2024年4月30日火曜日

犬も歩けば ― ちょっと久留米まで No.127

久留米大学で一箱古本市エトセトラ 4月20日の土曜日、久留米大学まで出かけた。久留米大学でこの日、KURUME BOOK CAMPUSというイベントがあり、一箱古本市や絵本のおはなし会やビブリトークやクロストークがあるという。このイベントを教えてくれたのは3月末に自宅にみえた知人の友人で、大学の先生であり、このイベントの仕掛け人でもある方だった。 心動いたのはクロストークの内容だった。題して「まちの本屋さんの役割」、MINOU BOOKS|石井勇さん×久留米大学付設高等学校|梅原望さん。 MINOU BOOKS(以下ミノウブックスという)と聞いてびっくり。そこに行ったのはいつのことだったか。 福岡県の南東部、耳納(みのう)連山と筑後川の間に位置する浮羽郡浮羽町と吉井町が合併し、うきは市となったのが2005年3月20日、そして旧浮羽町の役場を改装して2009年4月7日に市民センターと市立図書館が開館している。私が東近江市能登川の図書館を退職し糸島地区に住み始めたのが2007年5月だったが、2010年1月に前原市、二丈町、志摩町の1市2町が合併して、糸島市(人口10万人)となり、旧2町の町役場の一画を改装して図書館の分館として翌年の2011年10月の開館を目指すことになった。このため新しくできる二丈、志摩地区の2つの分館づくりの参考とするため、「としょかんのたね二丈」「みんなの図書館つくろう会」(志摩地区)のメンバーと共に何度もうきは市立図書館を訪ねた。私は2つの会の会員だった。ただその当時、ミノウブックスはまだ開店していなかった。 2011年10月、糸島市図書館の2つの分館、二丈館、志摩館が開館してからも私は時折うきは市を訪ねた。うきは市には行ってみたい、行ってみようと思う所が幾カ所も私の中に生れていたのだ。今回のクロストークでの石井さんのお話でわかったのだが、ミノウブックスが開店したのは2015年とのこと。2015年といえば能登川にいた時、よく通っていた京都の恵文社・一乗寺店の店長をしていた堀部さんが独立して開業した誠光社が開店した年だ。(開店して何年か後にようやく誠光社を訪ねた。小さな本屋さんだが、そこにある本と併設しているギャラリーの小ささと展示されているものの驚くばかりの豊かさ面白さに驚いた。こんな小さな壁面でコンナコトが出来るんだ!)私にとって魅力的な本屋さんが同じ年に京都市と福岡のうきは市に開店していることに偶然ではないものを感じる。 たまたまの出会い 予期せぬ出会い 私は本屋の開店のことを知らず、たまたま街歩きの途次、開店して間もないミノウブックスに出会っている。 あっ、本屋さんだ!日曜日だけ開店している井戸といううどん屋さんに行く道でだった。三つ角の一画、壁面全面ガラスで本のある本屋の中が通りからよく見える。何か誘いこまれるようにして店内に入った。奥行は3間ぐらいだろうか、横幅はおおよそその2倍くらい、長方形の小さな空間、天井が高く店内が右左と見わたせる。棚に近づき、棚を一回りして驚いた。本がどんどん目にとびこんでくる。本の並び(関連した本のかたまり)、その見せ方によるのか、初めて目にする本が大半なのに思わず手にとる。本も雑誌も絵本も、一冊一冊手にとりたくなる。初めて目にするミニコミ誌、タウン紙?の多彩さにも驚かされた。選ばれた雑貨にも。 うきはは糸島からは遠く、この9年間でミノウブックスに行けたのは6,7回ぐらいではないだろうか。回数は少ないものの行く度に,カフェの場ができていたり、古本のコーナーがあったりで、うきはで立ち寄る楽しみ、欠かせない場になっていた。そのミノウブックスの人の話、(私は案内の葉書で初めてお名前を知った。石井さんという方だと) お二人のトークから お話を聞く前は、高校生1年生の梅沢さんがミノウブックスの石井さんに本屋の仕事について、本屋さんについてインタビューをするのかと勝手に思っていたのだが、実際の進行はまったく違うものだった。梅沢さんが中学3年生の時に書いたという卒論の内容にそって、石井さんが梅沢さんに問いかけるという形で話がすすめられたのだ。中学で卒論があることに驚いたが、その卒論を石井さんがよく読みこんでの進行ぶりにも驚かされた。 ――梅沢さんの話は『小説の神様』(相沢沙呼)〈私にとっては初めて耳にする著者の名前、書名〉から始まった。「なぜこの論文を?」の問に。それを読んで、出版界の闇を知り本屋の景色がガラッと変わったと。この現状を知ってた方がいいのでは。本屋をしらべてみようと。ショックだったのは、作家が書きたい本を書けなくなっていること。本屋の見え方がちがう。 (石)ぼくも本当に耳が痛い。売るが前提、需要をつくらないといけない。 ミノウブックス 一冊一冊えらぶ  取次・・・いかに売るか  魚屋さん 生きのいい魚 見分け方 書店員 本が売れなくなっても 目利きであること 配本と選書の組みあわせ  ワクワクする ピックアップ 利益だけを考えるのではなく・・・。 (梅)独立系書店を訪ねる  1回でもいいから独立系書店に行く 「読み手が育っていない」(橙書店で) もっと人とつながったら コミュニティの場所として 同じ本を好きな人と語りあったら まちの中で位置をもっている 45分間のお2人の話は何とも心嬉しい気配の中で終わった。 トークの会場には一箱古本市も開かれていて、10人くらいの人たちが出展していた。トークが始まる前の短い時間に何かと一まわりして棚や箱の中をのぞいた。「婦人之友 8 平和特集 ◇ 沖縄が問う日本」が眼にとびこんできた。2013年刊。表紙には背表紙の「沖縄が問う日本」の下に[座談会]高里鈴代/我部政明/加藤裕とあり、さらにその下には「長崎11時2分、そしてこれから」と。この1冊だけを購入。の(家に帰って目次を開くと、「絵本 わたしの木、こころの木  絵・文 いせひでこ」があり、びっくり。先日、図書館から借りて手にしていた絵本、その時は気が付かなかったが、『婦人の友』に連載されていたのだ。この8月号では「連載⑤木もれ日のひみつ」となっていた。) 集いが終わり、梅田さん、石井さんにお礼の思いを伝えて会場をあとにした。 友人が「MINOU BOOKS 久留米」まで車でつれて行ってくれ、ほんとうに至上の時間を授かった。うきはの2倍の広さという店内は、そこここで目にとびこんでくる本があり、この日の時間ではとてもそのどれもをゆっくり見ることはできなかったが、それでも心みちる時間だった。美味しいジュースと、以前MINOU BOOKSで働いていた人が作って、うきはと久留米の両店にだしているというクッキーをいただいて、何ともうれしい気分で帰途についた。

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