの「登録率」、実際に利用された「利用率」、さらに 「人口(生徒)1人あたりの(年間)貸出冊数」や「登録者1人あたりの貸出冊数」が明らかになりました。 PTAの役員もしていた彼がとりわけ驚いたのは、中学校のとなりに二丈館がある、二丈中学校の生徒の利用 の甚だしい低さでした。彼はこのことをPTA の人に話すとともに、校長先生と幾度かの話の場をもちました。 中学校では部活動が盛んで学校も積極的にとりくんでいます。そうして生徒の生活を考えてだと思いますが、 1週間に1日だけ部活動をしない日(ノー部活動デー)それをを市内の中学校全校で設けています。糸島市で それを月曜日としてきました。つまり図書館の休館日です。中学生たちが部活動がなく、いつもより早く 帰れる日は図書館は休館日でしまっているのです。ーーーーーー 校長先生との話し合いの結果、「ノー部活動デー」の日を月曜日から水曜日にかえることになりました。 また、部活のある日でも、生徒が事前に保護者に伝えておけば、学校帰りに図書館に立ち寄ることもできる こととなりました。 これはまだ、糸島市内では二丈中学校だけのこととなっていますが、それでもとても意味ある大切な変化では ないかと思います。一人の人の疑問から始まった小さな行動の積み重ねの力を思いました。ーーーーー 夏休み前でしたがこのことがきまって数日後、私が二丈館に出かけたとき、図書館の玄関前に10人近い制服姿 の中学生がいました。男子が2人だったか。思わず声をかけたのですが、10年以上、二丈館を利用してきて初 めて目にする光景でした。やっとというか、なんとかやってきてくれた中学生たちを手ぶらで帰さない図書館 側の取り組みを今やと待ち望む思いです。

2022年6月30日木曜日

森崎和江さん  悼詞    No.91

森崎和江さんが亡くなられた。6月15日、満95歳。6月19日の毎日新聞の朝刊で知りました。 この何年かは、ご連絡できないご様子と思われお便りなどを控えていた。 後日、ご葬儀は近親者で18日に営まれたとのお知らせ、森崎さんがすでに自らのお墓を宗像 市内の霊園に用意しておられ、8月上旬にはそこが森崎さんの安住の地となりますとのお言葉 が心に深く届くお言葉とともに記されていた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 森崎さんの言葉、ご本に出会ったのは1969年前後、53,4年前のこと、東京で私が大学2,3年 生の頃だ。そして森崎さんと初めてお会いしたのは2002年、京都駅の近くで、あるお寺が主催 した森崎さんの講演会でだった。森崎さんの読者の一人として生きてきて30数年を経てのこと だった。100人くらいの参加者だっただろうか、講演が終わったあと、どなたも演壇に近づいて おられない。思わず知らず私は森崎さんの前に立っていた。そしてとっさに能登川の図書館で の講演をお願いしていた。翌年の2003年4月26日、「子どものいのちに教えられ」と題してお話 をしていただいた。2003年1月1日に発行された『月・人・石ー乾千恵の書の絵本』(乾千恵・ 書、谷川俊太郎・文、川島敏夫・写真/福音館書店、こどものとも562号)の著者、乾千恵さん の「乾千恵・書展 月・人・石」(4月2日~27日)を能登川町立図書館で開催中で、その最終 日の前日のことだった。講演会には乾千恵さん、ご両親の一さん、文子さんも大阪の島本町から 参加された。千恵さんと森崎和江さんとの出会いは私にとって何よりうれしい出来事だった。 会場においていたノートには「いのちひびくあなたの文字とわたしのからだ」と森崎さんの手で 記されていた。いのちとの出会いを求めて歩んでこられた森崎さんの文字を心に刻んだ。 そのご幾度も森崎さんと出会いの時を授かった。その一つ一つの出会いが今も鮮烈に蘇る。その 時々に、以後私にとって、かけがえなき人となる一人ひとりとの出会いを授かっていたことを、 今、改めて思い知る。 森崎和江さんの言葉、そして森崎さんその人から、これまでなんという深い励ましを授かってき たことだろう。森崎さんの声が聴こえる。やさしい笑顔が瞼にうかぶ。 「森崎和江コレクション―ー精神史の旅」全5巻が藤原書店から2008年11月から2009年3月にかけ て発行された。 ーーーーーーー  1 産土 UBUSUNA 〈解説〉姜信子    原郷・朝鮮とわが父母/17歳、九州へ/戦後、新たな旅立ち ーーーーーーーーーーーーーー  2 地熱 CHIねTSU    〈解説〉川村湊    筑豊の温もり――『サークル村」『無名通信』/ヤマと闘争/地の底の声――『奈落の神々』 ーーーーーーーーーーーーー  3 海峡 KAIKYOU     〈解説〉梯久美子    島人が越えた海――与論島・沖縄/からゆきさんが越えた海/海峡の島 ーーーーーーー   4 漂泊 HYOUHAKU    〈解説〉三砂ちづる    海路残照/海の道、山の道 ーーーーーーーーーー  5 回帰 KAIKI      〈解説〉花崎こう平    いのちへの旅/生きつづけるものへ ーーーーーーーーーーーーーー 各巻に月報がつけられているが、2009年1月に配本された第3巻に一文をよせた。 言いつくせぬ感謝の念をこめて。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いのちの声に生かされて                   2009.1 初めて森崎和江さんのお名前を眼にしたのは鶴見俊輔さんの文章の中でだった。四十数年前のことだ。 高校卒業後、住み込みで新聞配達のアルバイトを東京葛飾で一年、福岡で一年した後、池袋からの私 鉄沿線の椎名町駅近くの新聞販売所に住み込んで、目白にある大学に通い始めたのは一九六七年四月、 ベトナム戦争と、それと向きあい重なる形で、大学での学生運動が激しさを増そうとしていた時だっ た。ーーー 大学では学部も単位も関係なく面白いと思う講義だけをきいた。単位に関係があっても面白くないと 思った講義は一度、あるいは数度で受講することをやめた。講義で初めてきく本の名前、著者の中か らこれはと思うものを大学図書館のいつか定席となっていた座席で読んだ。本の向こうから幾人もの 人が、私にとって近しい大切な人として立ち現れてきた。ーーー そうした中、私は他の大学にも勝手に講義を聴きに出かけるようになっていた。早稲田大学でのこと だった。教室の外でデモをする学生たちのシュプレヒコールの声やピッピと鳴る笛の音が聞こえる中、 早稲田では珍しく教室が数百人の学生でいっぱいになる講義に出会った。講師は数日前に明らかにな ったばかりの、アメリカ空母イントレピッドからの四人の兵士の脱走について、今、このことの意味 することを考え語らずして抗議の意味はないと、それから何回かの講義時間の中でこのことについて 話された。久野収さんだった。私はそれまで久野さんのことは何も知らなかった。久野さんが私が通 っている大学の哲学科の専任講師であることを知った私は、ゼミ以外のすべての講義をきくことにし た。久野さんの本を読み始めてすぐ、鶴見さんの本を手にすることとなった。鶴見さんの生き方、そ こから発せられる言葉は私の生き方、在りようを深く照らしだすように思われた。私にとって、以後 四十年をこえる著者との出会いだった。ーーー 大学図書館に『思想の科学』のバックナンバーがあることがわかり、創刊号から読み始めた。その何 号であったか、鶴見さんのある文章が目にとまった。鶴見さんが谷川雁さんと会った時、谷川さんか ら聞いたという話。九州には中村きい子、森崎和江、石牟礼道子という三人の優れた書き手がいると いう言葉で、私は初めて森崎さんのお名前を知ったのだった。最初に手にした森崎さんの本が何であ ったか思いだせない。しかし森崎さんの文章から立ち上がってくる声が私の心に染みこむように響い たのだと思う。いのちからいのちへの声、いのちの声としかいう他ないものが私の胸底で鳴り響き、 私の中に生きることにむけての何かを点じてくださったのだと、今にして思う。当時、二十歳前後の 私はぼんやりと、自分の中には根がないと感じ、時折、野垂れ死に志願という言葉が頭をかすめ、い つか日本の外へという思いを生きていた。日本の外に何かがあるわけではないと確信しつつ。ーーー 森崎さんの文章〔コトバ〕、森崎さんの生き方は、そんな私を強く打ったのだと思う。 日本と言うくにへの深い違和を生き、その欠如をこそ自らの生きる足場として思い定め、いのちの 母国を探して歩んでこられた森崎さん、その凛とした、厳しい歩みの中から、溢れるように染みでて、 その声に触れる人をまるごとつつみこむ、その深々とした温かさを思うと言葉を失ってしまう。 まっくらな地の底で後山(あとやま)として生きたおばあさんや、からゆきさんと対するときの森崎 さんの対され方からまっすぐに伝わってくるもの。与論島、沖縄、韓国の声ならぬ声。ほのおの笛音。 大学卒業後、私は何ともいい加減な経緯で千葉県内のある市立図書館で図書館員として働き始めた。 市の公務員として採用されたのだが、二年経ったら辞めるのだと思い定めてのことだった。先に目当 てがあってのことではなかった。階段を上るのではなく、まず降りることから。それは私にとって深 く考えてのことではなく、自然な思いであったが、そんな思いの無意識のどこかに、森崎さんの筑豊 での日々の営みから発せられるいのちの声が響いていたかもしれない。以来、今日まで意識すること なく、その声に生かされてきた自分であったことを今、あらためて思う。ーーー 不思議な縁が連なって、その後、いくつかの図書館で働く場をさずかった。最後の仕事場となった琵 琶湖の畔の小さな図書館では、鶴見さん、森崎さんから、町の内外の人たちと共に、お話をお聞きす る場を授かった。天からの贈り物のような、信じがたい時間だった。 この度の著作集の発行の裏方で上野朱さんが力を尽くされたこと、うれしい限りです。 朱さん、森崎さん、本当にありがとうございました。       (さいつはら・てつひろ/農業) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 7月、「ノドカフェ」への本の出前では、感謝と追悼のおもいをこめて、主に森崎和江さんのご本と、 森崎さんと縁しある方たちの本を持って行った。私の手元に数冊の本があるが、この期間中には、そ れらも持参したい。また私自身も、ノドカフェの棚を利用する方たちとともに、その棚の本を利用さ せてもらおうと思っている。〔7月3日~8月末まで。2ヶ月間の出前です〕

2022年5月4日水曜日

はつしお としょかん開館 5月5日 No.90

はつしお としょかん 開館 玄海灘に面した糸島市の西の端、JR鹿家駅から歩いて7分、国道202号線沿いにある初潮旅館の一角に “はつしおとしょかん“が5月5日に開館します。絵本をみんなで持ちより、みんなで楽しむシェア図書館。 子どもも大人も楽しめる絵本を、すばらしい海の眺めのもとでお楽しみください。 糸島の図書館の未来を考える会協賛です。 ・5月5日~7日 開館記念の催し色々 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー プログラム 5月5日(木)10時~16時  ・オープニングパフォーマンス   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  3日間、風信子(ヒアシンス)文庫は本の出前をしています。 劇団もぐら:ライブペインティング  ・絵本さんぽ(館13時内のいたるところで読み聞かせ。ミツケテネ!  ・ワークショップ    1.フェルト絵本 10:30~12:30    2.Dr.キーダの実験教室13時~  〇マルシェいろいろ;キッチンカー有り。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5月6日(金)  ・絵本さんぽ(読み聞かせ、いたるところで)サガシテネ!  ・ワークショップ   ・Dr.キーダの実験教室13時~  〇マルシェいろいろ;キッチンカー有り。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 5月7日(土)  ・ワークショップ   1.フェルト絵本10:30~12:30(各3人)   2.いとしま絵本ハーモニー10:30~12:00   3.Dr.キーダの実験教室13時~  ・クローズド・パフォーマンス 13:30~15:30    鹿家バンビハウス&グリーンコート;     鹿家音頭、鹿家小唄 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3日間、風信子(ヒアシンス)文庫は本の出前をしています。   

2022年4月25日月曜日

公開質問状への回答 No. 89

2022(令和4)年1月30日に開票された糸島市長選挙、市議会議員選挙で、糸島の図書館の未来を考える会から出された公開質問状に対して、次のような回答があった。【市長選立候補者2名のうち1名、市議選立候補者28名のうち10名の回答があった。各候補者の回答の内容は考える会のホームページをご覧ください。---------- https://kayumu0216.wixsite.com/my-site-1 (糸島の図書館の未来を考える会) 令和4年1月 30 日:糸島市長・市議会議員選挙~    糸島の図書館の未来を考える会 1  立候補者29 名中 11 名が回答ーーーーーーーー―ー 1、図書館は利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (利用している・利用していない)   利用している 7   / 利用していない 0 / 利用したことがある 1 / あまり利用していない 2 / 無回答 1 / 2、主にどこの図書館を利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (前原館、二丈館、志摩館) 前原 8 / 二丈 3 / 志摩 3 / 無回答 1 / 3、どれぐらいの頻度で利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (1 週間に 1 回、2週間に1回、1ヶ月に1回、半年に1回、1年に1回、利用しない、 行ったことがない) ・2 週間に 1 回 2   /  ・1 か月に 1 回 5 /  ・半年に 1 回 1 /  ・1 年 1 回 3 / ・無回答 1       / ーーー 4、どのように図書館を利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (本の貸出し、調べもの、リクエスト、レファレンス、催しへの参加、展示物の鑑賞、  会議質の利用、学習室の利用、その他〈 〉) 11人のうち7人=64%(6割利用) / 8人のうち3人=38%(4割の利用) /  8人のうち6人=75%(8割の利用) / ・分館は本館の約 4 割の利用。 / ・分館全体では本館の約 8 割を利用している。身近に分館があることの有効性を示している。/ ・2 週間に 1 回と月に 1 回の利用を日常的に利用しているととらえることができる。日常的利用/ 11人のうち7人=64%  / 回答いただきまし候補者の皆様 (敬称:略) ●市長候補:岸塚由将 ●市議会議員候補:中尾浩昭、松月よし子、長田秀樹、畑中鶴見、藤井芳広、岩永数昭、 佐藤倫子、近藤征生、後藤宏爾、伊藤千代子 2 ※レファレンス・・・図書館の資料を使い調べもののサポートをするサービス ・貸出 3 / ・調べもの 6 / ・リクエスト 1 / ・レファレンス 2/ ・催し 0    / ・展示 1    / ・会議室 0   / ・学習室 1   / ・無回答 1   / 5、現在の図書館により行きたくなる機能やサービスがあるとすればそれは何でしょうか。 (特に該当するもの 2 つに○をつけて下さい。) (音楽やゆったりできるソファーのある居心地の良い空間、カフェなどの飲食ブース、大 人向けの読書会・講演・ワークショップ、図書館コンシェルジュの導入、CDやDVDの 充実、新刊が多くあること、パソコンの使用を許す、雑誌のタイトルを増やす、 その他( ) ・居心地の良い空間 6  / ・飲食ブース 4     / ・大人向け講演会 2   / ・コンシェルジュ 1   / ・CD/DVD 2       / ・新刊 4        /  ・パソコン 5      / ・雑誌タイトル 2    / ・良書の充実、本との偶然の出会いを楽しめるようになる。 ・行きたくなる図書館では、居心地の良い空間があれば高齢者に限らず「居場所づく り」の一つとしての取り組みも考えられませんか? ・カフェなど提案は全部必要と思います。誰もが気軽に行けるのが必要では。 ※図書館コンシェルジュとは来館者に本の楽しさ、面白さを伝えるべく本の情報や資料 の提供を行う人のこと。 ・図書館サービスの基本である貸出・リクエスト・レファレンスが少ないことに驚きました。 ・街づくりと図書館/議員活動と図書館が結びついていないと思われます。 【リクエスト】とは、図書館に未所蔵の本であっても図書館が取り寄せ、利用者が貸出せるサービスです。 【レファレンス】とは、調べたいことや探している資料などの質問について、必要な資料・情報をご案内するサービス です。 ①「居心地の良い空間」が最も多く求められている。/ ②「パソコンの利用」一般利用者でもこの要望は多い。インターネットを使う人が多い現代には必須ではないか。/ ③「飲食ブース」も居心地の良い空間につながること。/ ④「新刊」は利用者にとっては一番の魅力。/ ※「雑誌タイトル」利用者にとって雑誌のタイトル数が多いことも図書館の魅力のひとつ。/ 3 6、利用者の中には子ども連れだと声を出すので、図書館に行きづらいと言う方がいますが、 子ども連れでも安心して行ける図書館にするためにはどんな工夫が必要でしょうか。 (例、間仕切りのある部屋をつくる、少しのおしゃべりは許容する、静かに読みたい人の部屋をつくる、その他〈 〉) ・ 間仕切りのある部屋をつくる 3 / ・少しのおしゃべりは許容する 6 / ・静かに読みたい人の部屋を作る 3 / ・図書館は「人が集う場所、ひとと出会う場所」というコンセプトを職員も、利用者も理 解する。本に関するおしゃべりは歓迎する。 例)ひらがなが読めるようになった子が、背表紙を読む。「ママ―この本、借りてい い!」とか、親が小さい声で子どもに本を読むとか。 ・子どもの読書経験を増やすという視点から考えると、図書館は日常の延長にあってほし いので、賑やかで良いのではないでしょうか。 ・子ども達と一緒に楽しめる場を作ることが必要だと思います。 ・図書館の職員が過度に注意しないようにする。子どもは声を出して当然だという文化を共有する。 ・少し位ざわついても良いのでは。 7、わからない事があったら何を利用して調べますか。 (該当するもの全てに○をつけて下さい。) (人に聞く、インターネットを使う、本で調べる、図書館のレファレンスサービスを利用する、その他〈 〉) ・人に聞く 3   / ・インターネット 8  / ・本 6       / ・レファレンス 2   / ・無回答 1      / ・公共施設の保有している情報を公開させる。弁護士、大学教授等の専門家に直接アクセスする。 ・「少しのおしゃべりは許容する。」が最も多かった。図書館は誰でも利用できる場所であるこ とを念頭に置いて考えたい。 ・静かに読みたい人は学習室を利用することもできるのではないか。 ・レファレンスの利用の少なさが残念です。 ・書籍とネットからの情報には質の違いがあります。 ・素晴らしいと思います。 4 ●先月より今月5日まで糸島市は「糸島市読書ふれあい推進計画(案)」についてパブリッ クコメントを募集しました。 その中の課題について質問致します。 8、開館時間ついて ※ 開館時間 10~18 時まで(日曜、休日は 17 時まで) 休館日 毎週月曜日、館内整理日(毎月第 4 水曜日)、年末年始 12/28~1/4)、 特別整理期間(毎年 1 回 15 日以内) (該当するもの全てに○をつけて下さい。) A)(今のままで良い、改善すべきだ) 今のままでよい 2 改善すべき 9 a)「改善すべきだ」と答えた方に質問します。 どのような改善を求めますか。(御意見をお書き下さい。) (例、週に1回でも閉館時間を 20 時まで延長する、朝9時から開館する、 3館の休みを別の日にする、学校が休みの時はできるだけ開館する) ・本に触れる機会を増やすには開館時間をのばした方が良いと考えます。例えば、学校の長 期休暇中は朝9時から、仕事・部活帰りに寄れるように 20 時まで。 ・正規職員を増やし、サービスの提供時間を伸ばすべきです。働く人が利用しにくい状況です。 ・(週に1回でも閉館時間を 20 時まで延長する、朝9時から開館する、3館の休みを別の日 にする、学校が休みの時はできるだけ開館する)上記はすべて取り組むべきだと考えます。 その上で状況を見ながらさらに拡大延長することを検討すべきと考えます。 ・図書館は「知的インフラ」であり、多くの人が活用できるようにすることを大前提とし てとらえる。 ・週に 1 回でも閉館時間を延長する。 【レファレンス】とは、調べたいことや探している資料などの質問について、必要な 資料・情報をご案内するサービスです。 さらに、図書館には【レフェラルサービス】(利用者の求める質問に対して、図書館 にない情報や人を紹介するサービス)があります。/ 11人のうち9=82%   ・仕事や部活帰りに寄れるようにする。   ・週に 1 度は閉館時間の延長を。利用者の切実な声だと思います。 5 ・学校の長期休暇の時はできるだけ開館する。今年度、小学生の子どもの冬休みの期間に、 図書館も休みが多かったため残念でした。 9、自力での来館が難しい方へ図書館サービスを提供するにはどうしたらよいと思いますか。 (御意見をお書き下さい。) (例、移動図書館を利用する)  ・ICT を駆使した利用 1  / ・移動図書館 7       / ・郵便を使う 2       / ・分館をつくる 1  ・(移動図書館を利用する。)例のとおりです。保育所や地域を回って本を届けていた移  動図書館、 文化のシンボル   とも言うべきパピルス号を廃止したことは市の宝物をドブに捨てたようなもの。復活すべき。明るい音楽を流しながら   農村を走る姿が忘れられません。  ・豊島区立図書館のような要介護1相当以上の方、身体障害者手帳1級から5級をおもちのかたに。無料がいい。  ・図書館の分館を増やし、移動図書館を増やす。  ・移動図書館を復活させる。それに移動しづらい方への福祉、見守り、買い物支援サービスを追加し地域振興につなげる。 10、図書館の利便性を広く周知していくにはどうしたらよいでしょうか。(御意見をお書き下さい。) (例、図書館の新刊情報や催しについてメールだけでなく回覧板で回す、地域の活動を図書館で紹介する・もしくはその  機会を増やす) ・市のホームページを使って、図書館の魅力をもっと具体的に楽しく知らせる。 市主催の読作文・作画コンクールや本にまつわる家族、人との感動的なふれあいメッセージの募集。それをまとめて本にして発行する。 / ・楽しめる図書館にすること / ・図書館から各コミュニティセンターにセンター便りに掲載する。 また、市の広報誌、任意団体などの会報誌に掲載要請する、シニアクラブでは年に 3 回発行(毎回 7300 部) / ・新刊情報や催しについてメールだけでなく回覧板で回す。 / ・「移動図書館」との意見が多い。市内の「どこでも」「だれでも」という視点からも移動図書館は有効。また糸島市は 移動図書館のノウハウを既に持っている。 / ・「郵便をつかう」場合は、費用を個人が持つか図書館がもつかという問題がある。 / 6 ・利用者の満足度を高めることが重要で、そのために利用者懇談会を復活し、利用者の声を聴き、今の利用者の利便性を 高めることが重要だと考えます。 / ・乳幼児健診や子育て支援センターで伝える。 / ・いとハピと連携し、情報提供を行う。 / 11、「(図書館の)存在を知らない」という現状を改善するためにはどうしたらよいでしょうか。 (御意見をお書き下さい。) (例、小中高生に学校で図書館の出前講座をする、授業の一環として図書館で調べもの学習をする、図書館で定期的に 「利用の仕方」について説明する、文化部や運動部の発表の場というように学校を巻き込んだ取組をする、先生が図書 館を利用する、高齢者施設を巡回する。) ・授業の一環として図書館で調べもの学習をする。4 名 / ・図書館をお知らせする案内標識や看板を充実させる。ネットや SNS を使って周知する。 図書館でマルシェやアートフェスなどのイベントをする / ・放課後児童クラブ的な機能が現実的はないか。 / ・社協との連携。 / ・出前講座も必要では、授業の一環として図書館での授業もありでは。 / ・地域に身近なところに公立図書館をつくることが親しんでもらう 1 番の近道です。移動 図書館はその第一歩です。 / ・「学習室の利用」は図書館の存在自体をしってもらうチャンスであり、もっと利用しやすいようにし、さらに読書にも つなげます。 / ・小学校のうちに自然とおぼえてもらう。家族が本を届けてくれる方は良いのですが。高齢 者施設は蔵書が少ないので 図書館巡回は必要でしょう。 / ・自分が小学生のころ、図書館は心の休まる所だった。司書の先生〈正規職員〉は 1 日そこにいて私たち子どもの話を よく聴いてくれた。 / ・伊万里市の図書館のように図書館をまちづくりの中心に位置づけ、各学校の図書室とも連携し、マンパワー、予算の  充実をはかること。 / ・以上の意見に加え、図書館の基本的なサービスを具体的に知らせていくことが必要だと考えます。 例えば、図書館は全国の図書館とつながっています。未所蔵の図書であってもリクエストすれば借りられます。 また図書館には調べものをサポートしてくれるサービス(レファレンス)があります。 国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」でも調べることができます。 例えば「坐骨神経痛 体操」と入力すれば、数冊の本が紹介されます。 暮らしの中に図書館を! 7 ・例に挙げられている「授業の一環として図書館で調べ学習」のように図書館の使い方と同 時に図書館の魅力を伝える。読書は自分の世界を広げるきっかけになることをしってもらう。 ・乳幼児健診や子育て支援センターで出前講座を行う。その際、「図書館は子どもと来ても 安心」な状態になっておくこと。 ・1 歳になったら図書カードを作ることを推奨する。 ・楽しい講演会やワークショップの開催。 ・学習室、会議室の利用 PR。 12、学生の不読率の増加について、どのような改善策があるでしょうか。(御意見をお書き 下さい。) (例、学校図書館と糸島市の図書館が連携して本の貸出しをする。移動図書館が保育 園や幼稚園、小学校に巡回する。移動図書館を児童クラブに巡回する。) ・学校図書館と糸島市の図書館が連携して本の貸出しをする。2 移動図書館が保育園や幼稚園、小学校に巡回する。 2 移動図書館を児童クラブに巡回する。 2 ・学校帰りに図書館に寄れるようにする。 ・最近 TikToker のけんごさんが話題になりましたが、彼のような BookToker が最近話題 の本を興味深くすすめ、中高生(特に女子)が大きな影響をうけ本をかなり読んでいま す。ところが肝心の学校図書購入費はあまりに少なく、そこで紹介されているような本 はきわめて少ししかありません。古い本しかないのに「達成率 100%」と自慢している のでは問題です。子ども達が興味を持つ本がすぐに読めるよう予算を増すべきです。 ・小学校を巡回する。 (例、学校図書館と糸島市の図書館が連携して本の貸出しをする。移動図書館が保育園や幼 稚園、小学校に巡回する。移動図書館を児童クラブに巡回する。)  / ・上記の意見に加えて、小さいころから本に触れることができる環境、身近に図書館がある環 境つまり実際に本が手に取れること・借りられることが重要だと思います。その意味では「移 動図書館」は本が借りられる(リクエストもレファレンスも)ことに加え、図書館の存在を知 ってもらう機会にもなる。 / 8 ・例の通りと思います。絵本の素晴らしさ楽しさは自分が子育てしてはじめて知りました。 本にまつわる様々なイベントを開催する。絵画や劇場、スポーツなどの文化と合せて広く 豊かな視点で本の楽しさを紹介する。 / ・伊万里市の図書館のように図書館をまちづくりの中心に位置づけ、各学校の図書室とも連 携し、マンパワー、予算の充実をはかること。(問 11 より) / ・漫画も含め子供達の読みたいものを準備する。 / ・子どもたちにとって1番身近な存在である学校図書館の蔵書の充実。 / ・親が読書の意義を理解する。 / ・学校図書館が「貸し出し数」で評価するのではなく、発達段階にあった読書をしている かどうか、子どもの知的好奇心を満たし、人生の選択が広がり、知の蓄積ができる本を 準備し、進められているかを評価する。子どもが「本を読むって面白い」と思えるよう になっているかどうか。 / ・個人的な話だが、私の小学生の子どもは、学校図書室の司書さんが大好き。「こんな本あ るよ。読んでみたら?」とよく進めてくれるそうで、その本との出会いにより、知識が増 えている。 / 13、携帯、ゲーム、Youtube といった室内かつ個人で完結する余暇活動が読書と競合になっ ていると思いますが、その中でも読書を選んでもらう工夫について (御意見をお書き下さい。) ・電子書籍のような「室内かつ個人で完結する」余暇は市場規模でみれば 10 年前の 20 倍 以上にのびており、BookToker のような存在とあわせて考えると必ずしも悲観する必要 はないと思います。ただ、読書への身近な体験がまず大きなキッカケとして必要であり移 動図書館をはじめ身近な図書館サービスはかなりキッカケとして重要と考えます。 / ・ビブリオバトルのような楽しめるイベントをさらに増やしていく。小説や詩などを書く人 をふやすために大会や賞イベントなどを行う。若者に人気の作家 のトークイベント等を開催する。 ・孫が「充電も wi-fi もいらないいちばん手軽な娯楽」と言っているこの言葉はひとつのキ ーワードになるのではないでしょうか。/ ・上記のように蔵書の充実と学校司書の役割は非常に大きいと思います。/ ・小郡市図書館では図書館と学校が連携した取り組みとして「小郡市学校図書館支援センタ ー」が設置され、「学習支援」「読書推進」として支援図書の貸出しや図書館見学を受け入れ ている。これらのことは学校図書館が持つ機能が、学習活動の場で十分に発揮されるよう に、先生方や学校図書館関係者を支援しています。/ 9 ・「本を読むって面白い」という体験を小さいころから蓄積しておくこと。 / 14,図書館サービスの柱として糸島市図書館が掲げていた市内『どこでも』『誰でも』利 用できる図書館サービスについては依然として校区(地域)による利用の格差(添付資料 ①)があります。このことについては、まず移動図書館による運行を始めながら全域サー ビスの体制を整備していくことが必要だと考えますがお考えはいかがですか。 ※この質問は 4 年前の選挙の際にも質問のあった項目です。 (1)必要だ (2)必要でない (3)その他( ) ・ 必要だ 9  / ・ 必要でない 1 / ・その他 1 / 15、学校図書館の図書費については、国から毎年、小、中学校の学校図書館の図書費として 交付されていた『第 5 次学校図書館図書整備(等)5 カ年計画』が今年度で終了します。 来年度からの新たな内容は 1 月末に公表されることになっています。(文部科学省総合教 育政策局・照会)平成 30 年から令和 3 年までの直近の 4 年間、糸島市が小、中学校の図 書費として予算化したのは、交付額の 20%台から30%台でした。 学校図書館が子ども たちに役立ち、魅力的な場であるためには、図書の充実にかかっています。 2022 年度から新たな計画が始まった場合、交付額の 100%を少なくとも予算措置するこ と(添付資料②)が必要だと考えますが、お考えはいかがですか。 (1) 必要だ (2) 必要でない(3) その他 ・必要だ 4   / ・ 必要でない 1  / ・その他 3     / ・? 2       / ・ 無回答 1    / その他 ・学校図書館の図書の充実の必要性を市民と共有して、予算措置の割合を高める働きかけをするのが大切だと考えます。 11人のうち9=82% ・まず実際に利用できることが肝心。「本をよみなさい」というのではなく、本が手に届くところにある環境を  つくること。 10 ・肝心の学校図書購入費はあまりに少なく、そこで紹介されているような本はきわめて少し しかありません。子ども達が興味を持つ本がすぐに読めるよう予算を増すべきです。 ・学校の図書室は僕でも眉をひそめる位です。本の補充不足。 <予算措置率 100%の意味について> ・これは文科省が第 5 次「学校図書館図書整備等 5 カ年計画」(2017~2021 年)を策定し、「各学 校における学校図書館図書基準の達成を目指すのに加え、児童生徒が正しい情報に触れる環境を整 備する観点から、古くなった本を新しく買い替えることを促進します。」としています。 ⇒古い本を買い替えることによって図書の充実を図ることを目的として予算が組まれています。 しかし、その予算が糸島市では充分に活かされてこなかった。この五年間での予算措置率は 2017 年より順に 29.4%、53.8%、55.6%、63.5%、59.0%です。 (ただし、下線付きの%は司書の人件費も含むため純粋な図書費ではありません。) ●ここで県内の予算措置率(平成 19 年度)を例に挙げます。 ・予算措置率は全国平均 78%、福岡県内の平均は 97.1%であり、糸島市は予算措置率がき わめて低い状態にあります。図書の充実に力を入れている自治体は 100%以上の予算をつ けていることをご確認ください。 ・糸島市は昨年 12 月より今年の 1 月まで「糸島市読書ふれあい推進基本計画(案)」のパブ リックコメントを募集していました。その中の課題でも中高生の不読率の増加が課題となっています。 図書の充実は重要です。 ・また 2022 年より第 6 次「学校図書館図書整備等 5 カ年計画」(添付資料①)が始まります。 (以下、5 カ年計画の概要資料より) 11 16、現在、教育委員会は学校教育のデジタル化を進め小・中学校の生徒に1人1台タブレッ トを配布しています。国立国会図書館では資料のデジタル化を進めていて個人でタブレット 等を通して活用ができるようになっています。この「図書館向けデジタル化資料送信サービ ス」(添付資料③④)に昨年 12 月1日より糸島市図書館3館(本館、二丈館、志摩館)が参 加館となり、このサービスを利用できるようになりました。 図書館側のメリットとして、 a)インターネット上に公開している資料とあわせて、200 万点以上のデジタル化資料の閲 覧・複写を利用者に提供できます。 b)図書館間貸出しサービスの対象とならない資料(和雑誌、発行年代の古い和図書など)も 利用できます。 c)資料の郵送に掛かる時間や返却期限等の制約がなく、いつでも利用できます。 このデジタル化資料送信サービスを (1)利用したことがある (2)利用していない (3)その他   ・利用したことがある 1 /  ・ 利用していない 8   /  ・その他 1       / ・無回答 1       / ・必要に応じてしている。 / ・知りませんでした。素晴らしい取り組みだと思います。/ https://dl.ndl.go.jp/ ・県内でもこのサービスの参加館になっているところは少ないです。議員の方だけでなく市民の多くが このサービスの内容や使い方を知らないと思われます。市民への周知を幅広く行うことが必要! 12 以上をまとめると、 ① 「だれでも」利用できる図書館にするためには移動図書館を走らせることが最も効果的だと思 います。移動図書館が保育園、幼稚園、小学校、高齢者施設等へ巡回すれば、課題であった図書館 の周知も間違いなく進むでしょう。幼い頃から手の届くところに本があることが図書館の利用者を 増やすことにつながります。 ② 図書館が「居心地のよい場所」となること。図書館は本を借りるだけでなく、音楽を聴いた り、催しに参加したり、人と出会う場所です。子ども連れでも安心して行けるようにするべきでは ないでしょうか。またパソコンの使用できる環境や飲食ブースの設置、日常的に利用できるための 閉館時間の延長が望まれています。 ③ 市民にしっかりと伝えること3点。 (ア)図書館の基本となる使い方 / (イ)未所蔵のものであっても借りることができること(リクエスト) / (ウ)調べものをサポートしてくれるサービス(レファレンス) / ④ 本の充実を。 文科省は学校図書館の古い本の入れ替えに予算を充てています。来館者にとって大切なのは、 新刊が入っていること、良書があることです。 この度の回答より沢山のアイデアをいただきました。ここに挙げられたアイデアは何もお金のか かるものばかりではありません。少しの工夫で図書館は大きく変わります。糸島の図書館がより利 用しやすく、老若男女、様々な立場の人々にとって有意義であたたかな場所となることを心より願 っております。 大変お忙しい選挙の中、回答いただきました皆様に心より御礼申し上げます。また今後も糸島の 図書館の充実に市民の一人としてお力添えいただければと思います。またこの公開質問状の回答一 覧は糸島市の図書館、新聞社等にも配布させていただきます。 以上

公開質問状を提出  No.88

1月30日に行われた糸島市長、糸島市議会議員選挙で「糸島の図書館の未来を考える会」が市立図書館について、次のような 公開質問状を各候補者に提出しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 令和4年1月17日 糸島市議会議員に立候補される皆様へ 糸島の図書館の未来を考える会  代表 甘蔗健仁                                糸島市二丈波呂474                                  090-7678-2048 【公開質問状】 拝啓 時下益々御清祥のこととお慶び申し上げます。 私たちは糸島市の「糸島の図書館の未来を考える会」です。 図書館は子どもから大人まで誰もが生涯にわたって無料で利用できる公共施設です。また皆様もご存知の通り図書館は単に本を借りられるだけでなく、コンサートや講演を聴いたり、展示された絵画を観たり、逆に利用者による活動・発表の場でもありその機能は多岐にわたります。全国には住民の方によく利用されている図書館があります。糸島市の図書館もより地域性を活かした市民にとってより利用しやすく、いきたくなる場所となれば孤立や孤独、格差といった社会的課題を良い方向へ向かわせことになるのではないでしょうか。 例えばコロナ禍になり子どもの自死が400人を越え過去最多になっています。家庭と学校以外のもうひとつの「居場所」として図書館は考えられないでしょうか。また子どもたちにとっても沢山の本と出会える場所であり、高齢者の一人暮らしの方も社会との接点を結ぶ場としても図書館は役立っていることなどがあげられます。もっと沢山の方に図書館を利用してもらうために、先月1日より今年の1月5日まで糸島市は「糸島市読書ふれあい推進基本計画(案)」についてパブリックコメントを募集していました。 どうしたら図書館の周知が進み、市民にとって利用しやすい、行きたくなる図書館になるか。ぜひ市議会議員に挑戦される候補の皆様の声を有権者の方に聞かせていただきたいと考え、このような公開質問状をさせていただきました。大変お忙しい中と存じますが、御返信頂きますようお願い申し上げます。 尚、御返信いただきました回答は順次、以下のHPにて掲載させていただきます。 https://kayumu0216.wixsite.com/my-site-1 (御返信の回答について) 回答が長くなる場合はタイトルを付けていただくと助かります。できるだけ見やすい様に工夫しますが、枠に入りきらない回答についてはタイトルをクリックすると全文が読めるように致します。 ご不明な点がございましたらご連絡下さい。(090-7678-2048 甘蔗〈カンシャ〉まで、もしくは ryukokuj@juno.ocn.ne.jp まで(件名は公開質問状について)ご連絡下さい。  敬具-------------- 1、図書館は利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。)   (利用している・利用していない) 2、主にどこの図書館を利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。)   (前原館、二丈館、志摩館) 3、どれぐらいの頻度で利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。)   (1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、半年に1回、1年に1回、利用しない、 行ったことがない) 4、どのように図書館を利用していますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (本の貸出し、調べもの、リクエスト、レファレンス、催しへの参加、展示物の鑑賞、 会議室の利用、学習室の利用、 その他〈                     〉)  ※レファレンス・・・図書館の資料を使い調べもののサポートをするサービス 5、現在の図書館により行きたくなる機能やサービスがあるとすればそれは何でしょうか。(特に該当するもの2つに○をつけて下さい。) (音楽やゆったりできるソファーのある居心地の良い空間、カフェなどの飲食ブース、大人向けの読書会・講演・ワークショップ、図書館コンシェルジュの導入、CDやDVDの充実、新刊が多くあること、パソコンの使用を許す、雑誌のタイトルを増やす、  その他(             )     ※図書館コンシェルジュとは来館者に本の楽しさ、面白さを伝えるべく本の情報や資料の提供を行う人のこと。 6、利用者の中には子ども連れだと声を出すので、図書館に行きづらいと言う方がいますが、子ども連れでも安心して行ける図書館にするためにはどんな工夫が必要でしょうか。 (例、間仕切りのある部屋をつくる、少しのおしゃべりは許容する、静かに読みたい人の部屋をつくる、その他〈                                                                                                                                              〉)  7、わからない事があったら何を利用して調べますか。(該当するもの全てに○をつけて下さい。) (人に聞く、インターネットを使う、本で調べる、図書館のレファレンスサービスを利用する、その他〈                             〉) ●先月より今月5日まで糸島市は「糸島市読書ふれあい推進計画(案)」についてパブリックコメントを募集しました。 その中の課題について質問致します。 8、開館時間ついて  ※ 開館時間 10~18時まで(日曜、休日は17時まで)   休館日 毎週月曜日、館内整理日(毎月第4水曜日)、年末年始12/28~1/4)、 特別整理期間(毎年1回15日以内) (該当するもの全てに○をつけて下さい。) A)(今のままで良い、改善すべきだ)    a)「改善すべきだ」と答えた方に質問します。     どのような改善を求めますか。(御意見をお書き下さい。)    (例、週に1回でも閉館時間を20時まで延長する、朝9時から開館する、 3館の休みを別の日にする、学校が休みの時はできるだけ開館する)    (                                  ) 9、自力での来館が難しい方へ図書館サービスを提供するにはどうしたらよいと思いますか。(御意見をお書き下さい。)   (例、移動図書館を利用する)    (                                    ) 10、図書館の利便性を広く周知していくにはどうしたらよいでしょうか。(御意見をお書き下さい。)   (例、図書館の新刊情報や催しについて回覧板で回す、地域の活動を図書館で紹介する・もしくはその機会を増やす) (                                ) 11、「(図書館の)存在を知らない」という現状を改善するためにはどうしたらよいでしょうか。(御意見をお書き下さい。)  (例、小中高生に学校で図書館の出前講座をする、授業の一環として図書館で調べもの学習をする、図書館で定期的に「利用の仕方」について説明する、文化部や運動部の発表の場というように学校を巻き込んだ取組をする、先生が図書館を利用する) (                                 ) 12、学生の不読率の増加について、どのような改善策があるでしょうか。(御意見をお書き下さい。)   (例、学校図書館と糸島市の図書館が連携して本の貸出しをする。移動図書館が保育園や幼稚園、小学校を定期的に巡回する。移動図書館を児童クラブへ定期的に巡回する。)     (                                )    13、携帯、ゲーム、Youtubeといった室内かつ個人で完結する余暇活動が読書と競合になっていると思いますが、その中でも読書を選んでもらう工夫について(御意見をお書き下さい。) (                                                                                     ) ●以下、2つの質問は4年前の選挙の際にも質問のあった項目です。 14,図書館サービスの柱として糸島市図書館が掲げていた市内『どこでも』『誰でも』利用できる図書館サービスについては依然として校区(地域)による利用の格差(添付資料①)があります。このことについては、まず移動図書館による運行を始めながら全域サービスの体制を整備していくことが必要だと考えますがお考えはいかがですか。 (1)必要だ  (2)必要でない (3)その他(                 ) 15、学校図書館の図書費については、国から毎年、小、中学校の学校図書館の図書費として交付されて いた『第5次学校図書館図書整備(等)5カ年計画』が今年度で終了します。来年度からの新たな内容は 1月末に公表されることになっています。(文部科学省総合教育政策局・照会)平成30年から令和3年までの 直近の4年間、糸島市が小、中学校の図書費として予算化したのは、交付額の20%台から30%台でした。 学校図書館が子どもたちに役立ち、魅力的な場であるためには、図書の充実にかかっています。 2022年度から新たな計画が始まった場合、交付額の100%を少なくとも予算措置すること(資料②)が必要 だと考えますが、お考えはいかがですか。 (1) 必要だ  (2) 必要でない(3) その他(            )  16、教育委員会では、学校教育のデジタル化を進め小・中学校の生徒に1人1台タブレットを配布しています。国立国会図書館では資料のデジタル化を進めていて個人でタブレット等を通して活用ができるようになっています。「図書館向けデジタル化資料送信サービス」(添付資料③④)に糸島市図書館3館(本館、二丈館、志摩館)として参加すべきと考えますがお考えはいかがですか。 図書館側のメリットとして、 a)インターネット上に公開している資料とあわせて、200万点以上のデジタル化資料の閲覧・複写を利用者に提供できます。 b)図書館間貸出しサービスの対象とならない資料(和雑誌、発行年代の古い和図書など)も利用できます。 c)資料の郵送に掛かる時間や返却期限等の制約がなく、いつでも利用できます。 (1)参加すべき (2)参加すべきではない (3)その他(            ) 以上。 -----------------------------------------------------------ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以下(添付資料) ①小学校区ごとの『市民1人当たり貸出し冊数』(図書館の利用度を表す基本的な指標)   ・糸島市小学校区別区分図
         2020(令和2)年度 小学校区別利用状況
 校区名  人口 実利用者数 利用率(%) 貸出密度(冊) ()は2018年度  2020年度(2018年度) 1 波多江 12,315 806  6.5(8.5)     4.3(5.0) 2 前原 12,091 1,298 10.7(15.0)    5.7(7.3) 3 前原南 10,808 872  8.1(9.4)     4.3(4.6) 4 加布里 7,349 465  6.3(8.9)     3.5(5.0) 5 長糸 1,953 99   5.1(6.1)      2.5(2.5) 6 雷山 3,737 187 5.0(6.7)       2.6(3.2) 7 怡土 7,075 239   3.4(4.7)      2.0(2.4) 8 南風 8,684 851   9.8(13.3)     5.6(7.4) 9 東風 9,153 452   4.9(6.6)     2.5(3.2)  小計 73,165 5,269 7.2(9.5)    4.0(5.0) 10一貴山 3,377 273  8.1(11.0)    5.2(6.5) 11深江 5,244 564 10.8(15.2)   6.0(8.1) 12福吉 3,958 285 7.2(8.8)    5.1(5.1)   小計 12,579 1,122  8.9(12.1)   5.5(6.7) 13 可也 9,153 804  8.8(11・8)    5.1(6.5) 14 桜野 2,431 136  5.6(7.4)     3.5(4.4) 15 引津 5,124 258  5.0(6.7)     2.7(3.5)   小計 16,690 1,198 7.2(9.5)    4.1(5.2)   合計 102,434 7,589 7.4(9.8)    4.2(5.2) ※ 貸出密度=市民一人当り年間貸出し点数。   図書館がどれだけ利用されているかを表すもっとも基本的な指標(ものさし) ※2020(令和2)年度は緊急事態宣言発令のため、4月1日から5月18日まで  臨時休館。このため通年開館した2018(平成30)年度を比較のため記載。 ※「糸島市長期総合計画」2020年度の貸出密度の目標値は6.0冊 ※糸島市と人口同規模の市の「望ましい基準」(参考値)は10.6冊(2018年度)    (人口10万~15万人の図書館の「望ましい基準」) ※きわめて貸出密度が低い3冊台以下は、5校区(2018年度/長糸・雷山・怡土・   東風・引津)が7校区になっている。(新たに加布里・桜野/2020年度) ②糸島市の小・中学校図書館の図書費及び予算措置率の推移(1993~2021) ③「デジタル化資料サービスの方法」(国立国会図書館) 大変お忙しい中、ご回答いただき誠に有り難うございました。同封の返信用封筒にて御返送下さい。回答につきましては、以下のHP等で広く市民に公開させていただきますのでご了承下さい。 https://kayumu0216.wixsite.com/my-site-1   (糸島の図書館の未来を考える会) (送り先 〒819-1626 糸島市二丈波呂474  糸島の図書館の未来を考える会  甘蔗健仁 090-7678-2048)

糸島の図書館の未来を考える会の始まり No.87

2021年11月、「糸島の図書館の未来を考える会」の活動が始まった。それは身近な人への甘蔗健仁さんによる アンケート調査から始まった。 【糸島市人口102,434人:①糸島市図書館1,650㎡(別棟「閉架書庫」「作業室」含む、約21万冊、  ②糸島市図書館二丈館1,090㎡、約8万冊、③糸島市図書館志摩館約720㎡、約8万冊】  2021(令和3)年3月31日現在の統計。 ※移動図書館(BM)なし。 アンケートでの質問は次の3点だった。 ①糸島の図書館を利用している方は、もっと良くなるためにはどうしたら良いか。 ②糸島の図書館を利用していない方は、なぜ利用していないか。どうしたら行きたくなるか。 ーーー ①と②どちらかにお応えを。 ③移動図書館が私の地域にも来て欲しいという方。具体的な要望や困りごとについて。 甘蔗健仁さんは寄せられた回答をまとめ、東麻美さんともに呼びかけて、考える会の1回目の集まりを開き、そこ でアンケートに寄せられた声を紹介するとともに、1月30日に行われた糸島市長、市議会議員選挙で公開質問状を 提出、この間「糸島の未来の図書館を考える会」のホームページを立ち上げ、アンケートの回答や公開質問状、 そして各候補者の回答をホームページ上に公開してきた。 https://kayumu0216.wixsite.com/my-site-1 私自身はこれまで、「としょかんのたね・二丈」(他の会と共同の場合は「糸島市の図書館を考える市民の会」) の一人としてやってきたが、これからは「糸島の図書館の未来を考える会」のひとりとして共に行動をと考えて います。ーーー まずはどのような思い、考えで公開質問状をだしたか、考える会のホームぺージに記された文章を紹介したい。 ​何故、このアンケート調査を実施したの? あなたにとって、図書館って何ですか? 図書館って、どんなとこですか? そもそも、図書館って行ったことが、ありますか? たくさんの本があるところ? 広がっている、知らない世界? もうこの世にいない詩人の存在をこの世界に存在するひとたちより、色濃く感じるところ? 私にとっての図書館、それは、どのような場所なのか? ちょっと、お話したいと思います。 私が、子供だった頃の、はなし。 私は、図書館という場所が好きで、近所の図書館で、過ごすことも多く、ホームレスの方が、長椅子に座っていました、記憶はおぼろげなのですが。何日も、お風呂に入っていないのか、まわりに独特な臭いが広がっていました。 幼い私は、彼が、ここから、追い出されないようにと、思っていました。 彼は、追い出されずに、そこに、いることができました。 それが、私にとっての図書次の館なのです。 それが、おそらく私にとっての理想とする図書館。 私が今住んでいるお寺が、そんな図書館になれば、なんて、夢をみます。 アンケートの結果は次の通りです。 2021年11月16日14:00~龍国寺にて 糸島の図書館の未来について考える会 糸島市図書館について 人口10万人 3館 質問項目 ①糸島の図書館を利用しているかたは、もっと良くなるためにはどうしたら良いか。 ②糸島の図書館を利用していない方は、なぜ利用していないか。どうしたら行きたくなるか。 ①と②はどちらかお答えください。 ③移動図書館が私の地域にも来て欲しいという方。具体的な要望や困りごとについて。 ①わりと利用している方だと思うのですが、特に不便を感じたこともなく…糸島市図書館の方は選定や展示など色々と工夫されているなぁと感じています。    前原 ①実は、糸島市図書館では、様々な企画を実施したり、一見地味なHPながら、書籍や資料、雑誌の検索機能を搭載したHPなども充実しています。たまに、お邪魔する時も、小さなお子さんが行儀よく、お母さんと一緒に本を探していたり、シニアの方がゆったりと月刊誌をめくっている場面に遭遇します。十二分に活用している市民の方も多いのではないかと思います。図書館側に改善を求めるというより、未利用者に最初の一歩を踏み出してもらったり、今ある機能やサービスを広く知ってもらうことが、利用者のすそ野を広げるためには有効なのかもしれません。 前原 ①二丈の図書館はリクエストすると置いてくれることが多いのでとても良いです。福吉 (図書館との距離) ・いつも3ヶ所をランダムに利用していますが徒歩圏内にあったらもっと利用しやすいなぁと思う気持ちがあります。 福吉 ・もうちょっと近かったらいくのに。 (認知度を上げる) ・未利用者に最初の一歩を踏み出してもらったり、今ある機能やサービスを広く知ってもらうことが、利用者のすそ野を広げるためには有効なのかもしれません。    前原 ・小中学生に図書館の使い方についての出前講座を開く。または図書館で利用の仕方をレクチャーする。 (蔵書について) 前原の図書館を利用しています。 ・本の数が少ない。     前原 ・新しい本が多いと借りたくなる。二丈の図書館は古い本が多い。一貴山 ・自分が興味ある種類の本が沢山あればいいなぁと思ってます。 深江 ・蔵書を増やす ・子どもは「蔵書が多い、少ない」ということはわかってないので、現状の本の数を当たり前だと思っている。  本は好きなので、何度も同じ本を借りる。  「これ、学校の図書室にもあるよ」とよく言う。  もっといろんな本に触れたらいいと思う。   福吉 ・私は小説や雑誌、エッセイを主に借りていて、それほど不満はないです。でも、もっと良くなるためにと考えると、興味を広げてくれるような並べ方をしてくれると嬉しいです。今もコーナーを作ったり工夫はありますが、やはり数が少なく、本から呼びかけられる感じがあまりしません。スペースはゆとりがあるともいえますが、ゆとりよりもスカスカな印象があります。読みたい本があるから、それを借りにいって間に合っていますが、読みたいものがなくても好奇心を刺激してくれる、もっとワクワクする図書館があると嬉しいです。 一貴山 ・絵本の並び方を変えてはどうでしょう? 子どもにとっては、タイトルより表紙の方が選びやすいですよね。 置き場面積を取るので全部は難しいでしょうが、もう少し、子ども目線で選べる、手に取れる、工夫があるといいかな、、、。一貴山 (貸出し、予約について) ・図書館に蔵書のあるリクエストはネットでできますが、ない蔵書は図書館にいって用紙に記入しなければならないので、ネットでできるようになったらいいなと思っています。 ・コロナの緊急事態宣言中は、図書館利用が全くできなくなるので、せめて貸し出しと返却は、感染防止対策をしつつ、継続してほしいと思います。 【深江在住】 (飲食スペースがほしい) ・飲食スペースがほしい ・カフェコーナーがあると、わざわざ時間を作って行ってみたいと思う。 飲食ができる場所があるのは、本を読んだり借りたりする目的以外の人も足が向くと思います。武雄市の図書館は大好きです。 ・糸島はコーヒーショップも多く、あちこちでお菓子を作っている方もいる。日替わりで糸島のカフェを紹介すれば人気のカフェコーナーができると思います。  一貴山 ・難しいとは思いますが、カフェがありコーヒー飲みながら本を読めたら図書館に行く回数が増えると思います。TSUTAYA のような感じですね♪  前原 (フロア・空間の問題)(ゆっくり坐って読むスペースが欲しい) ・(コロナもあるのかもしれないけれど、)ゆっくり座って読む、学習するスペースが少ない。ソファーなど一日中座って居られる場所がほしい。 前原 ・前原の図書館は(土地の関係で仕方ないのかもしれないけれど、)3フロアに分かれている為、子供の見たい本と自分の見たい本が階が違うので、行ったり来たりで疲れる〜。     前原 ・図書館は魅力ある空間づくりをしたらよくなると思います。見た目がおしゃれでくつろげるソファー席カフェコーナーがあると、わざわざ時間を作って行ってみたいと思う。 飲食ができる場所があるのは、本を読んだり借りたりする目的以外の人も足が向くと思います。武雄市の図書館は大好きです。 ・座ってゆっくり読むスペースがなくなって残念です。憩いの場所として図書館を利用したいです。 福吉 ・本の読み聞かせ、紙芝居、展示、展覧会、など、交流の場として、二丈館の2階・3階スペースを有効活用してほしい。 福吉 ・静かに読みたい人のための、しーんとしたエリアを作る。 静かにしたい人のためにはすでに自習室があるので、少し広げるとか。 福吉 ・二丈館を主に利用しています。利用者もほとんど居らず、ひっそりとしていて図書館というより書庫、病院の待合室のような雰囲気がします。もっと温かみのある、本を読むのに居心地の良い空間になると嬉しく思います。 ・読書スペースがもっと居心地が良くなったら、嬉しいですね。   (自由な空間が欲しい) シーンと漂う空間で勉強するとか調べ物をする、家にも学校にもない自由に使える空間であって欲しいです。                                              福吉 (駐車場を入りやすく) ・前原の図書館、駐車場が出入りしにくい。    前原 (民間運営) 武雄図書館のように民間運営に転換すること   前原 (イベントや読書会、WS、講演などの企画) ・イベントや読書会などを開催して、利用者同士、図書館スタッフとの交流をすすめる。前原 ・図書に関して広がる講演やWSなど、人の集うスペースの充実や楽しい企画があれば、図書館を利用する人も増えるでしょう。前原のノドカフェさんなど、新しい情報を得て皆さんに紹介してゆく活動は図書館の運営にも大きな示唆があります。       福吉 ・糸島にはノドカフェ(ブックカフェ)、糸島の顔が見える本屋さん、アルゼンチン書店など本を置く場所が増えてきた。そこに置いてある本は選ばれた本で読みたくなるものが多い。また催しが多いのも魅力のひとつといえる。図書館にも魅力ある催しを期待したい。   一貴山 (大人向けの本を囲む会) ・図書館、利用しています。個人的には楽しんで利用しているけれど、普段本になじみがない人にはとっつきにくいかも。大人向けの本を囲む会とかあったらいいなあ。好きな本をすすめあうとか。 好きな本がたくさんあって、それをすすめるのが好きで、友人や、子どもの通うフリースクールのお友だちにそれとなく本を貸したりして楽しんでいます。【以前前原・現唐津在住】 (本との出会い、コンシェルジュ)※図書館コンシェルジュがお客様へ情報・資料等の提供を行います。 ・本のコンシェルジュサービスを、市民ボランティアも加えて、本格的に始める。   前原 ・司書さんおすすめのセットなど本のコンシェルジュ的なかたがセレクトしたセットなどあると楽しいし、ゆっくり本を選ぶ時間がない人も本をたくさん借りられると思います。 深江 ・読んだことのない本との出会いの機会にもなるし、あったら楽しいと思います。 ・本って楽しいんだよ〜って人が窓口や図書館にいて欲しい。 そうすれば本の並べ方や選択の仕方、図書館の空間の演出も魅力的になりそうだから。 ・誰でも来ていいんだよというようなウェルカムな図書館員さんはお目にかかったことがない。 物静かすぎて、子ども連れ立ったら申し訳ないと思い、出て行かないといけない雰囲気をかもしだしすぎている。 この本、面白いよー!とか、 こんなのあるよー!とか、 気さくに話しかけてくれて、その人が何に興味がありそうかとか本のコンシェルジュ的な方がほしい。 でも、寡黙で話しかけるなんてありえない雰囲気で、音楽がかかっている本屋の方が子連れで気楽に入れると思ったこともある。 (図書館との交流、見学ツアー、出前講座) ・他の図書館との交流、紹介、見学ツアーなどなど。    前原 ・図書館の使い方について、ひとクラスづつでも図書館に来てもらって、説明する。 一貴山 ・図書館の出前講座を学校でする。図書館を使った学習。一貴山 (配信サービスについて) もう少し配信の図書があれば良いと思います。   一貴山 (寄贈・本の交換会について) ・以前、家にある本を持って行ってよいか尋ねたところ、それはしていないとのこと。その様なことも、対応すれば新書も入るのではと思いますが。  一貴山 ・読まなくなった本の交換場所、寄贈できるサービスもあると嬉しいです。   深江 (開館時間) ・東京に住んでいる時は、開館が9時からで保育園に送った後に立ち寄ったり、仕事前に立ち寄ることができ便利でした。  深江 ・週に一日だけでも閉館時間20時にしてほしい。(部活動をしている中高生の為にも、仕事帰りの方のためにも)  一貴山 ・3館のうち、1館は月曜日もあけてほしい。  福吉 ・週1日でいいので19:00まであけてほしい。夏の間だけとか。福吉 ・閉館時間が20時くらいになると利用しやすいです。特に夏で日が長い時は、もう少し遅くまで開いてるといいなと思います。一貴山 (CD/DVD) 東京の図書館には落語やクラシック、ロックやジャス、昭和歌謡などなど他種の音楽、歌舞伎やアートなど図書館ならではの貸し出しがあり楽しみでした。 深江 (検索について) 小学生の娘は読みたい本を検索機でよく検索するそうですが、そこで自分のアカウントにログインしてその場で予約ができるようにしてほしいそうです。  深江 (子連れでも安心して行ける図書館) ・今はだいぶ大きくなったので普通に本が借りられますが、子供がよちよち歩きの頃や赤ちゃんでぐずったり大きな声を出してしまったりしていた時は、たくさん本を借りたいのにゆっくり選ぶことも読むこともできませんでした。子供が歩いているだけで足音がうるさいと司書さんに注意されたこともあり、子連れには居心地の悪い空間だと思います。 深江 ・間仕切りのある絵本の部屋があったり、短時間でも託児サービスが受けられると小さい子連れのお母さん達は利用しやすいと思います。深江 ①二丈中帰りに立ち寄らせてほしい。帰りに寄ってはダメな理由がよく分からない。せっかく隣にあるのに、利用させてほしい。 家に帰ってからはまた改めて行けない。 (多少のおしゃべりは許容)  ・子どもが小さい時、子どもが絵本を声に出して読んだり、  ひらがなが読めるようになったら、背表紙を声に出して読んでいたりしていた。  司書さんに「しーっ!」って言われました。  「読むことを楽しむ」「図書館に来ることを楽しむ」雰囲気づくりをしてほしいです。 福吉 ・静かに読みたい人のための、しーんとしたエリアを作る。  静かにしたい人のためにはすでに自習室があるので、少し広げるとか。 福吉 (PCの使用を許可してほしい)  以前、図書室の隅っこで、図書室の本を見ながら、資料の作成をしていたら、  「PCは、タイピングをする音が耳障りなので、使用できません」といわれました。  今の時代、小学生もICTが身近になり、プレゼン資料などはPCで作っています。福吉 (親向けの啓発)  昨日、同級生の母親3人に意見を聞いてみました。  「図書館員など、専門家による選書が必要だよね」って言ったら、  みんな「選書」という言葉を知らなかった。  説明しても、「きれいな本を並べるってこと?」(表紙が汚い本はならべない)など、なかなか理解してもらえなかったです。  漫画やサバイバルシリーズは読んでいるので、  「本」というものに馴染みがないわけではないと思う。 福吉 === (レファレンス)図書館の資料を使い、皆様の調べものをサポートするサービスです。 ②解らないことがあると総合図書館に電話をして聞いているが、何冊も本を紹介してくれたり、その場で解らなくても折り返し連絡があり対応が親切だと感じる。レファレンスには常時10人ぐらいで対応しているとか。 一貴山 挨拶がない。一貴山 ②一度も行った事が有りません。本屋へは行くのに何故でしょうかね??理由は有りませんが 単純にきっかけが無いからだと思います。     前原 ②遠い。電車でわざわざいかない。 読みたいものがない。若者向けの雑誌が借りれるようにしてほしい。お金がないから、なかなか買えないから、図書館で借りれたら嬉しい。 【福吉在住、小学校高学年】 ●苅田町の図書館のHPを見ました。(私の生まれ故郷です)糸島よりイベントやFacebook等 利用者への期待値が高いと思いました。 ●本末転倒になってはいけませんが、先日の蔦屋書店も本屋と思えない空間ですよね。 例えば離乳食とか温活、糸島グルメ等 誰もが関心があるテーマで少人数でもコミを作って関係ある本や情報をシェアすれば自然と利用者は増えるのでは? ●単純に喫茶店の様にサービスを行う事では無いと思います。    前原 ②自分にとって、図書館の利用の有効な利用方法を知らないから コミュニティの場をもうけるとか? そこで彼女とか出来ればとか笑 ②たまに利用しているが、図書館で話してはいけない雰囲気がある。 面白い本の話を友達や親とできるような雰囲気にしてほしい。 ②図書館の問題ではなく、本を読む時間を作れないこちら側の問題が大きいと思うので、ダイレクトに本というよりも、ゆとりを持つという視点を育む催しをすることで、本を読む時間を作ろう!ってなる方が増えるかもしれません。 一貴山 ②図書館を利用するより、購入して読むことが多い為、利用が少ないです。💦 図書館でしか目にすることがない本の情報があると嬉しいです。 ② 蔵書の数が少ないから利用してないです。   前原 ・本が少ない。前原 ・私達夫婦が利用するうえでの重要な要素は居心地です。そこに長時間居れる雰囲気でしょうか。もちろん、好きな本がたくさんあると借りに行こうという意欲が湧きますが、今は、本の購入が多いです。 読まなくなった本は図書館に寄贈しています。 前原 ②昔は図書館に通ったクチですが、社会人になり、気にいった本は『買うもの』になりました。 理由は、A)なかなか時間が取れないので、好きな時に読みたい(借りると期限が気になる) B)何度も読み返したいし、気にいったら人にも貸し出したい   福吉 ②糸島の図書館をまだ使ったことはありません。 なぜかというと、家から遠いからです。 借りた本を、2週間内に、そこへ返しにいくのが少し大変な気がして。 あとは、行ってみようかなと思っていた時期に(コロナ禍)完全に閉まっていて  志摩 芥屋 ②糸島図書館の場所をあまり意識したことがない。   糸島市民でないので会員カードを持っていない。    福岡市 借りることはできないだろうと思っている。 ②なぜ行きたくないか…と考えるよりも、何しに行くのか? 図書館があることすら知らない人もいた。 学ぶ場、調べる場、というような何か勉強する人が行くのが図書館という発想なのではなかろうか。 ②貯蔵の検索機などがなく、本の検索が出来ないので お家でネットで買った方が早いと思ってしまいます。  あと、近いところが二丈図書館ですが、魅力的な本があまり 見つかりません。長糸 図書館で魅力的な催しものが開催される 企画展がある。 糸島の古墳に纏わるお話し会とその本、纏わる人物の写真展など。 糸島の歴史にまつわる古文書を紐解いて解説する郷土史、地誌的な展示とお話し会 何かわかりませんが農業と文化の掘り起こし。 多様な田楽、神楽、小さなお祭り、糸島のしきたりの紹介。 博多弁と糸島弁の違いの展示(笑)(違うらしいですね) 映画の上映会 大陸からの歴史がありそうなので景教と何か関連があれば。 修験者の山だったと聞いている雷山の歴史 もし九大図書館と何かつながる(思いつきです) 図書館にカフェ(もうあるのかも?) ネット検索取り置き可能なシステム。 返却窓口ポストがあちこちにある。  福岡市 ②私は糸島の前原の図書館をたまに利用しています。 3階の読書スペースからの山の眺めが好きだったのですが、隣にマンションが建ち山が見えなくなって行かなくなりました😅  前原 ②図書館の利用したのは、、いつだったかな?と、考えてたら、、 もう十数年前、いわゆる「図書館」と言うもの? は、百道浜の図書館に行ってみたのが最後だった記憶です😊 「図書館」がTSUTAYAをはじめ、カフェを利用しながら本を選べるといった形を変えていき、、 最近出来た「糸かお」さんもとても面白いですね😊 ノドカフェさんも楽しいですけど笑 街を活性化させる為のものでもあったりと、これからワクワクします。 糸島図書館は、訪れたことがないので、近々是非行ってみたいな!と思います。 ちなみに、、 図書館に利用しない理由? 自分にとって、図書館の利用の有効な利用方法を知らないから?だったりとかもあるのかなぁーと。 どうしたら行きたくなるのか? コミュニティの場をもうけるとか? そこで彼女とか出来ればとか笑 ②返却の手間が面倒で借りるのを諦めることが多いので、返却が簡単になると嬉しいです。 福吉 ===== (移動図書館について) 移動図書館も魅力的だと思います。    福吉 ③移動図書館はタイミングが合わないと利用できなさそうなので、今の自分には必要ないかもです。でも、足がない方には必要ですよね。   前原 ③の移動図書館が地域に来て欲しいです。 地域の賑わいにもなりそうだし、足の悪い方や、お年寄りで本を読みたい方もいると思います。 深江 ③今は図書館の近くに住んでいるので、不便ないですが、Twitterやラインなどでユーザーと繋がって移動図書館の日程連絡や特集紹介などを行い、コミュニケーション取れれば、活性化するのではと思いました!  前原 ③移動図書館🌿なかなか図書館に行けない方には、必要なサービス! 本の宅配サービスなども、市民ボランティアも巻き込んでできたらよいですね。い〜と活用?   前原 ③移動図書館についてはまだ見たことがないので保留とします。   福吉 ③ほんとうにいい本を希望します。 流行りのものでなく、長く人々が読み継がれるようなもの。 移動図書館が糸島の端っこの住民も頻繁に行けるように 月に何度か回って来て欲しいです。   志摩 芥屋 ③図書館が改装で閉館している時や今回のようなコロナの時期こそ、移動図書館が必要だと思いました。そうでなくても雷山、怡土、福吉、吉井といった図書館から遠い地域は図書館を利用しにくいと思います。 一貴山 ③わざわざ図書館が来るということ自体、特別なことなので、特別な状況を作ったらいいと思う。 公民館の駐車場でマルシェあり、遊び場あり、図書館あり、何か楽しいことと一緒に図書館も来ると人も集まるのではないだろうか? ③移動図書館に関連して(関連してないかもしれんけど) うちの子は福岡市科学館と佐賀県立科学館の図書室が大好きです。 全ての本が「科学に関すること」で、 その本に囲まれていること、適当に手にとった本が面白いことが気に入ってるようで(たぶん)、 1日5時間くらい、ずーっと図書室にいます。 常設するのは難しいと思いますが、 ③移動図書館が来てくれて返却できたり、ネットで予約した本を移動図書館が持ってきてくれたら便利だと思います。   福吉 九大と連携するなど、 企画展的にあったらよいと思いました。 福吉 ③私が小学校の時、夏休みになると児童文庫といって、箱に数冊本がセッティングされたものが、各集落ごとに置かれていて、ラジオ体操の後に本を借りにいくのが楽しみでした。ロバのパン屋みたいな感覚で、本と移動販売とがセットになって集落を回るのって、素敵ですよねー。  一貴山   ――― 【図書館を利用できるようにするには】 ・緊急事態宣言中に図書館が閉まっていたのはショックでした。 こういう時こその図書館では?と、、、。  一貴山 ・中学生や小学生が、下校途中でも寄れるようにして欲しい。 (これは、図書館だけの問題ではなく、教育委員会や学校との協議が必要でしょうが)  一貴山 (図書館から利用者へ「本を届け、回収するサービス」) ③移動図書館ではないですが、貸出図書の検索機能は充実しているので、図書館から利用者へ「本を届け、回収するサービス」の可能性はないのかな?と思います。子育て中の方とか、障害や高齢でなかなか図書館に行けない人向けのサービスですが、日中多忙な方にもニーズがあるかもしれません。無料が理想ですが、少しくらいの利用料もしょうがないかな?なんて妄想しています。 前原 (ネットワークで結ぶ) ・図書室、図書館、博物館、九大図書館を結ぶ。小学生は校区外に図書館があるので、一人では借りれない。もし図書室と図書館が連携すれば図書館をもっと活用できる。同様に博物館や九大との連携もできたら。 ・移動図書館に関連して(関連してないかもしれんけど) うちの子は福岡市科学館と佐賀県立科学館の図書室が大好きです。 全ての本が「科学に関すること」で、 その本に囲まれていること、適当に手にとった本が面白いことが気に入ってるようで(たぶん)、 1日5時間くらい、ずーっと図書室にいます。 常設するのは難しいと思いますが、 九大と連携するなど、 企画展的にあったらよいと思いました。 福吉 (設備について) ・私は今関節を痛めていて、図書館書架の前に滑り止め材質の通路があればと思います。先日滑って転びそうになり冷や汗をかきました。お金がかかることなので難しいと思いますが、杖で歩く人にとっては大きな手助けになります。 ・二丈の図書館には看板を設置してほしいです。図書館がどこか解らない。福岡銀行の青い看板がよく目立っている。以前は道路標識にもあったのが公民館と一緒になって消えてしまった。図書館を道路標識に書いてほしいです。 (図書の購入について)  ・新しく図書館で買い入れる本は新品でなければならないのでしょうか。新刊が出てもすぐに古本屋に出回っています。古本屋さんと協力して中古車ならぬ中古書を購入したら多少は安くつくんではないでしょうか。(手間を思ったらこちらの方がたかくつくかもしれませんが)一貴山 ②図書館の利用したのは、、いつだったかな?と、考えてたら、、 もう十数年前、いわゆる「図書館」と言うもの? は、百道浜の図書館に行ってみたのが最後だった記憶です😊 「図書館」がTSUTAYAをはじめ、、カフェを利用しながら本を選べるといった形を変えていき、、 最近出来た「糸かお」さんもとても面白いですね😊 ノドカフェさんも楽しいですけど笑 街を活性化させる為のものでもあったりと、これからワクワクします。 糸島図書館は、訪れたことがないので、近々是非行ってみたいな!と思います。 ちなみに、、 図書館に利用しない理由? 自分にとって、図書館の利用の有効な利用方法を知らないから?だったりとかもあるのかなぁーと。 どうしたら行きたくなるのか? コミュニティの場をもうけるとか? そこで彼女とか出来ればとか笑 ====== (図書館への思い) デジタルの世の中になって、 子どもたちも若者たちも、 本を手にして、その重さを感じ、めくる。 その体験を、いっぱいさせてあげたいですね。 あー、そのまえに 親御さんたちが、お子さんを抱っこして、 絵本を読む、 その幸せな時間。 それが、美しい本であったなら その喜びのときは、その人の魂の栄養となって、 人生の宝物になると わたしは思っています。 それをさらに支えるのは 昔話などの、 知恵や叡智の流れるお話。 そういう本と出会えたら 人生いろいろあっても、 乗り越えていけるような力になります。 図書館はそういう、本との出会いの場になってほしいと思っています。 いろいろ思いが溢れて来て 付け足しが長くなってしまいました! 当日良い時間になりますように!    志摩 1 もうチョットお家から近かったら。ついつい、車で行く範囲だと。自分の中でめんどくさがっているときもある。行ったら行ったで長居しているのですが。 自分の生活の時間の流れの中に、ゆっくり本と向き合う時間を作っていきたいなーと個人的に思っています。 あと、図書館の使い方。マニュアルはないけど、本を自分の知っている限りでは借りる返すしか知らず。調べる、というときどう使って行ったらいいかとか、以前才津原さんの図書館の話を聞いて。図書館って本から観えてくる。広がる空間て、こんなに広いんだーと驚きました。とても詳しいことまでは忘れてしまったのですが。自分の図書館という概念が こわれて、もっと自由でもっと広いものなんだーと。そのヘンをもっと知っていって。コンナンほしーといえていったらいいのかなーと想いました。   早良区 --- ・仕事仲間で70才位の人から「この本を買って来てくれんか」と頼まれました。その人はバイクにも乗り自分の足もしっかりしているので、私が「自分で買いに行けば良いじゃないか」と答えると「いや俺はどうも本やとか図書館とかは敷居が高いようなきがしてなぁ」と言ってきました。その理由を考えても私にはよく分りませんでしたが、この答えがでれば、何かのヒントになるのかも知れません。一貴山ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  先月11月に「糸島の図書館の未来を考える会」を開きました。当日来ることが出来ない方もおられたので、事前にアンケートをお願いしました。その結果、40数名の方から返答を頂き色々なアイデアや意見を聞くことができました。個人名は伏せていますが、校区のみ意見の最後に記入しています。折角の機会ですので、資料④パブリックコメントに添付させていただきます。パブリックコメントへの意見や提案もこちらを抜粋しています。  どうぞよろしくお願いいたします。 みなさんには、みなさんの図書館があると思い、このようなアンケートを実施してみました。 糸島市長選、市議会議員選挙での公開質問状については次号で。