2022年11月19日土曜日

福岡市長選 公開質問状・前文 No.103

(前文) 福岡市長選挙立候補社様/       「図書館を楽しむ」市民ネットワーク・福岡(連名・4名)/   図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館のあるまちに 住みよいまち、住続けたいまち・市民が誇りとするまちには、市民の暮らしの中に、 市民の日々の生活圏に、市民の身近に図書館が必要です。 福岡市立図書館のこれからについての公開質問状 私たちは福岡市の図書館が、市民が「いつでも」「どこでも」(市内のどこに住んでいても) 「だれでも」「なんでも」(市民が求めるしりょうや情報はなんでも)利用できる図書館、 とりわけ図書館が市民の身近にあることを願って活動している市民の会です。今回の福岡市長 選挙にあたり、福岡市の図書館のこれからについて見解をお示しいただきたく、福岡市立図書 館のこれからについての公開質問状を送らせていただきます。・・・・・・・・・・・・・・ 図書館はすべての市民の生涯にわたるⅯナビ(自己学習)を保障し、地域の発展と市民の自立に 欠かすことの出来ない地域の情報拠点であり、市民の暮らしを高め、暮らしに役立つ地域の基本 施設です。 図書館は ・すべての市民(赤ちゃんからお年寄りまで)の知りたい、学びたいという思いに寄りそう場 ・市民一人ひとりがより良く生きるための学びや知的好奇心に応える場 ・地域文化や産業振興、医療福祉や法律情報など市民の暮らしとコミュニティを支える地域の情報  拠点としての場 です。 図書館はまた、こうした暮らしや仕事の中で必要な情報を得る場としてだけではなく、市民の身近にあれば、私たち市民が時にはいこい、時には集い、それぞれの時間を一人で、またループで自由に過ごす「広場」ともなります。市民の身近にある地域の図書館は、本と人との出会いの場であるだけでなく、人と人との出会いの場、であり、その出会いから地域の文化が育まれる場でもあります。 しかしながら、福岡市の図書館の現状をコロナ前の2018(平成30)年度でみると、図書館が市民にどれだけ利用れているかを示す指標とされる「貸出密度」(市民1人当たり年間貸出点数)は2.6点で、政令指定都市20市の中で最下位((第1位のさいたま市7.5点の約3分の1)、福岡県内53館の中で50位(県内1位は水巻町11.8点)と1976年(昭和51年)の福岡市民図書館の開館以来45年をこえて極めて 利用度の低い状態が続いています。 福岡市の図書館の利用度がこのように極めて低いのは、福岡市民の読書に対する関心が低いからではあ りません。人口150万人を超える大きな市に図書館が11館しかなく、移動図書館もないこと。 市民のための図書館政策を作らずにきたことが、その主たる要因であることは、図書館政策をもち、分 館の適切な配置や移動図書館のによる全域サービス網をつくり、図書館費を自治体普通会計予算の1% 以上を毎年計上し、司書資格を持つ経験ある館長のもと、人口規模にふさわしい専門職員(司書)数を 専任で配置して活動している各地の図書館の実践が明らかにしているところです。 また、福岡市民図書館が開館した1976年(昭和51年)の翌年から市内各区の市民センターに設置された 図書室は、図書館の分館ではなく、公民館図書室に当たるものでした。1988年(昭和63年)の西 市民センター図書室の開室で市内全区(7区)に市民センター図書室ができましたが、それらが図書館の 分館となったのは1996年(平成8年)のことです。(合計8館)このため、以後に新しくできた分 館は当初の公民館図書室がモデルとなって作られてきっため、人口規模にふさわしい分館として構想、計画されたものではなく、施設規模、蔵書数、年間購入点数、職員体制ともに、不十分なものになっていることも、図書館の利用度をより低くする要因になっていると考えられます。このことでは、貸出の70%をしめる11館の分館に専任職員が0で、非正規職員の懸命な働きによって担われていることも、新しくできる分館に抜本的な改善、改革をすることを困難にしてきた大きな要因だと思われます。・・・・・ 日本図書館協会の『豊かな文字・活字の享受と環境整備―図書館からの政策提言』(日本図書館協会2006年、2012年改正)では、その2で、「地域の図書館は800㎡以上の施設面積でつくり、5万冊以上の蔵書をもち、3人以上の専任職員を配置すること。」とありますが、福岡市の分館の各面積は、東図書館753㎡(旧館の新装開館で、市内分館中、最も広くなった。335㎡➡753㎡)、和白644㎡、博多541㎡、博多南563㎡、中央486㎡、南478㎡、城南562㎡、早良520㎡、西552㎡、、西部610㎡、早良南図書館672㎡(2021年6月開館)となっていて、いずれも800㎡以下の福岡市の分館としては狭い広さのまま現在に至っています。 1965年、1台の移動図書館で図書館を始め、5つの分館を作り、最期に本館を建てて(注:本館のあとに 6館目の分館、市政図書室を市役所の隣に。本館を含めて7館;この注は、質問状提出後に記載)、「いつでも」「どこでも」「だれでも」「なんでも」を掲げて、その後の日本の公立図書館のあり方を根底から変革した東京都の日野市立図書館や、東京都調布市では①人口2万人、②2つの小学校区、③半径800mという3つを基準にして10館の分館を整備し、市民のだれもが、市内のどこに住んでいても利用できる図書館の活動が始まってからすでに50年をこえています。 ちなみに、2012年に開館した北九州市の八幡西図書館北九州市の図書館の分館中、もっとも広い3,762㎡で、貸出も市内で中央館(4,594㎡、貸出23万6千)よりも多く、市内でもっとも貸出の多い図書館になっていて(38万8千冊、2020年度)開架室の広さの重要さを示しています。 人口100万人を超える福岡市でようやく図書館が開館した1976年(昭和51年)から46年が経ちましたが、 この間、福岡市では一度として市民「だれでも」が「どこでも」利用できる全域サービスの計画が立て られることはありませんでした。【『福岡市基本構想』「第9次福岡市基本計画』平成25年~34年度;『 福岡市総合図書館ビジョン』平成26年度から10年間の計画では、「福岡市の図書館の課題」の2に 「身近なところで図書の貸出・返却ができるサービス拠点の設置や・・・サービスの向上を求める要望が多くなっています。」とあるが、それに応える具体的な計画はありません。】 2022年(令和4年)11月現在、日本の各地の図書館サービスの実際を自治体の人口段階別でみると、人口の多い大都市である政令指定都市においては、「どこでも」の取り組みがとりわけ遅れていて、それは政令指定都市の図書館全体の利用度、「貸出密度」の低さとなって現れています。利用度の低い政令指定都市20市の中で、もっとも利用度が低い福岡市に住む市民である私たちの多くは、この46年間、身近に図書館がないだけででなく、「市民の身近に図書館を」という福岡市の図書館政策がない中で生活してきたということでもあります。・・・・・・ 「文部科学大臣は、図書館の健全な発達を図るために、図書館の設置及び運営上望ましい基準(以下「 望ましい基準』)を定め、これを公表とする」(「図書館法」第7条の2、1950年)という規定に基づいて公表された『望ましい基準』(2001年、平成13年告示。2012年、24年12月改正)では、 「第一 総則 一 趣旨」で「①この基準は、・・・図書館の健全な発展に資することを目的とする。 ②図書館は、この基準を踏まえ、法第三に掲げる事項等の図書館サービスに努めなければならない。」に続き、「二 設置の基本」で「市町村は、住民に対してサービスを行うことができるよう、住民の生活圏、図書館の利用圏を十分に考慮し、市町村立図書館及び分館等の設置に努めるとともに、必要に応じ移動図書館の活用を行うものとする。あわせて、市町村立図書館と公民館図書室等との連携を推進することにより、当該市町村の全域サービス網の整備に努めるものとする。」 また、先に延べた『図書館からの政策提言(日本図書館協会)』では、「1公立図書館の整備」で「1市町村の図書館は、おおむね中学校区を単位とした住民の生活圏域に整備すること・」「すべての住民が利用できる身近な図書館とするために、中学校区を生活圏域として考え、それを目標に設置することを求めます。」としている。・・・ 図書館は市民が実際に利用できてこそ、地域に図書館があるといえます。 現在の福岡市の図書館の在りようは、多くの市民にとって身近に図書館がない、図書館砂漠としか言えないものだと私たちは考えています。この度の市長選挙が、福岡市の図書館の現況を正しく把握し、図書館砂漠のまち・福岡市を、市民の身近に図書館がある、市民が誇りとする図書館があるまちに向けての新たな一歩、契機となることを心から願うものです。 お忙しい最中に恐縮ですが、同封しました封書により、11月13日(日)までにご返送をお願いします。頂きました回答につきましては、広く市民に公開させていただきますのでご了承ください。 ・・・・・・・・(以下、「次の図表を見て・・・」図書館の風No.102に、が続く。) 《ここまで読んでいただいてありがとうございます。ご不明の点やお聞きになりたいことがありましたら、このブログにご連絡ください。「市民の会」にお伝えします。》

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